てむるです。久々の更新です。
相変わらずマジックは負けたり勝ったり負けたり負けたりしています。負けてばっかだな?
DiaryNote、お疲れさまでした。
https://webmaster.diarynote.jp/202202181714448971/
今回の更新目的ですが、現状は以下のブログを更新しておりますという移転のご報告がひとつ。
丹波てむるの雑記帳:
https://tambatemur.blog.jp/
※ライブドアブログです。ノンアフィリエイトで相変わらず進行中。
もう一つは思い出話。この期に及んでどの口が、というところはありますが……。
もともとマジックの記事文化が好きで、自分でも書いてみたくて行きついた先がこのサービスでした。
PPTQだったり店舗大会だったり、小さな”勝ち”ではありますが、そういった自己の経験を言語化しつつ、先人の知識と絡めてあーでもないこーでもないと書く楽しみを得られたのはDNのおかげです。
勿論、拙文ながら受け入れてくださった読者の方々には頭が上がりません。
というか現在でもその方々とはTwitterでつながりを持っているケースがあるのですが、紐解いてみればDNはそのきっかけにもなってくれたというわけでして。
……といった感じで明らかにPWとしての自分を構成していた一因でありましたので、そうかぁもう書き込めなくなってしまうのか……と寂しいばかり。
今まで本当にありがとうございました。
相変わらずマジックは負けたり勝ったり負けたり負けたりしています。負けてばっかだな?
DiaryNote、お疲れさまでした。
https://webmaster.diarynote.jp/202202181714448971/
今回の更新目的ですが、現状は以下のブログを更新しておりますという移転のご報告がひとつ。
丹波てむるの雑記帳:
https://tambatemur.blog.jp/
※ライブドアブログです。ノンアフィリエイトで相変わらず進行中。
もう一つは思い出話。この期に及んでどの口が、というところはありますが……。
もともとマジックの記事文化が好きで、自分でも書いてみたくて行きついた先がこのサービスでした。
PPTQだったり店舗大会だったり、小さな”勝ち”ではありますが、そういった自己の経験を言語化しつつ、先人の知識と絡めてあーでもないこーでもないと書く楽しみを得られたのはDNのおかげです。
勿論、拙文ながら受け入れてくださった読者の方々には頭が上がりません。
というか現在でもその方々とはTwitterでつながりを持っているケースがあるのですが、紐解いてみればDNはそのきっかけにもなってくれたというわけでして。
……といった感じで明らかにPWとしての自分を構成していた一因でありましたので、そうかぁもう書き込めなくなってしまうのか……と寂しいばかり。
今まで本当にありがとうございました。
おはこんばんにちは。てむるです。
4月29日に横浜の産貿ホールマリネリアにて開催されたBig Magic Sunday Legacyに参加してきました。
結果は4-5で特に書くことがないのもあって、今回は大会レポートというよりはそれを含めた旅行記です。
よっていつも以上に毒にも薬にもならない記事。最後までお付き合いいただければ幸いです。
1.事の起こり
ショックランド混じりでカナスレを回していたのですが、それが先日ようやく完成。
https://twitter.com/RUG_mtg/status/968520104995536896
滞っていた理由はデュアランの値段3割言語7割。軽い気持ちでイタ語沼にハマるんじゃなかったよ……でも安いしTerra表記わくわくするじゃん?
で、完成したら誰かにぶつけたくなってくるわけです。大会出たりフリーで知り合いにぶつけたりしていたのですが、ここにきてBMO開催のお知らせ。
https://mtg.bigmagic.net/article/bmovol10-coverage.html
国内では貴重な賞金制の大会&SCGInviへの切符というアメリカンドリームに溢れる(?)イベント。
それ抜きにしても、競技レベルで300人超え、スイスラウンドで言うと8~9回戦の大会は、特に下環境においては貴重な存在。規模だけ見たらあり得そうなのは晴れる屋TCの大会くらいでしょうか。
これまで経験したREL競技の大会はPPTQのスイス5回戦&SEが最大規模。また知り合いを見ていて、最近は「そろそろGPにも出てみたいなぁ」という欲求が出てきました。
PPTQ→GPへの橋渡しとしてBMOは申し分ない規模ですし、スイス9回戦をREL競技でやり抜くことで、自分の中でプレイの指標が作れるかなという考えがありました。
ましてレガシーのカナスレをフルでぶん回したとなれば多少の自信にはなるかなと。
2018年の下半期にはレガシーのGPが控えていますし、出るかはさておき流れとしてはベストな形。
そんなこんなでBMOへの参加を決意したのでした。
2.計画
無事にBMOへの申し込みが終わったところで、今回は以下の3点を目標に設定。
・とりあえずドロップせずやり通す
せっかく参加してるからというのもありますが、今回の主な目的はプレイの指標づくり。具体的には自分の体力の消耗具合やペース配分を把握することです。そのためにはドロップせず何が何でも食らいついていくのが不可欠。
もちろんペースの把握を初回で完璧に……なんぞ出来ないので、そちらはざっくりとした感じでもOKとしましたが。
・トラブルや致命的なミスを起こさない
コミュニケーションエラーだったり警告をもらったりだったり、そういったことがないように。プレイミスは大なり小なりゼロにはできないのでここには含めません。
9回戦のイベント自体初なので、少々発展的な目標にはなりますが、普段から心がけてはいるので改めて。
・宿を取る
目標というか実行して現実のものにしてはいましたが。
早起きして電車に飛び乗れば行けなくはない距離なのですが、寝坊やGW混雑による電車遅延で遅刻するリスクが気になったのがまず1つ。
次に体力面を考慮すると、なるべく消耗を少なくする選択をしたかったのが1つ。
そしてお恥ずかしい話、「他人の付き合いで乗っかる以外で旅行に行ったこと」がほぼ皆無で、自分でサイト比較して宿を予約したりといった経験がほぼ皆無だったのが1つ。
思い返してみると大抵親に引きずられていった家族旅行だったり、友達に任せきりの旅行だったんですよね……これまで旅したのって……
さすがにそろそろ経験しておきたい、旅行に関するあれこれを全部やってみるか、と。GP出るならどうせ必要になってきますし。
ついでにちょっぴり旅行気分でも味わえたらなぁと。
3.1日目
で、横浜入り当日。
途中秋葉原に寄ってお守りとしてカバンにぶら下げる用の高垣楓さんのキーホルダーを購入。アキバの空気が好きで、英気を養いにぶらつくついでに。
脱線するんですが私『アイドルマスター』というコンテンツをそこそこの長さゆるりと追いかけていまして。
デレマスの担当は渋谷凛ちゃんと橘ありすちゃんなのですが、デレステで楓さんの限定SSRがなぜか揃ってしまったことから彼女にハマりつつ。
え、担当アイドルじゃなくてなんで彼女をお守りに選んだのかって?
いやほら、Canadian Thresholdじゃないですか。カナダですよカナダ。国旗国旗。
……ね?
……こんなんだからこの酔っ払いが揃ってしまったのかなぁ。
彼女ものすごくダジャレ好きなんですよ。ものすごく。ものすごく……
●本日のお宿
閑話休題。京浜東北線に揺られ、石川町で降りる形で横浜入り。
本日のお宿はホステルZenというところ。宿に向かってとことこ歩いていきます。
・公式サイト:http://zen.ilee.jp/
・内装なんかを紹介したのがこちら:http://hamarepo.com/story.php?story_id=3341
「どうせ帰って寝るだけだし、狭いところ落ち着くし、個性的な内装は気にならんな」とリザーブ。朝食ついてたのも評価点。
ですが地図等をチラ見して勘のいい方は「Oh……」となるかもしれません。こちらのホステル、なんと日本三大ドヤ街が1つ、寿町のど真ん中に立地。
三大のうち1つに大阪・あいりん地区こと西成があると書けば何かを察してもらえますかね。私は予約してから調べて気づきました(白目)
「お兄さん何も知らずにこの街に来たのかい!運が悪かったなぁへっへっへ……」
なんてRPG的不穏インシデントに、平成も終わりに差し掛かった頃になって遭遇するなど……自らの無知を呪い内心頭をぽかぽかしつつ街を歩いていました。
とはいえ実際歩いているとそこまで治安は悪くなさそうな。
数年前には殺人事件も起きたりしたみたいなんで別に良いわけではないでしょうけれど、滞在中にトラブルを見かけたり巻き込まれたりもありませんでした。
暗闇からおっさんが突然現れて目の前を通り過ぎ、無言で驚いたりしたのはぽこじゃかありましたがね。
夜はとにかく暗い。明かりが少ない上に、絶妙に死角が多いから謎の緊張感があります。
松影町2丁目の交差点過ぎたら街の様子と空気と自販機の値段が一変するので、何も知らずに行っても「おや?おやおや?」と違和感は覚えそう。
そんなこんなでとぼとぼ歩いて宿に到着。本館と別館とあるうちの本館でした。
駅からは道がわかりやすく距離も近かったのは嬉しい。こればっかは実際歩かないとなんともわかりませんし。
受付は5階。エレベーターは(多分)なし。4~5階の階段の壁にめちゃめちゃ昆虫の標本貼り付いてて、街中よりもこっちの方が驚いたという余談。
受付で料金をまとめて支払い、泊まる部屋の鍵を受け取り。この鍵は出かける際返したりせず、期間中は宿泊者管理で持ち歩く形になるとのこと。
門限もなく(そもそも宿の入り口に扉がない)部屋というか住まいを借りてる感がすごいです。
トイレやシャワー、洗面所は階の真ん中や端の方に存在する形で部屋の外で共同となっていました。ウォシュレットついてたのが嬉しい。
台所と冷蔵庫もあって、料理しても良いとのこと。調味料は好きに使えってのがすごいなぁ……
ビジネスホテルとかカプセルホテルに泊まった経験はありますが、この手合いは初めて。気づいてなかっただけであるいは既に、という可能性もありますが。
堅牢なドアを開けて入った部屋の中は、手狭なところにベッドがどーん。壁にテレビ。小さい机。終わり。Wi-Fi飛んでるのもあって、娯楽には不足しませんでした。
窓からの風景は端的にいうと『空の境界』の『俯瞰風景』です。劇場版。別の宿泊施設の利用者が洗濯物干してるのがバッチリ見えたり。
アートに溢れる部屋もあるようなのですが、今回は普通の内装でした。内装気にならないのですが、なんだか少しだけ残念。
個人的にはこういう所好きなので結構満足してますが、他の人にオススメするかと言われると(街の空気含めて)人を選ぶのは確かなホステルでした。多分この文章読んで「俺もいけそう!」ってなる人は大丈夫なんじゃないかな。
まぁでも街の空気的にレガシーのデッキ抱えて行く場所でないのは確かでしたがね……
●風呂を探せ
シャワーはある、と書きましたが、どうやらコインシャワーの模様。
旅先でコインシャワー入るくらいなら、と銭湯を探して行くことに。
話は前後しますが、家を出る直前に謎の電波を受信しタオルや寝間着をつめこみ、コンビニや薬局に寄って携行用のシャンプーとか必要そうなものを購入していたのですが、宿着いてからドンピシャで役に立ってたことがわかって我ながら謎の感慨に。
いや自分で前もって調べとけよって話なんですがね。うっかりしていました☆
結果的に問題ないからオッケーオッケー。
で、銭湯どこじゃ、そもそもあるんかなと宿のWi-fiに乗って存分に検索エンジンをぶん回していました。
最初に見つけたのはこちら。
・翁湯:https://k-o-i.jp/koten/okinayu/
勤労福祉会館の中に入ってるってなんかもう立地からしてすげぇなって感じですが、近いしいいやと半ば思考放棄気味に必要なものだけ持って宿を出発。
スクショした地図をもとに歩いていたのですが、おかしい、ちっとも見つからない……
不審に戻って一度宿に戻って検索。月末久々にひっかかった通信制限が完全に足かせに。
文明の利器におんぶにだっこな我が身に涙しつつ検索エンジンをブンブンしていたら、なんか建て替えに伴う移転と取り壊しとか出てきたんですがどういうことなの……
http://www.yokohama-kotobuki.or.jp/%E5%AF%BF%E7%94%BA%E7%B7%8F%E5%90%88%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%A6%8F%E7%A5%89%E4%BC%9A%E9%A4%A8%E3%80%80%E5%BB%BA%E6%9B%BF%E3%81%88%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B/
思ったより情報の密度があったことにくらくらしつつ、見切りをつけて次の場所へ。
・恵びす温泉:https://k-o-i.jp/koten/ebisuonsen/
駅挟んで反対側なのですが、そこまで距離も離れていないし道も入り組んでいないしで無事に到着。
入り口の券売機で入浴券購入、靴箱の鍵と入浴券を渡して脱衣所のロッカーの鍵を受け取り……という流れでいざ入浴。
4月の終わりだというのにやたらと暑かったからか、風呂上がったときのさっぱり感たるや。
明日もこの調子なのかしら、と昏い考えが頭をよぎりましたが……途中で夕飯食べに中華料理屋入ったりしつつ宿へ帰還。
デッキ組んでリスト書いて就寝。そのあたりは後ほど。
4.2日目:朝
デッキ組んで布団入ったのが1時、寝付けたのがおそらく2時くらいだったのですが、明るくなってきた6時半ごろに起床。
無事に0回戦は突破。とはいえ睡眠が足りてるんだか足りてないんだかという目覚め。
朝食は食パン(食べたい枚数をトースターで焼いて渡してくれます)、バナナ、ゆで卵にコーヒーというラインナップ。2日間これだったので多分この宿毎日これですが、日頃の朝食がシリアルに牛乳かけるくらいの私からしたら僥倖でしかない。
もさもさ食って部屋に戻り、支度して出発。
途中コンビニに寄ったり自販機で飲み物や軽食を調達。
自販機めちゃめちゃ安かったのは助かりましたね。朝に宿出てその日の飲料を調達するとき、安さと手軽さが嬉しい。
まぁ朝から街の空気は不穏……っていうか、明るくなっていろいろ見える分むしろ夜のほうが怖くなかった気がするぞ……?
昼間から地べたに座ってカップ酒をあおり……というのが起きてても違和感なさそうな異邦感。というか実際昨晩カップ酒の瓶にけつまづいたし。
ところでお守りに買ってカバンにぶら下げてた楓さん、めっちゃ笑顔でビール持ってるんですよね。
https://www.gamers-onlineshop.jp/pn/%E3%80%90%E3%82%B0%E3%83%83%E3%82%BA-%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%BC%E3%80%91%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%A5%E3%80%80%E3%83%87%E3%83%AC%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%80%80%E3%83%87%E3%82%AB%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%BC%E3%80%80%E9%AB%98%E5%9E%A3%E6%A5%93%E3%80%80%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E3%81%AE%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%A8%E3%81%8Dver./pd/10312984/
この街をこれぶら下げて歩くってなんの因果でこうなってるんだ。なにわろてんねん。
旅ってこんなもんのが楽しいよな、と割り切って苦笑するしかない。
まあ全部己の招いた結末なんですけどね。
中華街を抜けていくのが早かったので朝方の中華街を歩いて会場となるマリネリアを目指します。
流石に営業してる店は見かけませんが、これが夜になると人で賑わうのか……と考えると、なんだか少し楽しみが増えた気もしつつ。
門の名前や交差点を手がかりに、特に迷うこともなく会場へ着地。
通信制限下でもペアリングアプリが動くのかしらと心配をしながら、BMマンからもらったアメを舐めたりして暇をつぶす。
ペアリングアプリ自体はいつぞや割と炎上してたのがウソのように(というかそうでないと困る)便利でした。
まぁその一件があったせいか、ジャッジ等のアナウンスで「大変便利な」と入った際に会場からちらほらと微妙な笑いが出ていましたが。
通信制限下で動いてくれたし今後も頼むぜ、という思い。
5.2日目:大会編 ~デッキについて
成績はともかく、大会参加レポなのに使ったデッキについて何も書かないのもなぁ……ということで。
●構築よもやま話
全くの余談なのですが、構築フォーマットについて私は大会前日の夜になってから実際にデッキを組み始めることが多いです。それまでは構想を練ったり大会の上位レシピを眺めて、気になったものや気に入ったものをピックアップしておくくらいにとどめがち。
よくわからない弁明をすると、別にヤソごっこしてるとかじゃなくて自然とそうなっちゃったんです。
今回のカナスレもその例に漏れず。ただレガシーでは現状これしか使っていないのもあってメインボードはすでにほぼ完成していました。その分サイド組むのに2時間かかりましたが。
●使用リストと戦績
閑話休題。
それぞれTwitterから引用。
リスト:https://twitter.com/RUG_mtg/status/990865152877641728
戦績:https://twitter.com/RUG_mtg/status/990572303967649792
リストについて不足は感じませんでした。不足があるとすれば、私の知識と技量。つまりはやり込みです。
エルドラージ、ペインターは相性以前にそれらを特に痛感しました。相手が何をしてくるかがふんわりとしかわからないため適切なサイドボードやその後のプラン立てがしづらく、さらにはなぜ負けたのか分析もしづらい。
これはグリデル戦はじめデルバーミラーも然り。
URデルバーは知識がすでにある程度あり、実際の試合もトップ勝負にもつれ込んで僅差で負けといった形を2回だったのでやむなしという感想ですが、グリデルについては対戦経験の少なさが歯がゆい。精進せねばなりません。
リストに不足を感じないのも、知識不足が原因となって正確に判断が下せていない可能性がありますしね。
しかし、これだけ課題が多いフォーマットであることを痛感しても、不思議と爽やかな気持ちでいられました。
負けた理由の分析をするためにもやりこまなくてはわからないレガシー、奥深さと面白さに溢れています。やっていて常に感じるのは、マジック始めたてのあの頃の、何もかも新鮮でただ知識と体験を貪る楽しさ。
あとは上がるだけです。
●メインボード
特筆することは《電弧の痕跡》、クロックの選択でしょうか。
具体的には「タルモゴイフは必要か否か?」。
・《電弧の痕跡》
第10回のレガシー神決定戦の記事(http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4947)、またTwitterのフォロワーとのやりとりを経て採用してみましたが、2018年4月現在の環境にはかなりマッチしていると感じました。
主な役割は1:2交換。カナスレで貴重なアドバンテージを稼ぐカードです。
同様の役目を担っていた《二股の稲妻》も《火+氷》も、個人的には今ひとつ足りない感覚を抱いていたのもあり、2点+1点という割り振りができるのは見た目以上に強く感じました。
注意すべき点は、同一の対象に3点は飛ばせず、最悪自分自身を対象にとる必要もある点。BMOでは相手本体に2点、自分本体に1点というのを実際にやりました。
使っていてあまりにもハマるし気持ちがいいので2枚くらい欲しくなるのですが、必要悪的に《四肢切断》を取らねばなぁという思いもあり、結果的に1枚のみの採用に。
・タルモ必要or不要論
近年では《わめき騒ぐマンドリル》や《真の名の宿敵》といった代替として申し分ないクロックの出現、《致命的な一押し》の登場から、ことカナスレにおいてタルモは必ずしも必要なカードではなくなり、採用の是非については議論が続いています。
MTGGoldfishに掲載された以下の記事はこれに関する事項(クロックそれぞれのメリットやデメリットなど)をだいたい網羅しています。
個人的には「全てはメタゲームさ」としか言いようがないと感じていますが、ここしばらくはせっかく買ったという情を抜きにタルモを採用しております。
理由は「枚数が取れる」ため。
《わめき騒ぐマンドリル》は4/4というサイズとトランプルから、甘えたブロックを咎めタイトなライフレースを押し付けていく強みがあります。
CMC的に《致命的な一押し》や《突然の衰微》が効かないことから、BUG系ミッドレンジを始めとするクリーチャーデッキ全般にライフレース面で優位に立ちやすく、実際に以上の点から勝ちを拾った試合もあります。
しかし、《敏捷なマングース》との共生を考えると積極的に複数枚の採用はしづらく、空いた穴を必然的に《真の名の宿敵》や追加のスペルで埋めることとなります。
前者はサイドボードにて採用率の高い《乱暴+転落》と衝突し、前者も後者もクロックの重さから着地、ゲームエンドまでに遅れが生じる恐れがあります。
《タルモゴイフ》はそういったデッキ内でのコンフリクトとは無縁で、《グルマグのアンコウ》やエルドラージ系のサイズの大きなクリーチャーと対等かそれ以上に渡り合うことも可能です。
4枚採用も難しくなく、複数枚横に並べてアグロ気味にゲームを支配していくプランも取りやすくなります。
私見ですが、カナスレは一般に言われる「マナ否定やカウンターで蓋をしつつ、優秀なクロックでアンフェア気味にゲームを終わらせるデッキ」であることに加え、テンポデッキという性質から「軽量ドローを中心としてアグロ、ミッドレンジ、コントロールプランを自在に使い分ける理論上最強デッキ」でもあると捉えています。
そのためアグロ、ミッドレンジ、コントロールとどのプランを取るにも無理のないゲーム展開がしやすく、何にでもだいたい強い《タルモゴイフ》がクロックとしてふさわしいと感じました。
ただ、重ねてになりますがこれはメタゲーム次第で変動しうると考えています。
《わめき騒ぐマンドリル》も《真の名の宿敵》も、ライフレースという観点から「マナ否定やカウンターで蓋をしつつ、優秀なクロックでゲームを速やかに終わらせる」というカナスレのコンセプトに沿っているのは確かですし、先述の通りタルモとは全く異なる性質、独自の強みを持ちます。タルモにも弱みはうんとありますし。
サイドボード構築を含めてどういった選択、ゲームプランニングをしていくかは入念に検討する必要があり、要不要は一概に断言できないことも事実です。
●サイドボード
ザ・日和見2000。浅く広く作りました。いくつかピックアップして詳しく。
・置物破壊
私見では茶破壊は理想的には3枚、最低でも2枚あればよいかなと。
エンチャントはそもそも打ち消さないと即死するものしかないので割るという考えがありません。独楽がBANされてからは《相殺》もあまり見ないですし、《相殺》自体メインの《呪文嵌め》やサイドの《紅蓮破》の当てどころで、そもそも奇跡相手に相性が良いと考えているのでスルー可能レベル。
今回は1枚を《炎の印象》とすることで、デルバー系へのガードを上げつつタルモのサイズ確保を狙いました。
また、《削剥》と《古えの遺恨》を1:1に散らすことでさらに浅く広くし、苦手なデスタク系へのin枚数とガードは落とさず構築。
《硫黄の精霊》なんかを取るか悩みましたが、3回戦で勝ちを拾えていますし、9回とも異なるデッキと当たっていることから結果論としてはこれで良かったかなと。
ちなみに2時間かかった原因の3割。
・《炎の印象》
言われるまで気づかなかったのですが死儀礼に抜かれないことから採用(あほ)。タルモが育ちやすくなります。
追加の除去枠としてはたいてい《渋面の溶岩使い》が優先されますが、マングースとのアンチシナジーや、そもそも真っ先に除去飛んできて安定して機能しない点が気になっていました。
素直に打ち消しと入れ替えるとデルバーのひっくり返る確率は微妙に下がりますが、そもそも彼を確実に変身させる手段自体が……ということでそこは妥協。
・《発展の対価》の採用
タルモが弱点となるのはBUG系を始めとするデッキ。またエルドラージや土地単相手に無理やり押し込んで相性やゲームをひっくり返すカードとして、お守り気味に採用。
2時間かかった原因の6割。
この枠を《硫黄の渦》などを取ってコントロールに更に強くするか、《硫黄の精霊》や追加の打ち消しを取って負けにくい相手を作るか……といったことを延々と悩んでいました。
どうせトップメタはグリデル想定なので、グリデルを狩りに来ているデッキで何が多いかをうだうだと悩んだ挙げ句寝る時間になり、「よくわからん」と逃げの一手でお茶を濁した形。
結局一度も引かなかったのですが、上記を取っていてオーバーサイドボードになっていたら……と考えると、逆説的に正解だったのかなぁとは。
2時間のあと1割は枚数確認とか諸々。
6.2日目:夜 ~祭りのあと
そんなこんなで4-5。エルフかURデルバー戦のどちらかで勝てていれば……などと多少考えはしましたが、考えたところでどうなるでもない話。
全敗も割と起こすので、初めて競技レベルのレガシーに出て、この成績ならまずまずかなと。
現地で一緒になった知り合いに時々マッチ後の反省会に付き合ってもらったりもしたのですが、プレイ面やサイドボードで明らかなミスをしていないっぽかったですし。
ちなみにその知り合いはマネーフィニッシュしてリストがネットの海に乗りました。日頃からクソうまいなこの人って感じなので特に驚きはしませんでしたが。
これから詰められるところがまだまだあるなぁということで今回のBMOは終了。勝っても負けても楽しい時間でした。ありがとうBIG MAGIC。
そうそう、普段は大会終わると肩こりと頭痛と疲労で死にかけてるんですが、今回9回戦ほぼフルマッチもつれこんでるのにぴんしゃんしていました。
理由を考えてみたんですが、最近少し運動したり体を鍛え始めたのと、睡眠と当日浴びるように水とスポーツドリンクを飲みまくっていたからかなぁと。
毎ラウンド終わるたびに500mlのペットボトルがほぼ1本空くペースで消耗と補給を繰り返していました。会場の席配置のせいかレガシー側がすごい気温になっていたらしいのもあるのかなとは思うのですが、ドロップして人が減った後半でも補給ペースはあまり衰えず。
補給と体作りと休養。「私に足りてなかったのはこれか!!」という気づきを得たのは今回の旅の大収穫でした。およそカードゲームらしい要素ではない気もしますが。
補給というと、松屋が来ていたのも大きかったですね。カロリーと血糖値と幸福度をありがとう。チョコレートバーとかおにぎりだけだとやはりその辺キャップを感じてしまうタイプなので、肉が食えるのはとても嬉しかったです。
で、慰み半分にせっかく物販来てるし覗かないわけにも行くまい!と気持ちを切り替えお買い物タイムへ。体も元気だしね。
実はラウンド間でもちょこちょこ覗いていたのですが、買うか迷っていたものはだいたい品切れてしまっていました。とほほ。まぁ念のため持っておきたいなくらいだったので買えなくても……という感じだったのですが。
なにかないかしらとファイルをめくっていたところ、なんとSCG謹製、Caleb Schererのストームカウンタートークンを発見!!
Caleb Scherer氏はSCGを中心にモダン・レガシーでストームデッキを回し続ける達人で、彼がSCGの招待制大会、SCGInviを優勝した記念として作成されたのがこのトークン。Twitchで精力的にMO配信(日本時間だと真夜中ですが)をしていたり、サイドボードの記事を書いたりなど、実力も相まってストームを学ぶならまずは、と支持されているプレイヤー。あと猫好きです。飼い猫の写真がたまにTwitterに上がるんですがこれがすごく可愛いの。
一時期モダンでストームを練習していた時期があり、またどうせレガシーなら相手のを数えるのに使うから持っててもよいかと探していたのですが、モノがモノで晴れる屋すら取り扱っていない模様で中々見つからず。それがこんなところで出くわすとは!
もちろん即座に購入。これを逃したら次はない予感しかないしな!
あとはガラガラでも回そうかなと。モダンもレガシーも新しいデッキを組んだり足りないカードを買ったり、といったことがないので。こういう機会しか中々楽しめないものですよね、これとかクジとか。機会というより中身的に。限定って言葉に弱い人種なんです。
「BMさんのサプライおしゃれなの多いし、だいたい何出ても嬉しいな」ってことで1回回した所、Rebecca Guayのデッキケースをもらいました。
やたらとでかい。「今日のFNMはモダンのアブザン連れて行って《未練ある魂》いっぱい並べよ!」ってときにちょうど良さそうなサイズ感です。多分ぜんぜん伝わらないとは思いますが。
3重スリーブくらいでも余裕で行けそうなサイズなので、需要ありそうだしこれむしろ店売りするべきなんじゃ?とはちょっと頭をよぎりましたが、世の中そんなに物が簡単に売れないんだろうなぁ。権利的なものとかもあるのかしら。
会場でやることなくなったあたりで、今日中に電車で帰るという件の知り合いとともに駅へ。途中までは一緒だし、と。
その後一旦宿に帰って荷物を入れ替え、昨日同様風呂と晩飯を求めに出発。
せっかくだしなーと中華街で手頃な値段の店に入りました。事前に調べておくのも良かったかな。
最悪コンビニ弁当でもいいかという考えだったのですがあまりにも無軌道すぎた。
銭湯では1日目は気づかなかったのですが、男湯と女湯の入り口の間に階段がありました。
上がるとリラクゼーションスペースみたいになっていて、脇に2台のマッサージ椅子が。
10分200円。課金して体をほぐす。
なんかバリバリゴリゴリ鳴ってたんですけど私の体どうなってんだろ。
すっかり休養旅行にきたような気持ちになりながら宿へ。
海が近いからか空気が心地よいです。そういや会場からも少し出れば海がバッチリ見えたなぁ。
泥のように眠る……ということもなく、ぼんやりとTwitter眺めたり深夜番組眺めたりしつつ、眠くなってきたところで就寝。
7.3日目
大会は終わりましたが旅はもう少し続きます。
まぁ無軌道旅行なので、大した続きでもないのですが。
昨日の帰り道で知り合いから「“楓”って名前のラーメン屋が横浜駅の方にあるぞ」という情報を入手していたので、まぁこれも何かの縁と昼食はそこにしようと決めていたものの、それまで何をするかが全くの無計画。
赤レンガ倉庫やカップヌードルミュージアムがマリネリアから割と近くにあったのですが、内容的にふらっと行くところでも一人で行くところでもなさそうな印象。
加えて幼い頃に横浜には何度か旅行に来ており、みなとみらいや中華街といったメジャーなところは既に経験済み。
新しいところにいくのと改めてもう一度いくのだと、余程でない限り前者を選びがちな私。行く場所のなさに悩むというおそらく旅行にあるまじき苦しみを味わっていました。
結局「横浜の風が気持ちよかったし、海ももう少し見たいなぁ」という何も生産性のない考えから「赤レンガ倉庫周辺→汽車道→横浜駅方面と単に散策しながらなにか見つければいいか」というふんわりキープ基準で宿を出発。
ちなみにこの時点で確か大体8時くらい。
どうせチェックアウト10時で少しでも伸びるとお金かかるので、早く出るかという気持ちだったとはいえガバキープの予感がする。
横浜の港町感を楽しみながら上記のルートをぶらぶらしていたところ、案内看板に横浜美術館の文字が。
横浜美術館:http://yokohama.art.museum/
美術館か!美術館なら一人でも楽しめるぞ!大抵は特別展もあるし!!
とウキウキしながら歩いていったところ、特別展はどうやら現在ヌード展を……
ヌード……ヌード!?
あぁ私が浅学なばかりにヌードさんという作家がいるのを知らなかったんだと《思案》して考えをシャカシャカして現実から逃げていたのですが、そんなことはなく普通に裸の方のヌード。
開館時間は10時、現在時刻は9時半ジャスト。
いかん、私これでは息を切らせて(※ぶっ通しで歩いてて荷物の量があったからです)HADAKA☆目当てにフライングした残念なおっさんに見えやしないかこれ……?
ちくしょうやっぱりガバキープだったじゃねぇか!!
っとはいえ行く宛もなし、なんでこんな展示をやってるんだと気になったので覗いてみることは決定。
問題はどこで時間を潰すか。少なくとも30分前から並ぶ熱心な客ごっこをできる身分ではなし、GWの朝9時台に開いてる店なんてコンビニか喫茶店か……
と周りを見渡していたらTSUTAYAに併設される形でスタバを発見。
コンクリートジャングルにオアシスはあったんだ!!トップドローでガバキープ解決!!優勝!!
と駆け込むも、もちろんそんなはずはなく。
休日のこの時間なのにそこそこ混んでる。
TSUTAYA内の本を持ち込んで読んで良い形式のところだったみたいですがそれで混んでるのか?祝日の朝から?
前に並んでるご婦人は「キッシュが冷めちゃうでしょ」と店員にコーヒーはよ出せと静かに圧をかけて急かす。
やっぱりガバキープだったじゃないか今朝の自分よ……
まぁそんなこんなで精神をすり減らし、開館とほぼ同時に美術館内へ。
受付のお姉さん、私が「特別展のチケットを1枚」とぼかしたのを、よくは聞き取れなかったのですが「はい、ヌードですね」と話していたような……
いつから……人間の耳と心は汚れて……
違うんだ、私はそんなつもりでヌードを見に来たんじゃないんだ……
ちなみにというか美術館の名誉のためにというか、展示自体は思わず図録買うレベルに結構面白かったので興味があればぜひ。
ロダンの彫刻がメインっぽいんですが、迫力と色気がすごくて老若男女問わずみんな見入ってました。
・公式サイト:https://artexhibition.jp/nude2018/
時代とともに変遷するヌード表現への向き合い方、あるいはその表現の扱われ方みたいなのを紹介してたんですが、知ってる名前も知らない名前も出てきたりして度々驚かされます。
毎年やってる?のかな?今年は英国テート美術館からやってきたみたいですが、来年どんなものがやってくるかはちょっと気になる。
常設展示も同じチケットで行けたので、暇つぶしのつもりで入ったのが申し訳なくなるくらいにはエンジョイしてました。
……30分前から並んでても良かったんじゃないかな。結果論だけど。まあでもビル風強かったしなぁ……
そんなこんなで美術館を出る頃にはちょうどよくお昼時。
最終目的地のラーメン屋、楓へ向かってひたすらに歩きます。
・北海道らーめん楓 横浜西口店:http://localplace.jp/t200320852/
来てから気づきましたが信心亭の近くでした。最後のボルカを買ったのが信心亭で、なんだか不思議な縁もあるなぁと味噌ラーメンをすする。
縁というと店の名前もそうですが、子供のころはラーメン食べるときはたいてい味噌ラーメンだったんですよね。周りは醤油とか頼んでる所、へそ曲がりだったからでしょうか。
ぼんやり考えを広げると、幼い頃に旅行で来た横浜で、これまた子供の頃からの趣味のカードゲームの大会に来て、長いこと触れてるアイマスコンテンツの、9割名前つながりだけで来た店で味噌ラーメンをすすっている現状に気づき。
ぐだぐだしたわりには収まるところ収まったような旅になっちゃったじゃないの、と少し笑ってしまいました。
横浜来たときにまた寄ろうと店を後に。
帰りの電車は爆睡してました。
8.目標の達成度について
旅が無事に(?)終わったところで、最初の目標3つについて。
・とりあえずドロップせずやり通す
達成しました。
同時にカナスレをフルで9回戦回しても身体がぴんしゃんしていたことは自信になりました。あとは勝つだけ。
身体づくり、睡眠、補給を怠らなければGPなんかも大丈夫そう。
ただ、今回割と長い期間やりこんでいたカナスレだからなんとかなった可能性はあります。
これが例えばスタンで新しいコントロールを組んだ、とかなるともっと消耗は増えるかも。
この辺り今後も「なにが原因で体調を崩すか」「パフォーマンス低下につながるか」は留意していきたいですね。
・トラブルや致命的なミスを起こさない
個人的にここは怪しかった点です。
9回戦の2本目と3本目の間、サイドチェンジ中に分割カードの《乱暴+転落》のみ上下逆さまに入っていたことが発覚しました(スリーブ内の上下は正しいです)。
慌てて対戦相手に報告したのですが、「大丈夫ですよ」とその場は流れ、3本目スタート。
終わってからもやもやしてジャッジに相談混じりに確認したのですが、
「特定のカードが区別の付く状態であったので、対応する場合はまずは正しい向きに直してシャッフルする(警告も確か出る)」
「その際、ゲームの勝敗に大きく関係したり悪質だと思われるものだった場合は重いペナルティ」
「今回は気づいたタイミング的に関係ないが、これがマッチ中気づいたのに黙っていた……となるとあとはわかるな?」
といった返答。
その試合中相手に《外科的摘出》を撃たれお互いに私のデッキの中身を見る機会があったのですが、お互いに気づいていなかったため、「やりがちなミス」止まりで流せるものではあるのかもしれません。(もちろんそうは捉えていませんが)
しかし、無理にジャッジを呼んでかえってトラブルになるのは避けたいという思いから試合中は流してしまいましたが、今振り返ると言い訳にもなりませんしジャッジを呼ぶべきではあったと思います。
原因としてはまず無地のスリーブを使っていたこと。
それから、おそらく頭は疲労していたことです。
疲労に関してはジョン・フィンケルにでもならないとおそらく克服は無理ですが。
スリーブの入り口などでも上下の判断はできますが、無地だとよく注意する必要があります。
まして疲労のある段階だと何が起きるかわかりません。
かつてアンヒンジドの基本土地を絵柄としたスリーブについて「脳がバグっていると本物と誤認しかねない」といった発言をみかけましたが、あながち笑い事でもないと感じています。
またサイドボードの戻し忘れが怖く、本来はメインに入っているものは、サイドボードにおいては逆さまにして管理をしていたのですが、なにかの拍子にごちゃごちゃになっていたりすると、今回のような事態を招く危険があるなとも感じました。
考えられる対策は、分割カードを用いる場合はなるべく上下のわかりやすいイラストのあるスリーブを使うこと。
インアウト枚数で想像する盤外戦術の存在を考慮すると、上記のサイドボード内での管理とは食い違いが生じそうですが、それはおいおい考えます。
イラストのあるスリーブはそれはそれで扱いに気をつける必要があるからと避けていましたが、分割カードの上下はただでさえわかりづらいもの。
脳がバグっていようともケアできる体制は作っておくべきだと感じました。
・宿をとる
次はもう少し治安のいいところを取りたいなと……今回のところも楽しかったのですがね。
レガシーのデッキを持ち込むには流石に……
旅行の計画ももう少し立ててから行きたいですね。
9.おわりに
反省点は多々ありますが、終わってみれば、旅に出てみてよかったなと。
得たものは多かったです。BMさんには感謝あるのみですね。
長々とお付き合いありがとうございました。
勝ったわけでもなし、計画性のあった旅行記でもなしといった記事ですが、楽しんでいただけたのなら幸いです。
出れるかはさておき、日本選手権(無事にPWP集まりました!)やGPに向けて練習するか、モダンをエンジョイするか……とはいえ年末の某太陽のお店の大会が次はおそらくスタンとモダンなのでエンジョイだけで完結するかという話ですが。
ではまた次の記事か、どこかの大会で。
4月29日に横浜の産貿ホールマリネリアにて開催されたBig Magic Sunday Legacyに参加してきました。
結果は4-5で特に書くことがないのもあって、今回は大会レポートというよりはそれを含めた旅行記です。
よっていつも以上に毒にも薬にもならない記事。最後までお付き合いいただければ幸いです。
1.事の起こり
ショックランド混じりでカナスレを回していたのですが、それが先日ようやく完成。
https://twitter.com/RUG_mtg/status/968520104995536896
滞っていた理由はデュアランの値段3割言語7割。軽い気持ちでイタ語沼にハマるんじゃなかったよ……でも安いしTerra表記わくわくするじゃん?
で、完成したら誰かにぶつけたくなってくるわけです。大会出たりフリーで知り合いにぶつけたりしていたのですが、ここにきてBMO開催のお知らせ。
https://mtg.bigmagic.net/article/bmovol10-coverage.html
国内では貴重な賞金制の大会&SCGInviへの切符というアメリカンドリームに溢れる(?)イベント。
それ抜きにしても、競技レベルで300人超え、スイスラウンドで言うと8~9回戦の大会は、特に下環境においては貴重な存在。規模だけ見たらあり得そうなのは晴れる屋TCの大会くらいでしょうか。
これまで経験したREL競技の大会はPPTQのスイス5回戦&SEが最大規模。また知り合いを見ていて、最近は「そろそろGPにも出てみたいなぁ」という欲求が出てきました。
PPTQ→GPへの橋渡しとしてBMOは申し分ない規模ですし、スイス9回戦をREL競技でやり抜くことで、自分の中でプレイの指標が作れるかなという考えがありました。
ましてレガシーのカナスレをフルでぶん回したとなれば多少の自信にはなるかなと。
2018年の下半期にはレガシーのGPが控えていますし、出るかはさておき流れとしてはベストな形。
そんなこんなでBMOへの参加を決意したのでした。
2.計画
無事にBMOへの申し込みが終わったところで、今回は以下の3点を目標に設定。
・とりあえずドロップせずやり通す
せっかく参加してるからというのもありますが、今回の主な目的はプレイの指標づくり。具体的には自分の体力の消耗具合やペース配分を把握することです。そのためにはドロップせず何が何でも食らいついていくのが不可欠。
もちろんペースの把握を初回で完璧に……なんぞ出来ないので、そちらはざっくりとした感じでもOKとしましたが。
・トラブルや致命的なミスを起こさない
コミュニケーションエラーだったり警告をもらったりだったり、そういったことがないように。プレイミスは大なり小なりゼロにはできないのでここには含めません。
9回戦のイベント自体初なので、少々発展的な目標にはなりますが、普段から心がけてはいるので改めて。
・宿を取る
目標というか実行して現実のものにしてはいましたが。
早起きして電車に飛び乗れば行けなくはない距離なのですが、寝坊やGW混雑による電車遅延で遅刻するリスクが気になったのがまず1つ。
次に体力面を考慮すると、なるべく消耗を少なくする選択をしたかったのが1つ。
そしてお恥ずかしい話、「他人の付き合いで乗っかる以外で旅行に行ったこと」がほぼ皆無で、自分でサイト比較して宿を予約したりといった経験がほぼ皆無だったのが1つ。
思い返してみると大抵親に引きずられていった家族旅行だったり、友達に任せきりの旅行だったんですよね……これまで旅したのって……
さすがにそろそろ経験しておきたい、旅行に関するあれこれを全部やってみるか、と。GP出るならどうせ必要になってきますし。
ついでにちょっぴり旅行気分でも味わえたらなぁと。
3.1日目
で、横浜入り当日。
途中秋葉原に寄ってお守りとしてカバンにぶら下げる用の高垣楓さんのキーホルダーを購入。アキバの空気が好きで、英気を養いにぶらつくついでに。
脱線するんですが私『アイドルマスター』というコンテンツをそこそこの長さゆるりと追いかけていまして。
デレマスの担当は渋谷凛ちゃんと橘ありすちゃんなのですが、デレステで楓さんの限定SSRがなぜか揃ってしまったことから彼女にハマりつつ。
え、担当アイドルじゃなくてなんで彼女をお守りに選んだのかって?
いやほら、Canadian Thresholdじゃないですか。カナダですよカナダ。国旗国旗。
……ね?
……こんなんだからこの酔っ払いが揃ってしまったのかなぁ。
彼女ものすごくダジャレ好きなんですよ。ものすごく。ものすごく……
●本日のお宿
閑話休題。京浜東北線に揺られ、石川町で降りる形で横浜入り。
本日のお宿はホステルZenというところ。宿に向かってとことこ歩いていきます。
・公式サイト:http://zen.ilee.jp/
・内装なんかを紹介したのがこちら:http://hamarepo.com/story.php?story_id=3341
「どうせ帰って寝るだけだし、狭いところ落ち着くし、個性的な内装は気にならんな」とリザーブ。朝食ついてたのも評価点。
ですが地図等をチラ見して勘のいい方は「Oh……」となるかもしれません。こちらのホステル、なんと日本三大ドヤ街が1つ、寿町のど真ん中に立地。
三大のうち1つに大阪・あいりん地区こと西成があると書けば何かを察してもらえますかね。私は予約してから調べて気づきました(白目)
「お兄さん何も知らずにこの街に来たのかい!運が悪かったなぁへっへっへ……」
なんてRPG的不穏インシデントに、平成も終わりに差し掛かった頃になって遭遇するなど……自らの無知を呪い内心頭をぽかぽかしつつ街を歩いていました。
とはいえ実際歩いているとそこまで治安は悪くなさそうな。
数年前には殺人事件も起きたりしたみたいなんで別に良いわけではないでしょうけれど、滞在中にトラブルを見かけたり巻き込まれたりもありませんでした。
暗闇からおっさんが突然現れて目の前を通り過ぎ、無言で驚いたりしたのはぽこじゃかありましたがね。
夜はとにかく暗い。明かりが少ない上に、絶妙に死角が多いから謎の緊張感があります。
松影町2丁目の交差点過ぎたら街の様子と空気と自販機の値段が一変するので、何も知らずに行っても「おや?おやおや?」と違和感は覚えそう。
そんなこんなでとぼとぼ歩いて宿に到着。本館と別館とあるうちの本館でした。
駅からは道がわかりやすく距離も近かったのは嬉しい。こればっかは実際歩かないとなんともわかりませんし。
受付は5階。エレベーターは(多分)なし。4~5階の階段の壁にめちゃめちゃ昆虫の標本貼り付いてて、街中よりもこっちの方が驚いたという余談。
受付で料金をまとめて支払い、泊まる部屋の鍵を受け取り。この鍵は出かける際返したりせず、期間中は宿泊者管理で持ち歩く形になるとのこと。
門限もなく(そもそも宿の入り口に扉がない)部屋というか住まいを借りてる感がすごいです。
トイレやシャワー、洗面所は階の真ん中や端の方に存在する形で部屋の外で共同となっていました。ウォシュレットついてたのが嬉しい。
台所と冷蔵庫もあって、料理しても良いとのこと。調味料は好きに使えってのがすごいなぁ……
ビジネスホテルとかカプセルホテルに泊まった経験はありますが、この手合いは初めて。気づいてなかっただけであるいは既に、という可能性もありますが。
堅牢なドアを開けて入った部屋の中は、手狭なところにベッドがどーん。壁にテレビ。小さい机。終わり。Wi-Fi飛んでるのもあって、娯楽には不足しませんでした。
窓からの風景は端的にいうと『空の境界』の『俯瞰風景』です。劇場版。別の宿泊施設の利用者が洗濯物干してるのがバッチリ見えたり。
アートに溢れる部屋もあるようなのですが、今回は普通の内装でした。内装気にならないのですが、なんだか少しだけ残念。
個人的にはこういう所好きなので結構満足してますが、他の人にオススメするかと言われると(街の空気含めて)人を選ぶのは確かなホステルでした。多分この文章読んで「俺もいけそう!」ってなる人は大丈夫なんじゃないかな。
まぁでも街の空気的にレガシーのデッキ抱えて行く場所でないのは確かでしたがね……
●風呂を探せ
シャワーはある、と書きましたが、どうやらコインシャワーの模様。
旅先でコインシャワー入るくらいなら、と銭湯を探して行くことに。
話は前後しますが、家を出る直前に謎の電波を受信しタオルや寝間着をつめこみ、コンビニや薬局に寄って携行用のシャンプーとか必要そうなものを購入していたのですが、宿着いてからドンピシャで役に立ってたことがわかって我ながら謎の感慨に。
いや自分で前もって調べとけよって話なんですがね。うっかりしていました☆
結果的に問題ないからオッケーオッケー。
で、銭湯どこじゃ、そもそもあるんかなと宿のWi-fiに乗って存分に検索エンジンをぶん回していました。
最初に見つけたのはこちら。
・翁湯:https://k-o-i.jp/koten/okinayu/
勤労福祉会館の中に入ってるってなんかもう立地からしてすげぇなって感じですが、近いしいいやと半ば思考放棄気味に必要なものだけ持って宿を出発。
スクショした地図をもとに歩いていたのですが、おかしい、ちっとも見つからない……
不審に戻って一度宿に戻って検索。月末久々にひっかかった通信制限が完全に足かせに。
文明の利器におんぶにだっこな我が身に涙しつつ検索エンジンをブンブンしていたら、なんか建て替えに伴う移転と取り壊しとか出てきたんですがどういうことなの……
http://www.yokohama-kotobuki.or.jp/%E5%AF%BF%E7%94%BA%E7%B7%8F%E5%90%88%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%A6%8F%E7%A5%89%E4%BC%9A%E9%A4%A8%E3%80%80%E5%BB%BA%E6%9B%BF%E3%81%88%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B/
思ったより情報の密度があったことにくらくらしつつ、見切りをつけて次の場所へ。
・恵びす温泉:https://k-o-i.jp/koten/ebisuonsen/
駅挟んで反対側なのですが、そこまで距離も離れていないし道も入り組んでいないしで無事に到着。
入り口の券売機で入浴券購入、靴箱の鍵と入浴券を渡して脱衣所のロッカーの鍵を受け取り……という流れでいざ入浴。
4月の終わりだというのにやたらと暑かったからか、風呂上がったときのさっぱり感たるや。
明日もこの調子なのかしら、と昏い考えが頭をよぎりましたが……途中で夕飯食べに中華料理屋入ったりしつつ宿へ帰還。
デッキ組んでリスト書いて就寝。そのあたりは後ほど。
4.2日目:朝
デッキ組んで布団入ったのが1時、寝付けたのがおそらく2時くらいだったのですが、明るくなってきた6時半ごろに起床。
無事に0回戦は突破。とはいえ睡眠が足りてるんだか足りてないんだかという目覚め。
朝食は食パン(食べたい枚数をトースターで焼いて渡してくれます)、バナナ、ゆで卵にコーヒーというラインナップ。2日間これだったので多分この宿毎日これですが、日頃の朝食がシリアルに牛乳かけるくらいの私からしたら僥倖でしかない。
もさもさ食って部屋に戻り、支度して出発。
途中コンビニに寄ったり自販機で飲み物や軽食を調達。
自販機めちゃめちゃ安かったのは助かりましたね。朝に宿出てその日の飲料を調達するとき、安さと手軽さが嬉しい。
まぁ朝から街の空気は不穏……っていうか、明るくなっていろいろ見える分むしろ夜のほうが怖くなかった気がするぞ……?
昼間から地べたに座ってカップ酒をあおり……というのが起きてても違和感なさそうな異邦感。というか実際昨晩カップ酒の瓶にけつまづいたし。
ところでお守りに買ってカバンにぶら下げてた楓さん、めっちゃ笑顔でビール持ってるんですよね。
https://www.gamers-onlineshop.jp/pn/%E3%80%90%E3%82%B0%E3%83%83%E3%82%BA-%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%BC%E3%80%91%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%A5%E3%80%80%E3%83%87%E3%83%AC%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%80%80%E3%83%87%E3%82%AB%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%BC%E3%80%80%E9%AB%98%E5%9E%A3%E6%A5%93%E3%80%80%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E3%81%AE%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%A8%E3%81%8Dver./pd/10312984/
この街をこれぶら下げて歩くってなんの因果でこうなってるんだ。
旅ってこんなもんのが楽しいよな、と割り切って苦笑するしかない。
まあ全部己の招いた結末なんですけどね。
中華街を抜けていくのが早かったので朝方の中華街を歩いて会場となるマリネリアを目指します。
流石に営業してる店は見かけませんが、これが夜になると人で賑わうのか……と考えると、なんだか少し楽しみが増えた気もしつつ。
門の名前や交差点を手がかりに、特に迷うこともなく会場へ着地。
通信制限下でもペアリングアプリが動くのかしらと心配をしながら、BMマンからもらったアメを舐めたりして暇をつぶす。
ペアリングアプリ自体はいつぞや割と炎上してたのがウソのように(というかそうでないと困る)便利でした。
まぁその一件があったせいか、ジャッジ等のアナウンスで「大変便利な」と入った際に会場からちらほらと微妙な笑いが出ていましたが。
通信制限下で動いてくれたし今後も頼むぜ、という思い。
5.2日目:大会編 ~デッキについて
成績はともかく、大会参加レポなのに使ったデッキについて何も書かないのもなぁ……ということで。
●構築よもやま話
全くの余談なのですが、構築フォーマットについて私は大会前日の夜になってから実際にデッキを組み始めることが多いです。それまでは構想を練ったり大会の上位レシピを眺めて、気になったものや気に入ったものをピックアップしておくくらいにとどめがち。
よくわからない弁明をすると、別にヤソごっこしてるとかじゃなくて自然とそうなっちゃったんです。
今回のカナスレもその例に漏れず。ただレガシーでは現状これしか使っていないのもあってメインボードはすでにほぼ完成していました。その分サイド組むのに2時間かかりましたが。
●使用リストと戦績
閑話休題。
それぞれTwitterから引用。
リスト:https://twitter.com/RUG_mtg/status/990865152877641728
戦績:https://twitter.com/RUG_mtg/status/990572303967649792
リストについて不足は感じませんでした。不足があるとすれば、私の知識と技量。つまりはやり込みです。
エルドラージ、ペインターは相性以前にそれらを特に痛感しました。相手が何をしてくるかがふんわりとしかわからないため適切なサイドボードやその後のプラン立てがしづらく、さらにはなぜ負けたのか分析もしづらい。
これはグリデル戦はじめデルバーミラーも然り。
URデルバーは知識がすでにある程度あり、実際の試合もトップ勝負にもつれ込んで僅差で負けといった形を2回だったのでやむなしという感想ですが、グリデルについては対戦経験の少なさが歯がゆい。精進せねばなりません。
リストに不足を感じないのも、知識不足が原因となって正確に判断が下せていない可能性がありますしね。
しかし、これだけ課題が多いフォーマットであることを痛感しても、不思議と爽やかな気持ちでいられました。
負けた理由の分析をするためにもやりこまなくてはわからないレガシー、奥深さと面白さに溢れています。やっていて常に感じるのは、マジック始めたてのあの頃の、何もかも新鮮でただ知識と体験を貪る楽しさ。
あとは上がるだけです。
●メインボード
特筆することは《電弧の痕跡》、クロックの選択でしょうか。
具体的には「タルモゴイフは必要か否か?」。
・《電弧の痕跡》
第10回のレガシー神決定戦の記事(http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4947)、またTwitterのフォロワーとのやりとりを経て採用してみましたが、2018年4月現在の環境にはかなりマッチしていると感じました。
主な役割は1:2交換。カナスレで貴重なアドバンテージを稼ぐカードです。
同様の役目を担っていた《二股の稲妻》も《火+氷》も、個人的には今ひとつ足りない感覚を抱いていたのもあり、2点+1点という割り振りができるのは見た目以上に強く感じました。
注意すべき点は、同一の対象に3点は飛ばせず、最悪自分自身を対象にとる必要もある点。BMOでは相手本体に2点、自分本体に1点というのを実際にやりました。
使っていてあまりにもハマるし気持ちがいいので2枚くらい欲しくなるのですが、必要悪的に《四肢切断》を取らねばなぁという思いもあり、結果的に1枚のみの採用に。
・タルモ必要or不要論
近年では《わめき騒ぐマンドリル》や《真の名の宿敵》といった代替として申し分ないクロックの出現、《致命的な一押し》の登場から、ことカナスレにおいてタルモは必ずしも必要なカードではなくなり、採用の是非については議論が続いています。
MTGGoldfishに掲載された以下の記事はこれに関する事項(クロックそれぞれのメリットやデメリットなど)をだいたい網羅しています。
個人的には「全てはメタゲームさ」としか言いようがないと感じていますが、ここしばらくはせっかく買ったという情を抜きにタルモを採用しております。
理由は「枚数が取れる」ため。
《わめき騒ぐマンドリル》は4/4というサイズとトランプルから、甘えたブロックを咎めタイトなライフレースを押し付けていく強みがあります。
CMC的に《致命的な一押し》や《突然の衰微》が効かないことから、BUG系ミッドレンジを始めとするクリーチャーデッキ全般にライフレース面で優位に立ちやすく、実際に以上の点から勝ちを拾った試合もあります。
しかし、《敏捷なマングース》との共生を考えると積極的に複数枚の採用はしづらく、空いた穴を必然的に《真の名の宿敵》や追加のスペルで埋めることとなります。
前者はサイドボードにて採用率の高い《乱暴+転落》と衝突し、前者も後者もクロックの重さから着地、ゲームエンドまでに遅れが生じる恐れがあります。
《タルモゴイフ》はそういったデッキ内でのコンフリクトとは無縁で、《グルマグのアンコウ》やエルドラージ系のサイズの大きなクリーチャーと対等かそれ以上に渡り合うことも可能です。
4枚採用も難しくなく、複数枚横に並べてアグロ気味にゲームを支配していくプランも取りやすくなります。
私見ですが、カナスレは一般に言われる「マナ否定やカウンターで蓋をしつつ、優秀なクロックでアンフェア気味にゲームを終わらせるデッキ」であることに加え、テンポデッキという性質から「軽量ドローを中心としてアグロ、ミッドレンジ、コントロールプランを自在に使い分ける理論上最強デッキ」でもあると捉えています。
そのためアグロ、ミッドレンジ、コントロールとどのプランを取るにも無理のないゲーム展開がしやすく、何にでもだいたい強い《タルモゴイフ》がクロックとしてふさわしいと感じました。
ただ、重ねてになりますがこれはメタゲーム次第で変動しうると考えています。
《わめき騒ぐマンドリル》も《真の名の宿敵》も、ライフレースという観点から「マナ否定やカウンターで蓋をしつつ、優秀なクロックでゲームを速やかに終わらせる」というカナスレのコンセプトに沿っているのは確かですし、先述の通りタルモとは全く異なる性質、独自の強みを持ちます。タルモにも弱みはうんとありますし。
サイドボード構築を含めてどういった選択、ゲームプランニングをしていくかは入念に検討する必要があり、要不要は一概に断言できないことも事実です。
●サイドボード
ザ・日和見2000。浅く広く作りました。いくつかピックアップして詳しく。
・置物破壊
私見では茶破壊は理想的には3枚、最低でも2枚あればよいかなと。
エンチャントはそもそも打ち消さないと即死するものしかないので割るという考えがありません。独楽がBANされてからは《相殺》もあまり見ないですし、《相殺》自体メインの《呪文嵌め》やサイドの《紅蓮破》の当てどころで、そもそも奇跡相手に相性が良いと考えているのでスルー可能レベル。
今回は1枚を《炎の印象》とすることで、デルバー系へのガードを上げつつタルモのサイズ確保を狙いました。
また、《削剥》と《古えの遺恨》を1:1に散らすことでさらに浅く広くし、苦手なデスタク系へのin枚数とガードは落とさず構築。
《硫黄の精霊》なんかを取るか悩みましたが、3回戦で勝ちを拾えていますし、9回とも異なるデッキと当たっていることから結果論としてはこれで良かったかなと。
ちなみに2時間かかった原因の3割。
・《炎の印象》
言われるまで気づかなかったのですが死儀礼に抜かれないことから採用(あほ)。タルモが育ちやすくなります。
追加の除去枠としてはたいてい《渋面の溶岩使い》が優先されますが、マングースとのアンチシナジーや、そもそも真っ先に除去飛んできて安定して機能しない点が気になっていました。
素直に打ち消しと入れ替えるとデルバーのひっくり返る確率は微妙に下がりますが、そもそも彼を確実に変身させる手段自体が……ということでそこは妥協。
・《発展の対価》の採用
タルモが弱点となるのはBUG系を始めとするデッキ。またエルドラージや土地単相手に無理やり押し込んで相性やゲームをひっくり返すカードとして、お守り気味に採用。
2時間かかった原因の6割。
この枠を《硫黄の渦》などを取ってコントロールに更に強くするか、《硫黄の精霊》や追加の打ち消しを取って負けにくい相手を作るか……といったことを延々と悩んでいました。
どうせトップメタはグリデル想定なので、グリデルを狩りに来ているデッキで何が多いかをうだうだと悩んだ挙げ句寝る時間になり、「よくわからん」と逃げの一手でお茶を濁した形。
結局一度も引かなかったのですが、上記を取っていてオーバーサイドボードになっていたら……と考えると、逆説的に正解だったのかなぁとは。
2時間のあと1割は枚数確認とか諸々。
6.2日目:夜 ~祭りのあと
そんなこんなで4-5。エルフかURデルバー戦のどちらかで勝てていれば……などと多少考えはしましたが、考えたところでどうなるでもない話。
全敗も割と起こすので、初めて競技レベルのレガシーに出て、この成績ならまずまずかなと。
現地で一緒になった知り合いに時々マッチ後の反省会に付き合ってもらったりもしたのですが、プレイ面やサイドボードで明らかなミスをしていないっぽかったですし。
ちなみにその知り合いはマネーフィニッシュしてリストがネットの海に乗りました。日頃からクソうまいなこの人って感じなので特に驚きはしませんでしたが。
これから詰められるところがまだまだあるなぁということで今回のBMOは終了。勝っても負けても楽しい時間でした。ありがとうBIG MAGIC。
そうそう、普段は大会終わると肩こりと頭痛と疲労で死にかけてるんですが、今回9回戦ほぼフルマッチもつれこんでるのにぴんしゃんしていました。
理由を考えてみたんですが、最近少し運動したり体を鍛え始めたのと、睡眠と当日浴びるように水とスポーツドリンクを飲みまくっていたからかなぁと。
毎ラウンド終わるたびに500mlのペットボトルがほぼ1本空くペースで消耗と補給を繰り返していました。会場の席配置のせいかレガシー側がすごい気温になっていたらしいのもあるのかなとは思うのですが、ドロップして人が減った後半でも補給ペースはあまり衰えず。
補給と体作りと休養。「私に足りてなかったのはこれか!!」という気づきを得たのは今回の旅の大収穫でした。およそカードゲームらしい要素ではない気もしますが。
補給というと、松屋が来ていたのも大きかったですね。カロリーと血糖値と幸福度をありがとう。チョコレートバーとかおにぎりだけだとやはりその辺キャップを感じてしまうタイプなので、肉が食えるのはとても嬉しかったです。
で、慰み半分にせっかく物販来てるし覗かないわけにも行くまい!と気持ちを切り替えお買い物タイムへ。体も元気だしね。
実はラウンド間でもちょこちょこ覗いていたのですが、買うか迷っていたものはだいたい品切れてしまっていました。とほほ。まぁ念のため持っておきたいなくらいだったので買えなくても……という感じだったのですが。
なにかないかしらとファイルをめくっていたところ、なんとSCG謹製、Caleb Schererのストームカウンタートークンを発見!!
Caleb Scherer氏はSCGを中心にモダン・レガシーでストームデッキを回し続ける達人で、彼がSCGの招待制大会、SCGInviを優勝した記念として作成されたのがこのトークン。Twitchで精力的にMO配信(日本時間だと真夜中ですが)をしていたり、サイドボードの記事を書いたりなど、実力も相まってストームを学ぶならまずは、と支持されているプレイヤー。あと猫好きです。飼い猫の写真がたまにTwitterに上がるんですがこれがすごく可愛いの。
一時期モダンでストームを練習していた時期があり、またどうせレガシーなら相手のを数えるのに使うから持っててもよいかと探していたのですが、モノがモノで晴れる屋すら取り扱っていない模様で中々見つからず。それがこんなところで出くわすとは!
もちろん即座に購入。これを逃したら次はない予感しかないしな!
あとはガラガラでも回そうかなと。モダンもレガシーも新しいデッキを組んだり足りないカードを買ったり、といったことがないので。こういう機会しか中々楽しめないものですよね、これとかクジとか。機会というより中身的に。限定って言葉に弱い人種なんです。
「BMさんのサプライおしゃれなの多いし、だいたい何出ても嬉しいな」ってことで1回回した所、Rebecca Guayのデッキケースをもらいました。
やたらとでかい。「今日のFNMはモダンのアブザン連れて行って《未練ある魂》いっぱい並べよ!」ってときにちょうど良さそうなサイズ感です。多分ぜんぜん伝わらないとは思いますが。
3重スリーブくらいでも余裕で行けそうなサイズなので、需要ありそうだしこれむしろ店売りするべきなんじゃ?とはちょっと頭をよぎりましたが、世の中そんなに物が簡単に売れないんだろうなぁ。権利的なものとかもあるのかしら。
会場でやることなくなったあたりで、今日中に電車で帰るという件の知り合いとともに駅へ。途中までは一緒だし、と。
その後一旦宿に帰って荷物を入れ替え、昨日同様風呂と晩飯を求めに出発。
せっかくだしなーと中華街で手頃な値段の店に入りました。事前に調べておくのも良かったかな。
最悪コンビニ弁当でもいいかという考えだったのですがあまりにも無軌道すぎた。
銭湯では1日目は気づかなかったのですが、男湯と女湯の入り口の間に階段がありました。
上がるとリラクゼーションスペースみたいになっていて、脇に2台のマッサージ椅子が。
10分200円。課金して体をほぐす。
なんかバリバリゴリゴリ鳴ってたんですけど私の体どうなってんだろ。
すっかり休養旅行にきたような気持ちになりながら宿へ。
海が近いからか空気が心地よいです。そういや会場からも少し出れば海がバッチリ見えたなぁ。
泥のように眠る……ということもなく、ぼんやりとTwitter眺めたり深夜番組眺めたりしつつ、眠くなってきたところで就寝。
7.3日目
大会は終わりましたが旅はもう少し続きます。
まぁ無軌道旅行なので、大した続きでもないのですが。
昨日の帰り道で知り合いから「“楓”って名前のラーメン屋が横浜駅の方にあるぞ」という情報を入手していたので、まぁこれも何かの縁と昼食はそこにしようと決めていたものの、それまで何をするかが全くの無計画。
赤レンガ倉庫やカップヌードルミュージアムがマリネリアから割と近くにあったのですが、内容的にふらっと行くところでも一人で行くところでもなさそうな印象。
加えて幼い頃に横浜には何度か旅行に来ており、みなとみらいや中華街といったメジャーなところは既に経験済み。
新しいところにいくのと改めてもう一度いくのだと、余程でない限り前者を選びがちな私。行く場所のなさに悩むというおそらく旅行にあるまじき苦しみを味わっていました。
結局「横浜の風が気持ちよかったし、海ももう少し見たいなぁ」という何も生産性のない考えから「赤レンガ倉庫周辺→汽車道→横浜駅方面と単に散策しながらなにか見つければいいか」というふんわりキープ基準で宿を出発。
ちなみにこの時点で確か大体8時くらい。
どうせチェックアウト10時で少しでも伸びるとお金かかるので、早く出るかという気持ちだったとはいえガバキープの予感がする。
横浜の港町感を楽しみながら上記のルートをぶらぶらしていたところ、案内看板に横浜美術館の文字が。
横浜美術館:http://yokohama.art.museum/
美術館か!美術館なら一人でも楽しめるぞ!大抵は特別展もあるし!!
とウキウキしながら歩いていったところ、特別展はどうやら現在ヌード展を……
ヌード……ヌード!?
あぁ私が浅学なばかりにヌードさんという作家がいるのを知らなかったんだと《思案》して考えをシャカシャカして現実から逃げていたのですが、そんなことはなく普通に裸の方のヌード。
開館時間は10時、現在時刻は9時半ジャスト。
いかん、私これでは息を切らせて(※ぶっ通しで歩いてて荷物の量があったからです)HADAKA☆目当てにフライングした残念なおっさんに見えやしないかこれ……?
ちくしょうやっぱりガバキープだったじゃねぇか!!
っとはいえ行く宛もなし、なんでこんな展示をやってるんだと気になったので覗いてみることは決定。
問題はどこで時間を潰すか。少なくとも30分前から並ぶ熱心な客ごっこをできる身分ではなし、GWの朝9時台に開いてる店なんてコンビニか喫茶店か……
と周りを見渡していたらTSUTAYAに併設される形でスタバを発見。
コンクリートジャングルにオアシスはあったんだ!!トップドローでガバキープ解決!!優勝!!
と駆け込むも、もちろんそんなはずはなく。
休日のこの時間なのにそこそこ混んでる。
TSUTAYA内の本を持ち込んで読んで良い形式のところだったみたいですがそれで混んでるのか?祝日の朝から?
前に並んでるご婦人は「キッシュが冷めちゃうでしょ」と店員にコーヒーはよ出せと静かに圧をかけて急かす。
やっぱりガバキープだったじゃないか今朝の自分よ……
まぁそんなこんなで精神をすり減らし、開館とほぼ同時に美術館内へ。
受付のお姉さん、私が「特別展のチケットを1枚」とぼかしたのを、よくは聞き取れなかったのですが「はい、ヌードですね」と話していたような……
いつから……人間の耳と心は汚れて……
違うんだ、私はそんなつもりでヌードを見に来たんじゃないんだ……
ちなみにというか美術館の名誉のためにというか、展示自体は思わず図録買うレベルに結構面白かったので興味があればぜひ。
ロダンの彫刻がメインっぽいんですが、迫力と色気がすごくて老若男女問わずみんな見入ってました。
・公式サイト:https://artexhibition.jp/nude2018/
時代とともに変遷するヌード表現への向き合い方、あるいはその表現の扱われ方みたいなのを紹介してたんですが、知ってる名前も知らない名前も出てきたりして度々驚かされます。
毎年やってる?のかな?今年は英国テート美術館からやってきたみたいですが、来年どんなものがやってくるかはちょっと気になる。
常設展示も同じチケットで行けたので、暇つぶしのつもりで入ったのが申し訳なくなるくらいにはエンジョイしてました。
……30分前から並んでても良かったんじゃないかな。結果論だけど。まあでもビル風強かったしなぁ……
そんなこんなで美術館を出る頃にはちょうどよくお昼時。
最終目的地のラーメン屋、楓へ向かってひたすらに歩きます。
・北海道らーめん楓 横浜西口店:http://localplace.jp/t200320852/
来てから気づきましたが信心亭の近くでした。最後のボルカを買ったのが信心亭で、なんだか不思議な縁もあるなぁと味噌ラーメンをすする。
縁というと店の名前もそうですが、子供のころはラーメン食べるときはたいてい味噌ラーメンだったんですよね。周りは醤油とか頼んでる所、へそ曲がりだったからでしょうか。
ぼんやり考えを広げると、幼い頃に旅行で来た横浜で、これまた子供の頃からの趣味のカードゲームの大会に来て、長いこと触れてるアイマスコンテンツの、9割名前つながりだけで来た店で味噌ラーメンをすすっている現状に気づき。
ぐだぐだしたわりには収まるところ収まったような旅になっちゃったじゃないの、と少し笑ってしまいました。
横浜来たときにまた寄ろうと店を後に。
帰りの電車は爆睡してました。
8.目標の達成度について
旅が無事に(?)終わったところで、最初の目標3つについて。
・とりあえずドロップせずやり通す
達成しました。
同時にカナスレをフルで9回戦回しても身体がぴんしゃんしていたことは自信になりました。あとは勝つだけ。
身体づくり、睡眠、補給を怠らなければGPなんかも大丈夫そう。
ただ、今回割と長い期間やりこんでいたカナスレだからなんとかなった可能性はあります。
これが例えばスタンで新しいコントロールを組んだ、とかなるともっと消耗は増えるかも。
この辺り今後も「なにが原因で体調を崩すか」「パフォーマンス低下につながるか」は留意していきたいですね。
・トラブルや致命的なミスを起こさない
個人的にここは怪しかった点です。
9回戦の2本目と3本目の間、サイドチェンジ中に分割カードの《乱暴+転落》のみ上下逆さまに入っていたことが発覚しました(スリーブ内の上下は正しいです)。
慌てて対戦相手に報告したのですが、「大丈夫ですよ」とその場は流れ、3本目スタート。
終わってからもやもやしてジャッジに相談混じりに確認したのですが、
「特定のカードが区別の付く状態であったので、対応する場合はまずは正しい向きに直してシャッフルする(警告も確か出る)」
「その際、ゲームの勝敗に大きく関係したり悪質だと思われるものだった場合は重いペナルティ」
「今回は気づいたタイミング的に関係ないが、これがマッチ中気づいたのに黙っていた……となるとあとはわかるな?」
といった返答。
その試合中相手に《外科的摘出》を撃たれお互いに私のデッキの中身を見る機会があったのですが、お互いに気づいていなかったため、「やりがちなミス」止まりで流せるものではあるのかもしれません。(もちろんそうは捉えていませんが)
しかし、無理にジャッジを呼んでかえってトラブルになるのは避けたいという思いから試合中は流してしまいましたが、今振り返ると言い訳にもなりませんしジャッジを呼ぶべきではあったと思います。
原因としてはまず無地のスリーブを使っていたこと。
それから、おそらく頭は疲労していたことです。
疲労に関してはジョン・フィンケルにでもならないとおそらく克服は無理ですが。
スリーブの入り口などでも上下の判断はできますが、無地だとよく注意する必要があります。
まして疲労のある段階だと何が起きるかわかりません。
かつてアンヒンジドの基本土地を絵柄としたスリーブについて「脳がバグっていると本物と誤認しかねない」といった発言をみかけましたが、あながち笑い事でもないと感じています。
またサイドボードの戻し忘れが怖く、本来はメインに入っているものは、サイドボードにおいては逆さまにして管理をしていたのですが、なにかの拍子にごちゃごちゃになっていたりすると、今回のような事態を招く危険があるなとも感じました。
考えられる対策は、分割カードを用いる場合はなるべく上下のわかりやすいイラストのあるスリーブを使うこと。
インアウト枚数で想像する盤外戦術の存在を考慮すると、上記のサイドボード内での管理とは食い違いが生じそうですが、それはおいおい考えます。
イラストのあるスリーブはそれはそれで扱いに気をつける必要があるからと避けていましたが、分割カードの上下はただでさえわかりづらいもの。
脳がバグっていようともケアできる体制は作っておくべきだと感じました。
・宿をとる
次はもう少し治安のいいところを取りたいなと……今回のところも楽しかったのですがね。
レガシーのデッキを持ち込むには流石に……
旅行の計画ももう少し立ててから行きたいですね。
9.おわりに
反省点は多々ありますが、終わってみれば、旅に出てみてよかったなと。
得たものは多かったです。BMさんには感謝あるのみですね。
長々とお付き合いありがとうございました。
勝ったわけでもなし、計画性のあった旅行記でもなしといった記事ですが、楽しんでいただけたのなら幸いです。
出れるかはさておき、日本選手権(無事にPWP集まりました!)やGPに向けて練習するか、モダンをエンジョイするか……とはいえ年末の某太陽のお店の大会が次はおそらくスタンとモダンなのでエンジョイだけで完結するかという話ですが。
ではまた次の記事か、どこかの大会で。
おはこんばんにちは。てむるです。
今回はPPTQに初めて参加してきたのでスタンの記事。赤単を使って結果はSE2没でした。
・結果とリスト:https://twitter.com/RUG_mtg/status/960104785457250305
初参加のラッキーパンチにしては上ブレすぎた感。賞品のパックの引きはあれでしたが、たくさんバリバリできたし有名プレイヤーにも当たれて楽しいマジックでした。
今回はPPTQに出た理由、赤単を握った理由と、環境や赤単についてつらつらと。
いつも以上に締まりなく長い記事ですが、最後までお付き合いいただければ幸い。
『現環境(KLD~RIX)の赤単について』というところ以降がメインコンテンツです。忙しい人向けの補足。
●PPTQに出た理由
そもそもパックを剥くのが大好きな週末カジュアルプレイヤー故、競技プレイ(と賞品のどっさり貰えるパック)に興味こそあれ、観戦で済ませてわざわざPPTQに出るまでもないかなー程度のスタンスでした。
イクサラン環境では楽しさとショーダウンパックを求めてティムールをだらだら回していたのですが、2018年1月の改定で残念でもなく当然の禁止。
・ティムールの最終系:https://twitter.com/RUG_mtg/status/947063475691331584
・『2018年1月15日 禁止制限告知』http://mtg-jp.com/publicity/0030144/
禁止される予想はあったので「経験あるし赤単でも使うかぁ」くらいにのほほんとしていたらよく見ると赤単も同時に禁止対象に。
使えるデッキがなくなりました。一瞬目の前が暗く。
で、「デッキ無いならスタンやめようか」と割と本気で思っていたところにニッセン開催のお知らせ。
・『国別選手権2018とワールド・マジック・カップ2018の日程およびフォーマット』http://mtg-jp.com/publicity/0030167/
スタンとドラフトというPTライクな混合フォーマットに加えて、多くのスタープレイヤーもぶらっと参加。そんな大会ながら必要な参加資格はプレインズウォーカーポイント(以下PWP)を集めるのみ。
競技マジックミーハーにして週末カジュアルプレイヤーたる私にとって、これほど胸躍る大会はありません。昨年見事2日目に進出した知人がおり、報告を聞いているだけでも楽しそうでウキウキしていたのですが、2018年も開催される運びのようです!YATTA!是非とも出たいね!!
YATTAじゃない。そうです、出るならスタンを継続する必要があるんです。スタンやめたいんだけどスタンやめられないんだけど。
ついでいうと参加に必要なPWPもちょびっと足りません。ショーダウンやストアチャンピオンシップスの倍率の高さ、モダンの上ブレ勝ち越しでカジュアルながらそこそこ貯まってはいたのですが、このペースだと5月までに間に合うかは微妙。
……ということで、PWPと賞品のパック、あるいは有名プレイヤーや強豪との戦いを求めてPPTQへの参加を決心するのでした。なんだかストリートファイターっぽいね。
●赤単握った経緯
出るのは良いんですがデッキがありません。どうするんだ。
とりあえずありあわせのパーツをかき集めて「青赤コントロール」や「4Cみのむしぶらりんしゃん」、「ジャンドエネルギー」や「土地24枚ティムール」を一人回しする日々。
が、しっくりくるものが出来ません。というか勝てる気が全くしない。
特にエネルギーの絡むデッキの場合、資産、アイデア(もとい電波)、デッキの強さ的に緑を触る理由や強みが全くなくなっているのが結構なダメージ。
デッキができません。ダジャレを言っている場合か。死活問題じゃ。
こうなったら強い人の知恵を借りに行く……という名目で、気分転換に一度メタゲームを整理。
・『『イクサランの相克』環境初陣戦カバレージ』http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4865
・『USA Standard Express vol.114 -禁止改定、スタンダードは新たなステージへ-』http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4878#SCGCDallas
・『Standard Metagame (All Decks)』https://www.mtggoldfish.com/metagame/standard/full#paper
・『津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 『イクサランの相克』発売! 新たな世界の探検』http://mtg-jp.com/reading/tsumura/0030171/
グリクシスミッドレンジ(エネルギー)、マルドゥ機体、王神、赤系アグロあたりがどうやらTier1……ってちょっとまて。
・『Mono-Red Aggro』http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=118376
赤単生きてるゥー!?SCGクラシック優勝!?
もともと赤単はデッキ候補だったため、試しに組んでみたところ中々好感触。そらそうだ。ぶん回り自体は残ってるし、ハゾレトやケンラという最低限のマナフラ受けも健在。
いくらかレシピも見比べつつ、調整する形でPPTQへ持ち込みました。で結果は冒頭の通り。前日調整のために出たショーダウンと併せると結構な額のポイント、参加費分以上のパックと有名プレイヤーとの対戦もできてほくほくでした。
●現環境の赤単(KLD~RIX)について
……で、結果だけ書いてわーいってDNは個人的に満足しないので、実プレイして受けた現在の環境や赤単に対する雑感を書いていきます。
そもそも握った理由からして割と端折ってますしその辺細かく。
なおちょいちょい今回用いたリスト、SCGのリストを元に話をしますが、適宜補完していただければ。
一応再掲。
今回のリスト:https://twitter.com/RUG_mtg/status/960104785457250305
SCG:http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=118376
○禁止後どうなったか
赤単は禁止の影響を間違いなく受けました。白系デッキへの最強アンチカードにしてTier2キラー《暴れ回るフェロキドン》はもちろんのこと、《ラムナプの遺跡》を失ったのが結構痛い。
この砂漠、序盤の色マナ調整、終盤の詰め&マナフラ受けといった最後までチョコたっぷりなカードで見た目以上の強さがありました。主観ではモダン親和の《電結の荒廃者》みたいなカードです。インスタントで動けたのもめちゃくちゃではあった。
どっこい先ほど述べた通り、ぶん回りのパーツと最低限のマナフラ受けは残っており、デッキとしての形は保っている印象。
また、同じく禁止の影響を受けたティムールは個人的には微妙でした。
《翡翠光のレインジャー》は《ならず者の精製屋》と違って土地以外のカードを引き込むことが出来ない、つまりマナスクリューには強いですがマナフラッドには弱く、どのみちタフネスも3が上限で《削剥》圏内。赤緑モンスターのようにデカブツ連打デッキでは中々強いのですが、やはり様々な劣勢への回答を引き込める可能性のあった《ならず者の精製屋》には一歩劣る印象。
そもそも緑込みエネルギーは余剰エネルギーあってこそのデッキであった印象。カードパワー自体は健在ですが、元より《霊気との調和》や《ならず
者の精製屋》頼りでウワモノがマナベースにだいぶ負担をかけていたため、何もしなくても倒れるケースが多い……と一人回しの時点で感じる程度にはもっさりしていました。
○その他のTier1と比較して
禁止後上がってきたデッキは、先述の通り以下の4つ。
※あくまで個人の感想です。
・グリクシスエネルギー
新進気鋭……に見せかけて前環境から存在はしていたデッキ。黒と赤の除去、青の打ち消しから強力なものを大量に採用可能で、クリーチャーも《光袖会の収集者》から《スカラベの神》まで申し分ないラインナップ。サイドカードも豊富な「全天候型」のミッドレンジといってよろしいかと。リスト見た感じだと個人的には下環境のBG系ジャンクみたいな印象も受けます。多分ボブと除去のせいだ。
・マルドゥ機体
プロツアー優勝経験をもち、カラデシュ産デッキ連中が相次ぎBANされ(というか真っ先に自分から出した)デッキが消えていく中でも生き延びた怪物デッキ。
アグロからコントロールまで変幻自在にシフトチェンジしながら、クリーチャー、機体、プレインズウォーカーと多角的に相手を追い詰めていくストラテジーはやはり強力。そこに「相克」の新カードを取り入れパワーアップ。
・《王神の贈り物》デッキ
直近だとWMC優勝の日本がサードデッキに用いたのが有名ですね。
前環境Tier1.5~2の中で、Tier1のエネルギーと赤単にまともに勝負を仕掛けられるパワーのあったデッキ、禁止改訂でお咎めなしなため順当にTier1へ。
コンボデッキでありながら、サイド後はミッドレンジとしても立ち回れるのが特徴にして最大の強み。最近は黒を入れて《スカラベの神》を採用したものが主流?
・赤系アグロ
前環境に続き赤単と赤黒。そして「相克」を経て赤白もここへ参入。
いずれも歴代屈指の速度。
トークンや赤緑モンスター、白青オーラといったTier2のデッキも多く、それらも大抵はTier1相当の地力やぶん回りをもっているので、環境自体は混沌としています。
上記Tier1の共通点は「対処されづらい強カードを複数搭載or最も強く使える」or「ぶん回りが強力で対処されにくい」といったところでしょうか。
機体やエネルギーといったグッドスタッフ的なミッドレンジが前者、赤系アグロや王神のコンボなどが後者にあたります。
……端的に言うと「対処されづらいカードやコンセプトは強い」みたいな身も蓋もないやつです。いつものスタンといえばいつものスタン。
○赤単の強み
赤単はその他Tier1と比較してどんな所が強みか。
・速度
環境最速のぶん回りでそのまま轢ききってしまうケースもしばしば。「よくわからないデッキをよくわからなかったけどよくわからないまま倒す」という勝ち方も出来ますし、Tier1同士のぶつかり合いでも一瞬の遅れから一気に勝てる爆発力とスピードは強みです。
・マナベース
これはTier1同士のぶつかり合いの他、赤系アグロ同士の撃ち合いでも通じます。2色以上ではしばしば「いかにタップインを処理するか」がプレイの判断指針に含まれるスタンダードにおいて、タップインによるもたつきと無縁にアンタップインのみで動き続けられるのは明確な強み。
色事故はありますが、そこはご愛敬。マジックそのもののネックですし。
・プレイヤーの体力温存が容易
ここが個人的には重要。私は肩こり頭痛に悩まされがちなのですが、このデッキに関してはそれと無縁でした。
1試合早いと20分以内で終わるので、30分間のんびりできます。追加ターン突入卓があればさらに伸びます。PPTQのような5~6試合&SE3回戦といったイベントで、50分+αフルに戦うのと、半分の時間でとっとと勝つか負けるかしてしまうのと、十分考慮すべき差異だと思います。
今回、特にマナベースに関しては、上記Tier1の中から赤単を握った主たる理由でした。
緑込みの楔3色ミッドレンジ(スゥルタイ、ティムール)はエネルギーパーツの衰退から、完全に勝ち切る構築は厳しくなりました。《巻きつき蛇》という抜け道こそあれ、マナクリによるマナ加速でタップインの遅れを相殺するような動きは取りづらくなったためです。
同じく楔3色のマルドゥ機体に関しては《スレイベンの検査官》を失ったイクサラン参入後から安定性が低下しているのが気になっていたため握る気にならず。
友好3色のグリクシスに関しては、友好色がタップインしがち(特に最序盤)で、どうしても土地が詰まると手札が渋滞しやすく赤系アグロへ事故負けしてしまう不安がありました。
また、「欲しい色マナが出ない」といった理由でのマリガンも増える事が予想されました。3色だとなおの事。
総括して序盤か中盤のどちらかでもたつく可能性がある、つまり「アグロに有利なミッドレンジでありながら、アグロが最も苛烈なタイミングで足元を掬われかねない」印象を受け、そこが気になった形です。2色の赤系アグロも同様。
ならば使う側に回ってしまおう、と。
王神を握らなかったのは単純に経験が全くないデッキであったためです。スカラベを使ったコントロールなどもスカラベの扱いに慣れていないため除外。
まぁ単純に赤単以外はパーツ高い&持ってないのも多くて組みたくなかったのもありつつ。
○RIXを経て
・土地枚数
現在は22~24の間でうろうろしているようですが、ところで4マナや5マナのカードもしばしば採用する赤単、適正土地枚数は何枚なのでしょう。
かつて赤単スライでオランダ選手権Top8入りを果たしたFrank Karsten曰く、遺跡禁止前の赤単では“I felt like the ideal number of lands on the play after sideboard was close to 24.6, and a 25th land could help you go even bigger. ”(引用元:https://www.channelfireball.com/articles/getting-red-y-for-pro-tour-ixalan/)とのこと。
要するに「24.6枚の土地が欲しいから25枚目の土地があると良いんだよね」という話で、実際にPTイクサランで井川良彦さんが土地25枚の赤単で17位入賞を果たしています(参考:http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4670)。
また、サイド後《反逆の先導者、チャンドラ》を投入するのは言わずもがなこの助けとなります。今回のPPTQのリストでは金銭的理由から1枚のみでしたが、諸事情から2枚は採用しておけると安心という印象。特に《栄光をもたらすもの》を採用する場合などはなおのこと。
仮に望ましいとされる25枚より土地を削る場合でも、チャンドラがマナを支えとなる形になります。
閑話休題。翻って遺跡を失った現在でも、使用カードのマナ域はさほど変化していないため、適正枚数は25枚と考えてよいと思います。
また色マナに関して、晴れる屋のマナベースの記事を元にすると「2ターン目に赤ダブルを揃えたい場合《山》は18枚」、「3ターン目までに揃えばいい場合《山》は16枚」であるとできます。(参考:http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/2756)
さて、上記の事とそもそもの期待値的な話(参考:http://mtg-jp.com/reading/katerumagic/0015205/)、墓地対策に《屍肉あさりの地》を入れておきたいな、といった視点を織り交ぜると、枚数と内容例は以下のように。
22枚:3枚まで引ければいいや理論(例:《山》18枚+《陽焼けした砂漠》4枚or《山》16枚+《陽焼けした砂漠》4枚+《屍肉あさりの地》2枚)。
23枚:3枚まで引ければいいや&4枚目を引く期待値がそこそこ(=マナフラとマナスクリューの両方をケア)(例:《山》18枚+《陽焼けした砂漠》4枚+《屍肉あさりの地》1枚)。
24枚:4T目の土地枚数の期待値が4に到達する(例:《山》18枚+《陽焼けした砂漠》4枚+《屍肉あさりの地》2枚)。
25枚:デッキ的に要求される適正枚数(例:《山》19枚+《陽焼けした砂漠》4枚+《屍肉あさりの地》2枚)
22枚に近づけばクリーチャーやスペルを詰め込める分マナスクリューによる事故率は上がり、25枚に近づけば安定性は上がりますが速度やスペルを搭載できる枚数は低下します。
この辺のマナベース考えてるといかに《ラムナプの遺跡》が強かったのか実感しますね……
個人的には23枚+サイドに1枚という今回のマナベースが最もしっくりきています。
SCGのリストでは土地22枚で《栄光をもたらすもの》を採用していましたが、メインにチャンドラもなく、期待値的にはかなり厳しいのではないかと感じました。
そのため今回のリストではサイドにチャンドラと併せて《栄光をもたらすもの》を採用。メインの土地を23枚にして4枚目を引く期待値を上げつつ枠を確保し、サイド後は細かいギアチェンジが可能なようにしました。
またなんだかんだでしばしば2T目に赤ダブルが欲しくなる場面も多く、《山》は18枚採用しました。
終わってみると、マナクリを0.5枚換算する形でチャンドラを数える場合、やはりマナベース的にはチャンドラの2枚目があると合理的であった感覚がします。24.5枚しかない計算になるためで、マナ出さなくても純粋に4マナとして強いですしね。
ただその分サイドに枠を作れていたので、何が正解だったのかは一概に語り辛い気もします。マジック難しい。
ということで個人的な結論としては、75枚中に24枚の土地(《山》18枚+《陽焼けした砂漠》4枚+《屍肉あさりの地》2枚)と2枚のチャンドラを入れるのが、マナベースとして適正な形なのではないかと提言させていただきます。
もちろんウワモノの配分で変わってくるでしょうし、「これ以外は間違っている!!」とは全く思いませんが。
・カードあれこれ
昨今のリストで目についたものをいくつか。
《暴力の激励》
斎藤友晴ストラテジーその1(参考:http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4659)。
SCGのリストではメインから4枚採用されていました。疑似《ボロスの魔除け》としてキルターンを早めます。1T目《損魂魔道士》→2T目《稲妻の一撃》→3T目《陽焼けした砂漠》セットから《暴力の激励》&《ショック》と動けると相手ライフが5になってます。
モダンのバーンかな?
とはいえぶん回りのルートとしては結構この視点が重要かなとは。
歴史的に、赤単のアグロデッキには、「面突破クリーチャーデッキ」の「スライ」と、「点突破スペルデッキ」の「バーン」があります。両者とも似通ったところがあるのは置いておくとして、現在の赤単はスライの系譜に存在し、スペルはあくまで補助であって基本はクリーチャーを展開しライフを削っていくデッキです。
そのためクリーチャーが引けない=バーン的なスペル中心の点突破をせざるをえない場面では、行動回数やコストパワーの面からキルターンは遅くなりがち。《暴力の激励》はこの点突破プランを1枚で現実的なラインに引き寄せられるカードです。
面と点の両方で攻めるという話は、遺跡同様やはりモダンの親和に繋がるところもあるかも(参考:http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/1445)。
コンバットトリックとしても優秀で、相手のブロックを悩ませ、詰めにも使えるナイスカード。
ただ、疑似ボロチャとはいえ腐りがちなので、PPTQ使用のリストでは3枚にしました。
・《両手撃ち》
斎藤友晴ストラテジーその2。白系のデッキがきつくて入れました。同型相手にも仕事するナイスカードで、インスタントなのも優秀。相手ターンの終わりに撃つ、コンバットと絡めて撃つなど使い方はさまざま……
《発明の天使》を1枚で返そうとすると《猛火の斉射》も捨てがたい。このあたりはメタゲーム次第かも。
・《帆綱走り》&《狂信的扇動者》
待望の1マナクリーチャー。ただ今回のPPTQでは両者とも不採用でした。
《帆綱走り》は強襲とボーマットの噛み合いが今一つだった点が気になりました。ただ1マナ2/2先制攻撃は着地すれば文句なく強力で、特に同型や王神の最序盤地上クリーチャー戦闘に滅法強いのは評価点。
《狂信的扇動者》は腐っても1点火力になり、特に赤系アグロミラーのダメージレース荒らしにおいて鬼神の働きを見せるカードですが、コントロール相手に置いた試合100%負けていたので今回は不採用。
赤系アグロと2~3回スイスで当たるような環境ならば投入を検討してよいかと。今回はメタゲームもわからず、サイドにアグロミラー用のカードを多くとっていたため不採用でした。
・《再燃するフェニックス》
値段故に買えてないので今回は不採用。ミラーで無限にハゾレトをブロックできるカード。複数置いたりハゾレトと一緒に置けますね。
走攻守揃ってるんですが、ハゾレトの突破力にもチャンドラの対応力にもいまひとつ足りていないのが少々ネック。とはいえ十二分に強いので、枚数散らす形での採用もアリかも。
・《凶兆艦隊の向こう見ず》
赤い《瞬唱の魔道士》。先制攻撃が地味に偉い。
値段故に買えてないので今回は不採用。瞬唱もそうなんですが基本的に3マナ以上のカードとして捉えるため重く、素のカードのバリューとしては2マナ域では3番手4番手となりそうだな、と。
書いてあることは強いんですが、相手の墓地依存なのもなんとも。サイド要員にしてもこいつ入れるより強いカードor入れるべきカードがあるのでは?となったのもあり。
そもそも赤単自体押し付けアンフェア気味なので、自身のぶん回りを確保すること優先のが強そう。求む有識者。
・《過酷な指導者》
通称赤メンター。前環境ではエネルギーデッキに対してのキラーカードでしたが、現時点ではあまり刺さりそうなデッキ&場面が無い印象。
とすると基本2マナ2/2の熊でしかなく、またそもそもこれ自身がその能力から盤面を横に広げゲームを長期化させる要因になりかねないため、やはりぶん回り確保という視点から不採用。
・《ヴァンスの爆破砲》
さすがに……おもちゃかなって……(ひどい)
真面目な話をすると、土地枚数を増やさないとそもそも着地しない一方で、土地を増やすと土地をめくる期待値が上がり、チャンドラと違い追放したカードが直接火力に変換されない&変身させるまでの手間も考えると「置くと負ける」類のカードにしか見えていません。
一度も試していないのでこちらも求む有識者。
余談ですが、私はこれと《電招の塔》で焼き切るコントロール「ヴァンスタワー」というデッキを組み、一人回しして解体するところまで脳内で済ませた経験があります。
●終わりに
禁止改訂を経て、なんやかんやスタンは楽しい環境になってきています。赤単で轢いといて何言うかって感じではありますが。
サイドプランや細かい役割についてはまだまだ理解がおぼつかないので、これから身につけたいなと。
さっくり回せてほどほどに勝てるパワーがあり、PWP稼ぎという目的、自分のプレイスタイル的にも赤単は最適なデッキでした。満足。これからもぼちぼちPWPを稼いでいければと思います。
長々とお付き合いありがとうございました。
次の記事は何書こう。ネタがないですね。
ではまたどこかで。
今回はPPTQに初めて参加してきたのでスタンの記事。赤単を使って結果はSE2没でした。
・結果とリスト:https://twitter.com/RUG_mtg/status/960104785457250305
初参加のラッキーパンチにしては上ブレすぎた感。賞品のパックの引きはあれでしたが、たくさんバリバリできたし有名プレイヤーにも当たれて楽しいマジックでした。
今回はPPTQに出た理由、赤単を握った理由と、環境や赤単についてつらつらと。
いつも以上に締まりなく長い記事ですが、最後までお付き合いいただければ幸い。
『現環境(KLD~RIX)の赤単について』というところ以降がメインコンテンツです。忙しい人向けの補足。
●PPTQに出た理由
そもそもパックを剥くのが大好きな週末カジュアルプレイヤー故、競技プレイ(と賞品のどっさり貰えるパック)に興味こそあれ、観戦で済ませてわざわざPPTQに出るまでもないかなー程度のスタンスでした。
イクサラン環境では楽しさとショーダウンパックを求めてティムールをだらだら回していたのですが、2018年1月の改定で残念でもなく当然の禁止。
・ティムールの最終系:https://twitter.com/RUG_mtg/status/947063475691331584
・『2018年1月15日 禁止制限告知』http://mtg-jp.com/publicity/0030144/
禁止される予想はあったので「経験あるし赤単でも使うかぁ」くらいにのほほんとしていたらよく見ると赤単も同時に禁止対象に。
使えるデッキがなくなりました。一瞬目の前が暗く。
で、「デッキ無いならスタンやめようか」と割と本気で思っていたところにニッセン開催のお知らせ。
・『国別選手権2018とワールド・マジック・カップ2018の日程およびフォーマット』http://mtg-jp.com/publicity/0030167/
スタンとドラフトというPTライクな混合フォーマットに加えて、多くのスタープレイヤーもぶらっと参加。そんな大会ながら必要な参加資格はプレインズウォーカーポイント(以下PWP)を集めるのみ。
競技マジックミーハーにして週末カジュアルプレイヤーたる私にとって、これほど胸躍る大会はありません。昨年見事2日目に進出した知人がおり、報告を聞いているだけでも楽しそうでウキウキしていたのですが、2018年も開催される運びのようです!YATTA!是非とも出たいね!!
YATTAじゃない。そうです、出るならスタンを継続する必要があるんです。スタンやめたいんだけどスタンやめられないんだけど。
ついでいうと参加に必要なPWPもちょびっと足りません。ショーダウンやストアチャンピオンシップスの倍率の高さ、モダンの上ブレ勝ち越しでカジュアルながらそこそこ貯まってはいたのですが、このペースだと5月までに間に合うかは微妙。
……ということで、PWPと賞品のパック、あるいは有名プレイヤーや強豪との戦いを求めてPPTQへの参加を決心するのでした。
●赤単握った経緯
出るのは良いんですがデッキがありません。どうするんだ。
とりあえずありあわせのパーツをかき集めて「青赤コントロール」や「4Cみのむしぶらりんしゃん」、「ジャンドエネルギー」や「土地24枚ティムール」を一人回しする日々。
が、しっくりくるものが出来ません。というか勝てる気が全くしない。
特にエネルギーの絡むデッキの場合、資産、アイデア(もとい電波)、デッキの強さ的に緑を触る理由や強みが全くなくなっているのが結構なダメージ。
デッキができません。ダジャレを言っている場合か。死活問題じゃ。
こうなったら強い人の知恵を借りに行く……という名目で、気分転換に一度メタゲームを整理。
・『『イクサランの相克』環境初陣戦カバレージ』http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4865
・『USA Standard Express vol.114 -禁止改定、スタンダードは新たなステージへ-』http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4878#SCGCDallas
・『Standard Metagame (All Decks)』https://www.mtggoldfish.com/metagame/standard/full#paper
・『津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 『イクサランの相克』発売! 新たな世界の探検』http://mtg-jp.com/reading/tsumura/0030171/
グリクシスミッドレンジ(エネルギー)、マルドゥ機体、王神、赤系アグロあたりがどうやらTier1……ってちょっとまて。
・『Mono-Red Aggro』http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=118376
赤単生きてるゥー!?SCGクラシック優勝!?
もともと赤単はデッキ候補だったため、試しに組んでみたところ中々好感触。そらそうだ。ぶん回り自体は残ってるし、ハゾレトやケンラという最低限のマナフラ受けも健在。
いくらかレシピも見比べつつ、調整する形でPPTQへ持ち込みました。で結果は冒頭の通り。前日調整のために出たショーダウンと併せると結構な額のポイント、参加費分以上のパックと有名プレイヤーとの対戦もできてほくほくでした。
●現環境の赤単(KLD~RIX)について
……で、結果だけ書いてわーいってDNは個人的に満足しないので、実プレイして受けた現在の環境や赤単に対する雑感を書いていきます。
そもそも握った理由からして割と端折ってますしその辺細かく。
なおちょいちょい今回用いたリスト、SCGのリストを元に話をしますが、適宜補完していただければ。
一応再掲。
今回のリスト:https://twitter.com/RUG_mtg/status/960104785457250305
SCG:http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=118376
○禁止後どうなったか
赤単は禁止の影響を間違いなく受けました。白系デッキへの最強アンチカードにしてTier2キラー《暴れ回るフェロキドン》はもちろんのこと、《ラムナプの遺跡》を失ったのが結構痛い。
この砂漠、序盤の色マナ調整、終盤の詰め&マナフラ受けといった最後までチョコたっぷりなカードで見た目以上の強さがありました。主観ではモダン親和の《電結の荒廃者》みたいなカードです。インスタントで動けたのもめちゃくちゃではあった。
どっこい先ほど述べた通り、ぶん回りのパーツと最低限のマナフラ受けは残っており、デッキとしての形は保っている印象。
また、同じく禁止の影響を受けたティムールは個人的には微妙でした。
《翡翠光のレインジャー》は《ならず者の精製屋》と違って土地以外のカードを引き込むことが出来ない、つまりマナスクリューには強いですがマナフラッドには弱く、どのみちタフネスも3が上限で《削剥》圏内。赤緑モンスターのようにデカブツ連打デッキでは中々強いのですが、やはり様々な劣勢への回答を引き込める可能性のあった《ならず者の精製屋》には一歩劣る印象。
そもそも緑込みエネルギーは余剰エネルギーあってこそのデッキであった印象。カードパワー自体は健在ですが、元より《霊気との調和》や《ならず
者の精製屋》頼りでウワモノがマナベースにだいぶ負担をかけていたため、何もしなくても倒れるケースが多い……と一人回しの時点で感じる程度にはもっさりしていました。
○その他のTier1と比較して
禁止後上がってきたデッキは、先述の通り以下の4つ。
※あくまで個人の感想です。
・グリクシスエネルギー
新進気鋭……に見せかけて前環境から存在はしていたデッキ。黒と赤の除去、青の打ち消しから強力なものを大量に採用可能で、クリーチャーも《光袖会の収集者》から《スカラベの神》まで申し分ないラインナップ。サイドカードも豊富な「全天候型」のミッドレンジといってよろしいかと。リスト見た感じだと個人的には下環境のBG系ジャンクみたいな印象も受けます。多分ボブと除去のせいだ。
・マルドゥ機体
プロツアー優勝経験をもち、カラデシュ産デッキ連中が相次ぎBANされ(というか真っ先に自分から出した)デッキが消えていく中でも生き延びた怪物デッキ。
アグロからコントロールまで変幻自在にシフトチェンジしながら、クリーチャー、機体、プレインズウォーカーと多角的に相手を追い詰めていくストラテジーはやはり強力。そこに「相克」の新カードを取り入れパワーアップ。
・《王神の贈り物》デッキ
直近だとWMC優勝の日本がサードデッキに用いたのが有名ですね。
前環境Tier1.5~2の中で、Tier1のエネルギーと赤単にまともに勝負を仕掛けられるパワーのあったデッキ、禁止改訂でお咎めなしなため順当にTier1へ。
コンボデッキでありながら、サイド後はミッドレンジとしても立ち回れるのが特徴にして最大の強み。最近は黒を入れて《スカラベの神》を採用したものが主流?
・赤系アグロ
前環境に続き赤単と赤黒。そして「相克」を経て赤白もここへ参入。
いずれも歴代屈指の速度。
トークンや赤緑モンスター、白青オーラといったTier2のデッキも多く、それらも大抵はTier1相当の地力やぶん回りをもっているので、環境自体は混沌としています。
上記Tier1の共通点は「対処されづらい強カードを複数搭載or最も強く使える」or「ぶん回りが強力で対処されにくい」といったところでしょうか。
機体やエネルギーといったグッドスタッフ的なミッドレンジが前者、赤系アグロや王神のコンボなどが後者にあたります。
……端的に言うと「対処されづらいカードやコンセプトは強い」みたいな身も蓋もないやつです。いつものスタンといえばいつものスタン。
○赤単の強み
赤単はその他Tier1と比較してどんな所が強みか。
・速度
環境最速のぶん回りでそのまま轢ききってしまうケースもしばしば。「よくわからないデッキをよくわからなかったけどよくわからないまま倒す」という勝ち方も出来ますし、Tier1同士のぶつかり合いでも一瞬の遅れから一気に勝てる爆発力とスピードは強みです。
・マナベース
これはTier1同士のぶつかり合いの他、赤系アグロ同士の撃ち合いでも通じます。2色以上ではしばしば「いかにタップインを処理するか」がプレイの判断指針に含まれるスタンダードにおいて、タップインによるもたつきと無縁にアンタップインのみで動き続けられるのは明確な強み。
色事故はありますが、そこはご愛敬。マジックそのもののネックですし。
・プレイヤーの体力温存が容易
ここが個人的には重要。私は肩こり頭痛に悩まされがちなのですが、このデッキに関してはそれと無縁でした。
1試合早いと20分以内で終わるので、30分間のんびりできます。追加ターン突入卓があればさらに伸びます。PPTQのような5~6試合&SE3回戦といったイベントで、50分+αフルに戦うのと、半分の時間でとっとと勝つか負けるかしてしまうのと、十分考慮すべき差異だと思います。
今回、特にマナベースに関しては、上記Tier1の中から赤単を握った主たる理由でした。
緑込みの楔3色ミッドレンジ(スゥルタイ、ティムール)はエネルギーパーツの衰退から、完全に勝ち切る構築は厳しくなりました。《巻きつき蛇》という抜け道こそあれ、マナクリによるマナ加速でタップインの遅れを相殺するような動きは取りづらくなったためです。
同じく楔3色のマルドゥ機体に関しては《スレイベンの検査官》を失ったイクサラン参入後から安定性が低下しているのが気になっていたため握る気にならず。
友好3色のグリクシスに関しては、友好色がタップインしがち(特に最序盤)で、どうしても土地が詰まると手札が渋滞しやすく赤系アグロへ事故負けしてしまう不安がありました。
また、「欲しい色マナが出ない」といった理由でのマリガンも増える事が予想されました。3色だとなおの事。
総括して序盤か中盤のどちらかでもたつく可能性がある、つまり「アグロに有利なミッドレンジでありながら、アグロが最も苛烈なタイミングで足元を掬われかねない」印象を受け、そこが気になった形です。2色の赤系アグロも同様。
ならば使う側に回ってしまおう、と。
王神を握らなかったのは単純に経験が全くないデッキであったためです。スカラベを使ったコントロールなどもスカラベの扱いに慣れていないため除外。
○RIXを経て
・土地枚数
現在は22~24の間でうろうろしているようですが、ところで4マナや5マナのカードもしばしば採用する赤単、適正土地枚数は何枚なのでしょう。
かつて赤単スライでオランダ選手権Top8入りを果たしたFrank Karsten曰く、遺跡禁止前の赤単では“I felt like the ideal number of lands on the play after sideboard was close to 24.6, and a 25th land could help you go even bigger. ”(引用元:https://www.channelfireball.com/articles/getting-red-y-for-pro-tour-ixalan/)とのこと。
要するに「24.6枚の土地が欲しいから25枚目の土地があると良いんだよね」という話で、実際にPTイクサランで井川良彦さんが土地25枚の赤単で17位入賞を果たしています(参考:http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4670)。
また、サイド後《反逆の先導者、チャンドラ》を投入するのは言わずもがなこの助けとなります。今回のPPTQのリストでは
仮に望ましいとされる25枚より土地を削る場合でも、チャンドラがマナを支えとなる形になります。
閑話休題。翻って遺跡を失った現在でも、使用カードのマナ域はさほど変化していないため、適正枚数は25枚と考えてよいと思います。
また色マナに関して、晴れる屋のマナベースの記事を元にすると「2ターン目に赤ダブルを揃えたい場合《山》は18枚」、「3ターン目までに揃えばいい場合《山》は16枚」であるとできます。(参考:http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/2756)
さて、上記の事とそもそもの期待値的な話(参考:http://mtg-jp.com/reading/katerumagic/0015205/)、墓地対策に《屍肉あさりの地》を入れておきたいな、といった視点を織り交ぜると、枚数と内容例は以下のように。
22枚:3枚まで引ければいいや理論(例:《山》18枚+《陽焼けした砂漠》4枚or《山》16枚+《陽焼けした砂漠》4枚+《屍肉あさりの地》2枚)。
23枚:3枚まで引ければいいや&4枚目を引く期待値がそこそこ(=マナフラとマナスクリューの両方をケア)(例:《山》18枚+《陽焼けした砂漠》4枚+《屍肉あさりの地》1枚)。
24枚:4T目の土地枚数の期待値が4に到達する(例:《山》18枚+《陽焼けした砂漠》4枚+《屍肉あさりの地》2枚)。
25枚:デッキ的に要求される適正枚数(例:《山》19枚+《陽焼けした砂漠》4枚+《屍肉あさりの地》2枚)
22枚に近づけばクリーチャーやスペルを詰め込める分マナスクリューによる事故率は上がり、25枚に近づけば安定性は上がりますが速度やスペルを搭載できる枚数は低下します。
この辺のマナベース考えてるといかに《ラムナプの遺跡》が強かったのか実感しますね……
個人的には23枚+サイドに1枚という今回のマナベースが最もしっくりきています。
SCGのリストでは土地22枚で《栄光をもたらすもの》を採用していましたが、メインにチャンドラもなく、期待値的にはかなり厳しいのではないかと感じました。
そのため今回のリストではサイドにチャンドラと併せて《栄光をもたらすもの》を採用。メインの土地を23枚にして4枚目を引く期待値を上げつつ枠を確保し、サイド後は細かいギアチェンジが可能なようにしました。
またなんだかんだでしばしば2T目に赤ダブルが欲しくなる場面も多く、《山》は18枚採用しました。
終わってみると、マナクリを0.5枚換算する形でチャンドラを数える場合、やはりマナベース的にはチャンドラの2枚目があると合理的であった感覚がします。24.5枚しかない計算になるためで、マナ出さなくても純粋に4マナとして強いですしね。
ただその分サイドに枠を作れていたので、何が正解だったのかは一概に語り辛い気もします。マジック難しい。
ということで個人的な結論としては、75枚中に24枚の土地(《山》18枚+《陽焼けした砂漠》4枚+《屍肉あさりの地》2枚)と2枚のチャンドラを入れるのが、マナベースとして適正な形なのではないかと提言させていただきます。
もちろんウワモノの配分で変わってくるでしょうし、「これ以外は間違っている!!」とは全く思いませんが。
・カードあれこれ
昨今のリストで目についたものをいくつか。
《暴力の激励》
斎藤友晴ストラテジーその1(参考:http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4659)。
SCGのリストではメインから4枚採用されていました。疑似《ボロスの魔除け》としてキルターンを早めます。1T目《損魂魔道士》→2T目《稲妻の一撃》→3T目《陽焼けした砂漠》セットから《暴力の激励》&《ショック》と動けると相手ライフが5になってます。
モダンのバーンかな?
とはいえぶん回りのルートとしては結構この視点が重要かなとは。
歴史的に、赤単のアグロデッキには、「面突破クリーチャーデッキ」の「スライ」と、「点突破スペルデッキ」の「バーン」があります。両者とも似通ったところがあるのは置いておくとして、現在の赤単はスライの系譜に存在し、スペルはあくまで補助であって基本はクリーチャーを展開しライフを削っていくデッキです。
そのためクリーチャーが引けない=バーン的なスペル中心の点突破をせざるをえない場面では、行動回数やコストパワーの面からキルターンは遅くなりがち。《暴力の激励》はこの点突破プランを1枚で現実的なラインに引き寄せられるカードです。
面と点の両方で攻めるという話は、遺跡同様やはりモダンの親和に繋がるところもあるかも(参考:http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/1445)。
コンバットトリックとしても優秀で、相手のブロックを悩ませ、詰めにも使えるナイスカード。
ただ、疑似ボロチャとはいえ腐りがちなので、PPTQ使用のリストでは3枚にしました。
・《両手撃ち》
斎藤友晴ストラテジーその2。白系のデッキがきつくて入れました。同型相手にも仕事するナイスカードで、インスタントなのも優秀。相手ターンの終わりに撃つ、コンバットと絡めて撃つなど使い方はさまざま……
《発明の天使》を1枚で返そうとすると《猛火の斉射》も捨てがたい。このあたりはメタゲーム次第かも。
・《帆綱走り》&《狂信的扇動者》
待望の1マナクリーチャー。ただ今回のPPTQでは両者とも不採用でした。
《帆綱走り》は強襲とボーマットの噛み合いが今一つだった点が気になりました。ただ1マナ2/2先制攻撃は着地すれば文句なく強力で、特に同型や王神の最序盤地上クリーチャー戦闘に滅法強いのは評価点。
《狂信的扇動者》は腐っても1点火力になり、特に赤系アグロミラーのダメージレース荒らしにおいて鬼神の働きを見せるカードですが、コントロール相手に置いた試合100%負けていたので今回は不採用。
赤系アグロと2~3回スイスで当たるような環境ならば投入を検討してよいかと。今回はメタゲームもわからず、サイドにアグロミラー用のカードを多くとっていたため不採用でした。
・《再燃するフェニックス》
走攻守揃ってるんですが、ハゾレトの突破力にもチャンドラの対応力にもいまひとつ足りていないのが少々ネック。とはいえ十二分に強いので、枚数散らす形での採用もアリかも。
・《凶兆艦隊の向こう見ず》
赤い《瞬唱の魔道士》。先制攻撃が地味に偉い。
書いてあることは強いんですが、相手の墓地依存なのもなんとも。サイド要員にしてもこいつ入れるより強いカードor入れるべきカードがあるのでは?となったのもあり。
そもそも赤単自体押し付けアンフェア気味なので、自身のぶん回りを確保すること優先のが強そう。求む有識者。
・《過酷な指導者》
通称赤メンター。前環境ではエネルギーデッキに対してのキラーカードでしたが、現時点ではあまり刺さりそうなデッキ&場面が無い印象。
とすると基本2マナ2/2の熊でしかなく、またそもそもこれ自身がその能力から盤面を横に広げゲームを長期化させる要因になりかねないため、やはりぶん回り確保という視点から不採用。
・《ヴァンスの爆破砲》
さすがに……おもちゃかなって……(ひどい)
真面目な話をすると、土地枚数を増やさないとそもそも着地しない一方で、土地を増やすと土地をめくる期待値が上がり、チャンドラと違い追放したカードが直接火力に変換されない&変身させるまでの手間も考えると「置くと負ける」類のカードにしか見えていません。
一度も試していないのでこちらも求む有識者。
余談ですが、私はこれと《電招の塔》で焼き切るコントロール「ヴァンスタワー」というデッキを組み、一人回しして解体するところまで脳内で済ませた経験があります。
●終わりに
禁止改訂を経て、なんやかんやスタンは楽しい環境になってきています。赤単で轢いといて何言うかって感じではありますが。
サイドプランや細かい役割についてはまだまだ理解がおぼつかないので、これから身につけたいなと。
さっくり回せてほどほどに勝てるパワーがあり、PWP稼ぎという目的、自分のプレイスタイル的にも赤単は最適なデッキでした。満足。これからもぼちぼちPWPを稼いでいければと思います。
長々とお付き合いありがとうございました。
次の記事は何書こう。ネタがないですね。
ではまたどこかで。
アドグレイス取扱説明書
2017年12月17日 Magic: The Gathering コメント (3)ご無沙汰してます。てむるです。
速度域について書こうかと思っていたのですが、まとまらないままモダンでアドグレイスを回していたらうっかり先日の晴れる屋休日杯で入賞。
そこからだらだら回していたら勝ったり楽しくなってきたりで、浮かれた勢いそのままに、結局アドグレイスの記事です。
有言を実行しないことに定評のある私。そんな定評捨てちまえ。
●アドグレイス(むかつきデッキ)について
アラーラの断片(もう9年前だなんて……)にて登場したカード、《むかつき/Ad Nauseaum》をキーカードとした、モダンのコンボデッキです。
むかつきをキーカードとしたデッキで有名なものではレガシーのANTが挙げられますが、あちらはむかつきをあくまで手札補充の手段として採用したストーム(※)デッキ。
対してこちらはその起源を時のらせん期のエクステンデッドに置く、全く別系統のコンボデッキになっています。
※ストームという何で刷っちゃったんだってキーワード能力を持ったカードをキーパーツにしたコンボデッキ。詳しい説明は割愛。
むかつきのライフルーズを逆手に取り、《天使の嗜み/Angel’s Grace》や《ファイレクシアの非生/Phyrexian Unlife》で「ライフが0を下回っても敗北しない」状況を作りだしてライブラリーを全て手札に加え、《稲妻の嵐/Lightning Storm》などのフィニッシュカードを叩きつけて勝利するという豪快かつ独特な動きが特徴です。
メタゲームに合わせた柔軟な構築も可能で、サイドに《墓所のタイタン/Grave Titan》等を採用し、コンボ以外での勝ち筋を用意した構築もよく見られます。
その他大まかな特徴については以下の記事を参照いただければ。
・むかつき - MTG Wiki
http://mtgwiki.com/wiki/%E3%82%80%E3%81%8B%E3%81%A4%E3%81%8D
・モダンデッキ案内 -アドグレイス- http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/2973
●本題に入るその前に
英語読めねぇよ!という方には大変申し訳ないのですが、今回の記事の内容は主に以下のサイトを元にしています。
・[Primer] Ad Nauseam http://www.mtgsalvation.com/forums/the-game/modern/developing-competitive-modern/221735-ad-nauseam
「mtgsalvation」という海外のフォーラムサイトに投稿された、「アドグレイス入門」ともいうべきエントリー。
「どうせフォーラムへのユーザー投稿だろ?」と侮るなかれ。ChannelFireBallの記事において、Bob Huangが“highly recommend checking out(目を通すことを強く勧めるよ)”と発言するほど。(参考:https://www.channelfireball.com/articles/ad-nauseam-deck-guide/)
デッキの特性から細かいパーツ選択、マッチアップの相性やサイドボーディング、更にはプレイの際気を付けたほうが良い場面などあらゆることを網羅しており、ひとまず頭に入れておけばとりあえず迷うことはほとんどなくなると思います。
情報は少々古いものですが、アドグレイスというデッキの基礎部分に関わる内容のため、当時から大きく変化したであろう現在のメタゲームにもつながってくる内容です。
私の検索能力がぽんこつなせいだとは思うのですが、海外に比べて日本国内においては、アドグレイスを取り扱った記事が少ないと感じます。
各サイトの記事でたびたび取り上げられるも、基本的なコンボについて触れてだいたい終わり。細やかなサイドプランなどについてはほとんど触れられない印象。理由は後述しますがデッキの特性上Tier1にはなりづらいため、戦略記事がそこまで必要とされていない可能性も否めませんが……
もちろん使用者によるディープな考察記事もあるのですが、どちらかといえばある程度アドグレイスを理解したor使用している人向けのものが多くなる印象。
ですが、アドグレイスは過去にGP優勝(2016年のGPシャーロット)を果たしたことがあるほどの力のあるデッキで、2017年のGP神戸でもTop8入りを果たしています。
様々な経緯からこのデッキにたどり着くも、中々回し方が分からなかったり、良く分からないけど勝てた(負けた)、記事を読んで勉強したいけど中々見当たらない……
そういった方々の力に、また「わからん殺しされたんだけどどうなってんのこのデッキ!?」といった対アドグレイスを考えている方の力になれればと思います。
まだまだ練習中の身ではあるため、自分の考えをまとめる目的が大きいのですが、そういった経緯から今回記事を書きました。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
●リスト、カード選択について
現在私が使用しているリストは以下になります。色々変えて試したりはしていますが……
https://twitter.com/RUG_mtg/status/942365955023241216
●メインボード
メインに関してはカードの役割配分がほとんど確定しており、以下にその一般的な配分を書いていきます。
・土地20枚
・マナ加速8枚(《睡蓮の花/Lotus Bloom》、《五元のプリズム/Pentad Prism》)
・むかつき4枚
・むかつきを探す手段3枚
・死なない手段7~8枚(天使の嗜み、ファイレクシアの非生)
・フィニッシャー2枚(稲妻の嵐、《研究室の偏執狂/Laboratory Maniac》等)
・《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》4枚
・妨害手段への対策3枚(《否定の契約/Pact of Negation》、《神聖の力線/Leyline of Sanctity》)
・キャントリップ8枚(《血清の幻視/Serum Visions》、《手練/Sleight of Hand》)
どうプレイするかは後述するとして、いくらか補足を。
土地の内訳に関しては、人によって配分が変わってきますので特別断定はできませんが、《宝石鉱山/Gemstone Mine》などの5色土地、テーロスブロックの占術ランドが代表的です。
また、幽霊街や血染めの月などに備えて基本土地を2枚ほど採用するケースが恐らく一般的。私は島と平地を1枚ずつ採用しています。
むかつきをプレイするのに不可欠な(黒)(黒)はマナ加速アーティファクトから一気に出すことが多く、土地からそれ以外のためのマナを出す場合、嗜みや非生のための白マナと、コンボパーツにアクセスしたり相手の妨害手段を除去するための青マナが必要となるためです。
むかつきを探す手段は《大霊堂の戦利品/Spoils of the Vault》、《深遠の覗き見/Peer Through Depth》、《神秘の指導/Mystical Teachings》の3種類が主流です。
これらはどれも一長一短ありますので、プレイヤーや構築によって変化します。
戦利品に関しては、研究室の偏執狂と組み合わせる事で、むかつきを用いることなくセルフLO勝利を狙える点は押さえておきたいところ。
死なない手段の枚数の幅について。2017年現在では、環境の高速化に伴ってかコンボパーツ兼アグロへの回答となるファイレクシアの非生の4枚目が採用されるケースが増加していますが、かつてはこの部分が《殺戮の契約/Slaughter Pact》や追加の否定の契約になっていました。いわゆる自由枠ですね。そのため7~8枚といった書き方になっています。
キャントリップについて。基本的には血清の幻視と手練4枚ずつの8枚体制ですが、コンボ自体には必ずしも必要ではないため、手練を3枚に落とし自由枠を1枚作ったりするケースがあります。そのため上記と併せて2枚ほど自由枠があり、メインボードから何かしらの除去を搭載して相手への干渉手段をとったり、《発熱の儀式/Pyretic Ritual》等を搭載してコンボ完成や速度を補強した構築も。追加の土地というケースもありますね。
●サイドボード
アドグレイスの柔軟さのキモとなるのがこの部分。環境に応じて色々突っ込んでいきます。人によって方針も異なるため、アドグレイスごとにサイドから飛んでくるカードが大きく変わるケースもしばしば。
以下、私が構築する際の方向性を記します。
①苦手なカード、デッキへの対策
このデッキは「ハンデス」、「打ち消し」、「ヘイトカード」といった妨害手段、そして「自身よりキルターンの速いデッキ(主にコンボ)」が苦手です。
これらへの回答について検討・採用していきます。
・《神聖の力線/Leyline of Sanctity》、追加の否定の契約など
主に「ハンデス」や「打ち消し」に対する回答。特に力線は対ハンデス以外にも役立つ場面が多く、ほとんどのリストにおいて採用されています。
「打ち消し」に対する回答としては、他にも《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All》《トレイリア西部/Tolaria West》などがあげられます。
またこれらはメインボードにおける「妨害手段への対策」として機能するため、メタゲームによっては否定の契約の代わりに神聖の力線などがメインボードから搭載されるケースも。
ちなみに「ハンデス」に対するその他の回答として個人的にお気に入りなのは《ネファリアのアカデミー/Nepharia Academy》。《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》からもハンドを守れ、アンタップインなのが地味ながら優秀。色マナが出ないのは難点ですが、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》を用いることで若干のケアも可能。
・除去、ハンデス
こちらは主に「ヘイトカード」、「自分より速いコンボ」への回答。
具体的には《残響する真実/Echoing Truth》や《摩耗+損耗/Wear // Tear》、《致命的な一押し/Fatal Push》や《思考囲い/Thoughtseize》、殺戮の契約など。書きだしたらキリが無さそうではあるので割愛しますが……異界月で登場した《集団的蛮行/Collective Brutality》なんかは除去やハンデスを兼ねられたりして中々優秀。
除去は主に《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》のようないわゆるヘイトベアー、《石のような静寂/Stony Silence》、虚空の杯といった置物への対抗策。
また、ストームやカウンターカンパニーなどこちらよりキルターンの速いコンボは何らかのシステムクリーチャーに依存する場合も多いため、これらに対する妨害策となり得ます。
ハンデスは上記ヘイトカードやコンボデッキ相手にパーツを抜くのはもちろん、打ち消しを抜いたり中々に多芸。キルターンがこちらと同等かそれ以下の土地コンボ(トロンやヴァラクートなど)相手にも、相手の速度を落とす形で役立ちます。
②追加の勝ち手段
青系や黒系のフェアデッキを始め、ヘイトカードによる妨害が想定される白系の相手に、サイド後も愚直にコンボを通しに行くのは一苦労。
そうでなくとも相手はコンボを意識してサイドボーディングをしてくることが考えられるため、勝ち筋を増やす&変えることで逆にその隙をつこうというプラン。
・大型クリーチャーなど
墓所のタイタン、《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》、《龍王ドロモカ/Dragonlord Dromoka》、《畏敬の神格/Godhead of Awe》etc……
簡単に言うと「1枚で勝てるスペックのあるカードをぶつければ大体勝てるだろ」という思想。サイドの打ち消しに引っかかったり、この戦法が割と有名になってしまったのでそう易々と勝てるケースは中々ありませんが……
刺さるデッキもそれぞれ少し異なります。以下にざっくりと。
タイタン:BG系やコントロール(とりあえず雑に強い)
エルズペス:エルドラトロンやコントロール
ドロモカ:青系コントロール(巻き添えでアグロ全般も)
畏敬の神格:死の影、エルドラトロン(細かい所だとタルモをルールの都合で1/1に出来たり)
他には《僧院の導師/Monastery Mentor》や《未練ある魂/Lingering Souls》なんかも。
デメリットもそれぞれ異なってくるため、恐らくここが最も人によって差が大きく出る部分です。
・追加の稲妻の嵐など
近年では少なくなりましたが、あくまでコンボを通すんだ!という人向け。
追加の稲妻の嵐の他には、《突撃の地鳴り/Seismic Assault》など。古のむかつきデッキが搭載していた《燃焼/Conflagrate》も良さげ?
《真髄の針/Pithing Needle》などフィニッシャーそのものを意識したサイドボードをされるため、この枠はカードそのものを散らすのが多い印象です。
この手の火力呪文を追加する最大のメリットは、ヘイトベアー系のクリーチャーに対する除去を勝ち手段の枠に組み込める点。2枚あれば1枚切っても問題ないですからね。
③その他
明確なヘイトカードなどで余った枠を埋めていきます。
例えば墓地利用デッキや《集合した中隊/Collected Company》デッキに対する《墓堀りの檻/Grafdigger’s Cage》、虚空の杯や親和への回答になる《ハーキルの召還術/Hurkyl’s Recall》、感染に対するほぼ専用カードの《魂の裏切りの夜/Night of Souls’ Betrayal》や《厳粛/Solemnity》。
サイド後アグロやミッドレンジに対する勝ちを盤石にするための《至高の評決/Supreme Verdict》、《バントゥ最後の算段/Bontu’s Last Reckoning》などの全体除去や、《天空のもや/Ethereal Haze》や《暗黒/Darkness》といったいわゆるフォグ系の呪文などなど……
こうした専用対策のヘイトカードが最優先される場合もあれば、お試し枠やオシャレ枠なんかで普段見かけないカードが突っ込まれることも。
●相性差
ざっくりとした相性差は以下の通り。
・有利
大体のアグロ、土地コンボ
・五分
青(打ち消し)込みデッキ、UBxカラーのデッキ
・不利
BG系のデッキ、デスタク系統、こちらよりキルターンの速いデッキ全般
・無理
感染
勿論お互いの採用カードによってこれらは変わってきますが、概ねこの傾向にあるといってよいと思います。
有利な条件は大まかに
①相手を押しとどめることが可能
②キルターンがこちらより遅いデッキ
③打ち消しやハンデスなどの妨害手段が入っていない
といった点です。
バーンや親和、マーフォークなどのアグロデッキは天使の嗜みやファイレクシアの非生を用いることでコンボ完成まで耐えることが出来ます。
土地コンボ(主にトロンやヴァラクートなど)のようにほぼ完全にスピード勝負になるコンボ対決の場合も、こちらのほうがキルターンが早いため有利です。
反対にこのデッキが苦手な要素には
①ハンデス
②打ち消し
③ロックカードやヘイトカード
④自身よりキルターンの速いデッキ
が挙げられます。
①は主にジャンドやアブザンなどのBG系、③は主にデスタクなどのヘイトベアー系デッキになります。
②に関しては、否定の契約等の存在から対処できる場合も多いため、そこまで不利になる要因にはなりません。
①~③の要素を複数持つデッキも多いのが悩みのタネ(白黒エルドラージなど)ですが、青黒系のデッキは例外的におよそ五分相性。メインはともかく、相手側は抜くものが少なく入れるものが多くなるため、適切なサイドボーディングをしづらいケースが多々。相手の75枚のうち、妨害手段がどのような分布になっているか次第なところも。
ところがグリクシスシャドウに関しては、元々死の影デッキがハンデス中心のデッキであることから厳しい相手。うーんややこしい。
近年流行りのエルドラージトロンはちょっと評価が難しい印象。《虚空の杯/Chalice of the Void》をうっかりX=3でプレイされるとメインはまず勝てませんし、雑にX=0やX=1で置かれても中々キツいのですが、逆に言うとそれさえ何とかなれば向こうの《歪める嘆き/Warping Wail》にも引っかかることなくコンボで勝てるし、畏敬の神格なんかも刺さるし……求む有識者。
④については主にけちストームやカウンターカンパニ―といったデッキがそれにあたり、スピード勝負では先手後手関係なくこちらが遅いため不利となります。1ターン分確実に稼ぐ天使の嗜みがあったりで、全く勝てないというわけではないのですが。向こうが事故ることを祈りましょう。嗚呼不毛な争い。
感染に関しては、そもそも当たらないことを全力で祈るしかありません。
キルターンがこちらより圧倒的に早く(というか下手するとモダン最速レベル)、天使の嗜みやファイレクシアの非生がほぼ無意味、打ち消し&呪文滑りを搭載している……とアドグレイスの苦手要素のオンパレード。祈りましょう。それか夕飯に何を食べようか考えましょう。
また、冒頭で述べたTier1になりづらいというのは、以上のことが理由だったり。
アンフェアデッキが強いとされるモダンでスピード負けしがちで、それらコンボデッキを対策したデッキも巻き添えを食うような形でつらく、確実にメタゲームに存在するBG系や死の影デッキはそもそも苦手……要するに「Tier1やそれらを対策する有名どころにはいまいち勝ちきれない感」が否めず、Tierランクをのぼりづらいデッキではあります。
逆説的に知られていないが故の「わからん殺し」が可能で、バーンや親和を含めたアグロや土地コンボといった、これまたメタゲーム内に一定数存在する様々なデッキに有利~五分が付くといった強みもあるのですが。
●実戦編
●キープ基準
メインに関しては「マナ加速」「死なない手段」「むかつきor実質むかつき」の3種類のうち2種類が初手にあれば、大体キープしてしまってよいと思います。
ここでいう「実質むかつき」とは、大霊堂の戦利品や神秘の指導など、確実にむかつきにアクセスできるものを言います。深遠の覗き見は5枚の中から選ぶので少しランクダウン。
上記に加えて土地が2枚程あるのがベスト。キープ基準を上げる場合はこれも含めるのが良いでしょう。
とはいえ極端な例ですが、睡蓮の花が2枚あれば土地0でも勝てる可能性があるのがこのデッキです。土地も20枚程度しか入っていないため、あまり基準を上げすぎてマリガン→手札が足りなくなる……といった負け方をしない方が個人的には良いかなぁと。
サイド後に関しては後述します。
●回し方
メインでは、睡蓮の花の待機が開けるタイミングやファイレクシアの非生を絡める際のマナの都合などから、基本的には4T目のコンボ完成を目指してプレイします。
完成形の盤面はいくつかあるのですが、「①死なない状況を作った上で②むかつきを撃てるマナと③フィニッシュ手段を使えるマナが用意できる」のがそれにあたります。
例を以下に記します。
①睡蓮の花使用
1T目:睡蓮の花を待機&占術ランドorドロースペルでパーツや土地を探す
2、3T目:土地を伸ばしたり、ドロースペルで引き続きパーツを探したりする
4T目:睡蓮の花キャスト。むかつきと天使の嗜みでライブラリを引ききり、猿人の指導霊3枚追放からの稲妻の嵐で勝利。
②五元のプリズム使用
1T目:占術ランドやドロースペルを使用
2T目:五元のプリズムを烈日2で設置
3T目:ファイレクシアの非生を設置
4T目:むかつきを以下略して稲妻の嵐
これらはあくまで例です。実際にはこれ以上のマナが用意できるケースも、逆にパーツの到着が遅れるケースもあります。実戦では相手の妨害などによってさらに大きく変化してきます。土地6枚並べてむりやりむかつきと天使の嗜みを撃ったりとかですネ……
「あれ、稲妻の嵐はともかく偏執狂は?」という点。彼は中々難しいカードで、メインでは相手の除去で処理されやすいため出しづらいことが多く、また大抵はフィニッシュに必要なドロースペル含めて青ダブルを用意する必要があるため、マナが揃う速度的にも勝ち手段にしづらいことが多いです。
一方で呪文滑りや神聖の力線など「それってサイドカードじゃないのか!?」といったカードがメイン戦から飛び出してきた際には、セルフLOで勝利という自己完結性の高さが役立ちます。これはサイド後も然り。
稲妻の嵐ルートは(猿人の指導霊を3枚使用する形であれば)全てインスタントで動き続けて勝つことが可能なルートということも重要。ファイレクシアの非生を除去する呪文や能力、その他面倒なものにスタックしてコンボで勝ったりと、豪快さの割にかなり器用な動きも可能です。
また、このデッキには3Tキルルートがあるため、それらに必要なものを記します。狙ってみる際の判断材料にどうぞ。
①稲妻の嵐フィニッシュ
必須:むかつき、天使の嗜み、五元のプリズム、猿人の指導霊、土地各1枚
完成形:追加の五元のプリズム、土地、猿人の指導霊などで、3T目に(黒)(黒)(白)含む6マナを捻出できる盤面。
補足:マナ関係で代用が効きやすいため案外揃うこともあるルート。対戦している際いきなり2T目に猿人の指導霊を使いつつプリズムを置いてきた場合、ほぼ確実にこれ。
②偏執狂フィニッシュ
必須:研究室の偏執狂、天使の嗜み、大霊堂の戦利品、猿人の指導霊各1枚、土地2枚(うちアンタップイン1枚、(黒)(白)が出せて青1マナが出る組み合わせ)
完成形:2ターン目に偏執狂を設置。
補足:除去で即死しかねない&代替パーツもないためシビアなルートですが、アップキープに天使の嗜み&大霊堂の戦利品でセルフLO→通常ドローで勝利が可能。
●サイドボード
モダンのサイドボードは個別に考えだしたらキリがないのと、個別例は最初に述べたフォーラムの記事などにも詳しいので、ざっくりとした方針を。
というより、恐らくアドグレイスの構築自体が人によって異なるのもあって明確にどうこう書きづらいというか、あんまり言語化&共有されてない感じも……
・抜くもの
抜けるものは決まっており、睡蓮の花4枚、五元のプリズム4枚、手練3枚、否定の契約3枚、自由枠2枚(大抵は手練とファイレクシアの非生の4枚目)の計16枚から選んで抜いていきます。
お気づきでしょうか。抜くことが可能なものが多く、15枚サイドチェンジも可能です!
……まぁ当然というか流石に冗談ですが、アドグレイスの柔軟さの背景はここかもしれませんね。
閑話休題。抜ける理由について。
マナファクトについて。サイド後相手がこちらのスピードを落とそうとする際、真っ先に狙いをつけてくるのはここです。なので大抵の場合抜けますが、土地を切り詰めた構築である以上、ある程度マナファクトのサポートが必要なのも確かなので、全抜きはしません。サイド後シンボルのきつい全除去や追加フィニッシャーを投入する場合は尚更。
抜く枚数や配分は、先手後手やマッチアップによってこれまた様々。虚空の杯が警戒される場合は睡蓮の花を優先して減らす、BG系のようにパーマネント除去が豊富なデッキならば場に残しがちな五元のプリズムを優先して減らす、といった具合に……
手練ですが、最速のコンボ完成にはそもそもキャントリップ自体が必要でない&偏執狂フィニッシュに使えない&ライブラリを掘れる枚数が少ないことから、血清の幻視よりも優先して抜けます。枚数はコンボ速度がどこまで求められるかに応じて変え、ほとんど抜かないケースもあります。
否定の契約やファイレクシアの非生について。否定の契約はカウンターを搭載した青系デッキ以外には腐りがちなので抜けます。またそういったデッキには神聖の力線が刺さることが多いので大抵は入れ替える形に。ファイレクシアの非生はメインに3枚程度残す形で抜きます。神聖の力線やマナファクト向けの除去が当たってしまうためです。
その他適宜抜けそうなものは抜いていきましょう。そこは構築次第。黒系のハンデスを使ってくる相手にはむかつきを1枚減らして手札に入るタイミングを遅らせ、代わりに追加のフィニッシャーを入れるプランも。
・入れるもの
相性差の項にて述べた、苦手な要素のうち①~③のどれが入ってくるかを考えていくのがまずは1つ。
①のハンデスであれば神聖の力線。②の打消しであれば否定の契約は残し、③のロックカードやヘイトカードであればそれらを対処できるカードを入れます。
そして、相手に応じて追加の勝ち手段やヘイトカードを入れていきます。
クリーチャー主体のデッキであれば全体除去、ミッドレンジやコントロール相手には多角的に攻めていける墓所のタイタンなどの追加の勝ち手段。アグロやコンボ相手にはハンデスで妨害などですね。
・サイド後のキープ
サイドボード以上に難しいのでまだはっきりとは言語化できず。
ただ「減らしたものは引きにくくなる」、当たり前ですがこれをしっかり意識して回すことが大事かなぁとは。
抜けるパーツの中にマナファクトがあることから、キープ基準にマナファクトはあまり換算しないケースが多いです。
マナファクトや力線は重要なカードですが、それらを躍起になって探すマリガンをすると、安定性があるとはいえそもそも倒れやすいコンボデッキであることから事故死しがち。ゆるくキープして枚数を持っておくのも大事。
上記の理由から、マナフラ気味の手札の方が逆にしっかりマナが出て戦いやすいケースも。
また追加の勝ち手段を入れている場合、初手にあれば&問題なくキャストが出来そうならば、私の場合キープしてしまったりしています。
着地してそのまま勝てればいいですし、そうでなくてもコンボが控えていますからね。
●終わりに ~アドグレイス気になってるけど……という人向け
私は冗談めかして、アドグレイスを「チャネルボール(※)」と呼ぶことがあります。
※マジック黎明期のコンボデッキ。参考:http://mtgwiki.com/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB)
睡蓮の花(=《Black Lotus》)などのサポートを元に、むかつきと天使の嗜みで大量の土地(=マナ)をライフと引き換えに手に入れ(=《チャネル/Channel》)、それらを稲妻の嵐につぎ込んで一撃で相手を倒す(=《火の玉/Fireball》X=20)様子が「さながらチャネルボールのようではないか?」と思い至ったのがきっかけです。
否定の契約も、天使の嗜みで踏み倒した場合の手札の消費や、実際支払うマナの量は《意志の力/Force of Will》のようですし、大霊堂の戦利品は悪名高い《Demonic Consultation》の調整版。
そういった古のカードやコンボのパワーの一片を、調整版ではありますがモダンでまとめて味わうことができるのは、アドグレイスというデッキの魅力の一つだと考えています。
変幻自在のサイドボードプランや、ルール書き換えカードの数々から、相手の虚をついて勝ちを拾うのも、毎度毎度回し方が変わる楽しさがあり、MTGWikiにて称された「ローグデッキ」を体現するようなデッキだと考えています。
もしもこの記事を読んでなにか感じるところがあれば、ぜひ手に取ってみてください。他のデッキとは違ったマジックの風景が見えるのではないかと思います。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。アドグレイスの魅力を少しでも伝えられたならば幸いです。
次の記事は未定。速度域は抽象的過ぎ&そんなに偉くないので9割断念中。
有言を実行しないことに定評のある私。そんな定評捨てちまえ。
それではまた次の記事か、あるいはどこかの大会で。
●参考サイト、オススメサイト等
・各デッキリスト検索サイト
各地の職人たちのリストから知識をもらうの大事。
オススメは太陽のお店。理由は検索かけるとなんとなくお分かりいただけるかも。
・Magic Math - How Consistent Are Spoils of the Vault, Collected Company, and Griselbrand in Modern? https://www.channelfireball.com/articles/magic-math-how-consistent-are-spoils-of-the-vault-collected-company-and-griselbrand-in-modern/
戦利品で自滅する確率(いわゆるデモコン死)などを計算した、カーステン博士の確率記事。状況に応じて細かい部分は変わってきますが、ざっくりとした把握に。
・Winning Ad Nauseam http://www.starcitygames.com/article/33676_Winning-Ad-Nauseam.html
近年のアドグレイスがサイドボードプランとして採用する、墓所のタイタンを始めとしたクリーチャー戦術について解説されたStar City Gamesの記事です。
またMtG英公式サイトには、執筆者のAndrew Brownが実際にGPでアドグレイスを使用した際のインタビューも掲載されています。(参考:https://magic.wizards.com/en/events/coverage/gpind16/ad-nauseam-with-andrew-brown-a-control-player-goes-combo-2016-08-27)
【MTG】ゆかりのアンフェア・アンライフ その1「アドグレイス」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm32142431
これ書いてたらもっと分かりやすい動画が出てきたのでご紹介。この記事の存在意義ェ……
投稿者の方はアドグレイスを用いてPPTQにも参加されているらしく、確かな経験と知識に基づいた作品です。動画中のクイズ&解説も必見。
速度域について書こうかと思っていたのですが、まとまらないままモダンでアドグレイスを回していたらうっかり先日の晴れる屋休日杯で入賞。
そこからだらだら回していたら勝ったり楽しくなってきたりで、浮かれた勢いそのままに、結局アドグレイスの記事です。
有言を実行しないことに定評のある私。そんな定評捨てちまえ。
●アドグレイス(むかつきデッキ)について
アラーラの断片(もう9年前だなんて……)にて登場したカード、《むかつき/Ad Nauseaum》をキーカードとした、モダンのコンボデッキです。
むかつきをキーカードとしたデッキで有名なものではレガシーのANTが挙げられますが、あちらはむかつきをあくまで手札補充の手段として採用したストーム(※)デッキ。
対してこちらはその起源を時のらせん期のエクステンデッドに置く、全く別系統のコンボデッキになっています。
※ストームという
むかつきのライフルーズを逆手に取り、《天使の嗜み/Angel’s Grace》や《ファイレクシアの非生/Phyrexian Unlife》で「ライフが0を下回っても敗北しない」状況を作りだしてライブラリーを全て手札に加え、《稲妻の嵐/Lightning Storm》などのフィニッシュカードを叩きつけて勝利するという豪快かつ独特な動きが特徴です。
メタゲームに合わせた柔軟な構築も可能で、サイドに《墓所のタイタン/Grave Titan》等を採用し、コンボ以外での勝ち筋を用意した構築もよく見られます。
その他大まかな特徴については以下の記事を参照いただければ。
・むかつき - MTG Wiki
http://mtgwiki.com/wiki/%E3%82%80%E3%81%8B%E3%81%A4%E3%81%8D
・モダンデッキ案内 -アドグレイス- http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/2973
●本題に入るその前に
英語読めねぇよ!という方には大変申し訳ないのですが、今回の記事の内容は主に以下のサイトを元にしています。
・[Primer] Ad Nauseam http://www.mtgsalvation.com/forums/the-game/modern/developing-competitive-modern/221735-ad-nauseam
「mtgsalvation」という海外のフォーラムサイトに投稿された、「アドグレイス入門」ともいうべきエントリー。
「どうせフォーラムへのユーザー投稿だろ?」と侮るなかれ。ChannelFireBallの記事において、Bob Huangが“highly recommend checking out(目を通すことを強く勧めるよ)”と発言するほど。(参考:https://www.channelfireball.com/articles/ad-nauseam-deck-guide/)
デッキの特性から細かいパーツ選択、マッチアップの相性やサイドボーディング、更にはプレイの際気を付けたほうが良い場面などあらゆることを網羅しており、ひとまず頭に入れておけばとりあえず迷うことはほとんどなくなると思います。
情報は少々古いものですが、アドグレイスというデッキの基礎部分に関わる内容のため、当時から大きく変化したであろう現在のメタゲームにもつながってくる内容です。
私の検索能力がぽんこつなせいだとは思うのですが、海外に比べて日本国内においては、アドグレイスを取り扱った記事が少ないと感じます。
各サイトの記事でたびたび取り上げられるも、基本的なコンボについて触れてだいたい終わり。細やかなサイドプランなどについてはほとんど触れられない印象。理由は後述しますがデッキの特性上Tier1にはなりづらいため、戦略記事がそこまで必要とされていない可能性も否めませんが……
もちろん使用者によるディープな考察記事もあるのですが、どちらかといえばある程度アドグレイスを理解したor使用している人向けのものが多くなる印象。
ですが、アドグレイスは過去にGP優勝(2016年のGPシャーロット)を果たしたことがあるほどの力のあるデッキで、2017年のGP神戸でもTop8入りを果たしています。
様々な経緯からこのデッキにたどり着くも、中々回し方が分からなかったり、良く分からないけど勝てた(負けた)、記事を読んで勉強したいけど中々見当たらない……
そういった方々の力に、また「わからん殺しされたんだけどどうなってんのこのデッキ!?」といった対アドグレイスを考えている方の力になれればと思います。
まだまだ練習中の身ではあるため、自分の考えをまとめる目的が大きいのですが、そういった経緯から今回記事を書きました。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
●リスト、カード選択について
現在私が使用しているリストは以下になります。色々変えて試したりはしていますが……
https://twitter.com/RUG_mtg/status/942365955023241216
●メインボード
メインに関してはカードの役割配分がほとんど確定しており、以下にその一般的な配分を書いていきます。
・土地20枚
・マナ加速8枚(《睡蓮の花/Lotus Bloom》、《五元のプリズム/Pentad Prism》)
・むかつき4枚
・むかつきを探す手段3枚
・死なない手段7~8枚(天使の嗜み、ファイレクシアの非生)
・フィニッシャー2枚(稲妻の嵐、《研究室の偏執狂/Laboratory Maniac》等)
・《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》4枚
・妨害手段への対策3枚(《否定の契約/Pact of Negation》、《神聖の力線/Leyline of Sanctity》)
・キャントリップ8枚(《血清の幻視/Serum Visions》、《手練/Sleight of Hand》)
どうプレイするかは後述するとして、いくらか補足を。
土地の内訳に関しては、人によって配分が変わってきますので特別断定はできませんが、《宝石鉱山/Gemstone Mine》などの5色土地、テーロスブロックの占術ランドが代表的です。
また、幽霊街や血染めの月などに備えて基本土地を2枚ほど採用するケースが恐らく一般的。私は島と平地を1枚ずつ採用しています。
むかつきをプレイするのに不可欠な(黒)(黒)はマナ加速アーティファクトから一気に出すことが多く、土地からそれ以外のためのマナを出す場合、嗜みや非生のための白マナと、コンボパーツにアクセスしたり相手の妨害手段を除去するための青マナが必要となるためです。
むかつきを探す手段は《大霊堂の戦利品/Spoils of the Vault》、《深遠の覗き見/Peer Through Depth》、《神秘の指導/Mystical Teachings》の3種類が主流です。
これらはどれも一長一短ありますので、プレイヤーや構築によって変化します。
戦利品に関しては、研究室の偏執狂と組み合わせる事で、むかつきを用いることなくセルフLO勝利を狙える点は押さえておきたいところ。
死なない手段の枚数の幅について。2017年現在では、環境の高速化に伴ってかコンボパーツ兼アグロへの回答となるファイレクシアの非生の4枚目が採用されるケースが増加していますが、かつてはこの部分が《殺戮の契約/Slaughter Pact》や追加の否定の契約になっていました。いわゆる自由枠ですね。そのため7~8枚といった書き方になっています。
キャントリップについて。基本的には血清の幻視と手練4枚ずつの8枚体制ですが、コンボ自体には必ずしも必要ではないため、手練を3枚に落とし自由枠を1枚作ったりするケースがあります。そのため上記と併せて2枚ほど自由枠があり、メインボードから何かしらの除去を搭載して相手への干渉手段をとったり、《発熱の儀式/Pyretic Ritual》等を搭載してコンボ完成や速度を補強した構築も。追加の土地というケースもありますね。
●サイドボード
アドグレイスの柔軟さのキモとなるのがこの部分。環境に応じて色々突っ込んでいきます。人によって方針も異なるため、アドグレイスごとにサイドから飛んでくるカードが大きく変わるケースもしばしば。
以下、私が構築する際の方向性を記します。
①苦手なカード、デッキへの対策
このデッキは「ハンデス」、「打ち消し」、「ヘイトカード」といった妨害手段、そして「自身よりキルターンの速いデッキ(主にコンボ)」が苦手です。
これらへの回答について検討・採用していきます。
・《神聖の力線/Leyline of Sanctity》、追加の否定の契約など
主に「ハンデス」や「打ち消し」に対する回答。特に力線は対ハンデス以外にも役立つ場面が多く、ほとんどのリストにおいて採用されています。
「打ち消し」に対する回答としては、他にも《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All》《トレイリア西部/Tolaria West》などがあげられます。
またこれらはメインボードにおける「妨害手段への対策」として機能するため、メタゲームによっては否定の契約の代わりに神聖の力線などがメインボードから搭載されるケースも。
ちなみに「ハンデス」に対するその他の回答として個人的にお気に入りなのは《ネファリアのアカデミー/Nepharia Academy》。《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》からもハンドを守れ、アンタップインなのが地味ながら優秀。色マナが出ないのは難点ですが、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》を用いることで若干のケアも可能。
・除去、ハンデス
こちらは主に「ヘイトカード」、「自分より速いコンボ」への回答。
具体的には《残響する真実/Echoing Truth》や《摩耗+損耗/Wear // Tear》、《致命的な一押し/Fatal Push》や《思考囲い/Thoughtseize》、殺戮の契約など。書きだしたらキリが無さそうではあるので割愛しますが……異界月で登場した《集団的蛮行/Collective Brutality》なんかは除去やハンデスを兼ねられたりして中々優秀。
除去は主に《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》のようないわゆるヘイトベアー、《石のような静寂/Stony Silence》、虚空の杯といった置物への対抗策。
また、ストームやカウンターカンパニーなどこちらよりキルターンの速いコンボは何らかのシステムクリーチャーに依存する場合も多いため、これらに対する妨害策となり得ます。
ハンデスは上記ヘイトカードやコンボデッキ相手にパーツを抜くのはもちろん、打ち消しを抜いたり中々に多芸。キルターンがこちらと同等かそれ以下の土地コンボ(トロンやヴァラクートなど)相手にも、相手の速度を落とす形で役立ちます。
②追加の勝ち手段
青系や黒系のフェアデッキを始め、ヘイトカードによる妨害が想定される白系の相手に、サイド後も愚直にコンボを通しに行くのは一苦労。
そうでなくとも相手はコンボを意識してサイドボーディングをしてくることが考えられるため、勝ち筋を増やす&変えることで逆にその隙をつこうというプラン。
・大型クリーチャーなど
墓所のタイタン、《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》、《龍王ドロモカ/Dragonlord Dromoka》、《畏敬の神格/Godhead of Awe》etc……
簡単に言うと「1枚で勝てるスペックのあるカードをぶつければ大体勝てるだろ」という思想。サイドの打ち消しに引っかかったり、この戦法が割と有名になってしまったのでそう易々と勝てるケースは中々ありませんが……
刺さるデッキもそれぞれ少し異なります。以下にざっくりと。
タイタン:BG系やコントロール(とりあえず雑に強い)
エルズペス:エルドラトロンやコントロール
ドロモカ:青系コントロール(巻き添えでアグロ全般も)
畏敬の神格:死の影、エルドラトロン(細かい所だとタルモをルールの都合で1/1に出来たり)
他には《僧院の導師/Monastery Mentor》や《未練ある魂/Lingering Souls》なんかも。
デメリットもそれぞれ異なってくるため、恐らくここが最も人によって差が大きく出る部分です。
・追加の稲妻の嵐など
近年では少なくなりましたが、あくまでコンボを通すんだ!という人向け。
追加の稲妻の嵐の他には、《突撃の地鳴り/Seismic Assault》など。古のむかつきデッキが搭載していた《燃焼/Conflagrate》も良さげ?
《真髄の針/Pithing Needle》などフィニッシャーそのものを意識したサイドボードをされるため、この枠はカードそのものを散らすのが多い印象です。
この手の火力呪文を追加する最大のメリットは、ヘイトベアー系のクリーチャーに対する除去を勝ち手段の枠に組み込める点。2枚あれば1枚切っても問題ないですからね。
③その他
明確なヘイトカードなどで余った枠を埋めていきます。
例えば墓地利用デッキや《集合した中隊/Collected Company》デッキに対する《墓堀りの檻/Grafdigger’s Cage》、虚空の杯や親和への回答になる《ハーキルの召還術/Hurkyl’s Recall》、感染に対するほぼ専用カードの《魂の裏切りの夜/Night of Souls’ Betrayal》や《厳粛/Solemnity》。
サイド後アグロやミッドレンジに対する勝ちを盤石にするための《至高の評決/Supreme Verdict》、《バントゥ最後の算段/Bontu’s Last Reckoning》などの全体除去や、《天空のもや/Ethereal Haze》や《暗黒/Darkness》といったいわゆるフォグ系の呪文などなど……
こうした専用対策のヘイトカードが最優先される場合もあれば、お試し枠やオシャレ枠なんかで普段見かけないカードが突っ込まれることも。
●相性差
ざっくりとした相性差は以下の通り。
・有利
大体のアグロ、土地コンボ
・五分
青(打ち消し)込みデッキ、UBxカラーのデッキ
・不利
BG系のデッキ、デスタク系統、こちらよりキルターンの速いデッキ全般
・無理
感染
勿論お互いの採用カードによってこれらは変わってきますが、概ねこの傾向にあるといってよいと思います。
有利な条件は大まかに
①相手を押しとどめることが可能
②キルターンがこちらより遅いデッキ
③打ち消しやハンデスなどの妨害手段が入っていない
といった点です。
バーンや親和、マーフォークなどのアグロデッキは天使の嗜みやファイレクシアの非生を用いることでコンボ完成まで耐えることが出来ます。
土地コンボ(主にトロンやヴァラクートなど)のようにほぼ完全にスピード勝負になるコンボ対決の場合も、こちらのほうがキルターンが早いため有利です。
反対にこのデッキが苦手な要素には
①ハンデス
②打ち消し
③ロックカードやヘイトカード
④自身よりキルターンの速いデッキ
が挙げられます。
①は主にジャンドやアブザンなどのBG系、③は主にデスタクなどのヘイトベアー系デッキになります。
②に関しては、否定の契約等の存在から対処できる場合も多いため、そこまで不利になる要因にはなりません。
①~③の要素を複数持つデッキも多いのが悩みのタネ(白黒エルドラージなど)ですが、青黒系のデッキは例外的におよそ五分相性。メインはともかく、相手側は抜くものが少なく入れるものが多くなるため、適切なサイドボーディングをしづらいケースが多々。相手の75枚のうち、妨害手段がどのような分布になっているか次第なところも。
ところがグリクシスシャドウに関しては、元々死の影デッキがハンデス中心のデッキであることから厳しい相手。うーんややこしい。
近年流行りのエルドラージトロンはちょっと評価が難しい印象。《虚空の杯/Chalice of the Void》をうっかりX=3でプレイされるとメインはまず勝てませんし、雑にX=0やX=1で置かれても中々キツいのですが、逆に言うとそれさえ何とかなれば向こうの《歪める嘆き/Warping Wail》にも引っかかることなくコンボで勝てるし、畏敬の神格なんかも刺さるし……求む有識者。
④については主にけちストームやカウンターカンパニ―といったデッキがそれにあたり、スピード勝負では先手後手関係なくこちらが遅いため不利となります。1ターン分確実に稼ぐ天使の嗜みがあったりで、全く勝てないというわけではないのですが。向こうが事故ることを祈りましょう。嗚呼不毛な争い。
感染に関しては、そもそも当たらないことを全力で祈るしかありません。
キルターンがこちらより圧倒的に早く(というか下手するとモダン最速レベル)、天使の嗜みやファイレクシアの非生がほぼ無意味、打ち消し&呪文滑りを搭載している……とアドグレイスの苦手要素のオンパレード。祈りましょう。それか夕飯に何を食べようか考えましょう。
また、冒頭で述べたTier1になりづらいというのは、以上のことが理由だったり。
アンフェアデッキが強いとされるモダンでスピード負けしがちで、それらコンボデッキを対策したデッキも巻き添えを食うような形でつらく、確実にメタゲームに存在するBG系や死の影デッキはそもそも苦手……要するに「Tier1やそれらを対策する有名どころにはいまいち勝ちきれない感」が否めず、Tierランクをのぼりづらいデッキではあります。
逆説的に知られていないが故の「わからん殺し」が可能で、バーンや親和を含めたアグロや土地コンボといった、これまたメタゲーム内に一定数存在する様々なデッキに有利~五分が付くといった強みもあるのですが。
●実戦編
●キープ基準
メインに関しては「マナ加速」「死なない手段」「むかつきor実質むかつき」の3種類のうち2種類が初手にあれば、大体キープしてしまってよいと思います。
ここでいう「実質むかつき」とは、大霊堂の戦利品や神秘の指導など、確実にむかつきにアクセスできるものを言います。深遠の覗き見は5枚の中から選ぶので少しランクダウン。
上記に加えて土地が2枚程あるのがベスト。キープ基準を上げる場合はこれも含めるのが良いでしょう。
とはいえ極端な例ですが、睡蓮の花が2枚あれば土地0でも勝てる可能性があるのがこのデッキです。土地も20枚程度しか入っていないため、あまり基準を上げすぎてマリガン→手札が足りなくなる……といった負け方をしない方が個人的には良いかなぁと。
サイド後に関しては後述します。
●回し方
メインでは、睡蓮の花の待機が開けるタイミングやファイレクシアの非生を絡める際のマナの都合などから、基本的には4T目のコンボ完成を目指してプレイします。
完成形の盤面はいくつかあるのですが、「①死なない状況を作った上で②むかつきを撃てるマナと③フィニッシュ手段を使えるマナが用意できる」のがそれにあたります。
例を以下に記します。
①睡蓮の花使用
1T目:睡蓮の花を待機&占術ランドorドロースペルでパーツや土地を探す
2、3T目:土地を伸ばしたり、ドロースペルで引き続きパーツを探したりする
4T目:睡蓮の花キャスト。むかつきと天使の嗜みでライブラリを引ききり、猿人の指導霊3枚追放からの稲妻の嵐で勝利。
②五元のプリズム使用
1T目:占術ランドやドロースペルを使用
2T目:五元のプリズムを烈日2で設置
3T目:ファイレクシアの非生を設置
4T目:むかつきを以下略して稲妻の嵐
これらはあくまで例です。実際にはこれ以上のマナが用意できるケースも、逆にパーツの到着が遅れるケースもあります。実戦では相手の妨害などによってさらに大きく変化してきます。土地6枚並べてむりやりむかつきと天使の嗜みを撃ったりとかですネ……
「あれ、稲妻の嵐はともかく偏執狂は?」という点。彼は中々難しいカードで、メインでは相手の除去で処理されやすいため出しづらいことが多く、また大抵はフィニッシュに必要なドロースペル含めて青ダブルを用意する必要があるため、マナが揃う速度的にも勝ち手段にしづらいことが多いです。
一方で呪文滑りや神聖の力線など「それってサイドカードじゃないのか!?」といったカードがメイン戦から飛び出してきた際には、セルフLOで勝利という自己完結性の高さが役立ちます。これはサイド後も然り。
稲妻の嵐ルートは(猿人の指導霊を3枚使用する形であれば)全てインスタントで動き続けて勝つことが可能なルートということも重要。ファイレクシアの非生を除去する呪文や能力、その他面倒なものにスタックしてコンボで勝ったりと、豪快さの割にかなり器用な動きも可能です。
また、このデッキには3Tキルルートがあるため、それらに必要なものを記します。狙ってみる際の判断材料にどうぞ。
①稲妻の嵐フィニッシュ
必須:むかつき、天使の嗜み、五元のプリズム、猿人の指導霊、土地各1枚
完成形:追加の五元のプリズム、土地、猿人の指導霊などで、3T目に(黒)(黒)(白)含む6マナを捻出できる盤面。
補足:マナ関係で代用が効きやすいため案外揃うこともあるルート。対戦している際いきなり2T目に猿人の指導霊を使いつつプリズムを置いてきた場合、ほぼ確実にこれ。
②偏執狂フィニッシュ
必須:研究室の偏執狂、天使の嗜み、大霊堂の戦利品、猿人の指導霊各1枚、土地2枚(うちアンタップイン1枚、(黒)(白)が出せて青1マナが出る組み合わせ)
完成形:2ターン目に偏執狂を設置。
補足:除去で即死しかねない&代替パーツもないためシビアなルートですが、アップキープに天使の嗜み&大霊堂の戦利品でセルフLO→通常ドローで勝利が可能。
●サイドボード
モダンのサイドボードは個別に考えだしたらキリがないのと、個別例は最初に述べたフォーラムの記事などにも詳しいので、ざっくりとした方針を。
というより、恐らくアドグレイスの構築自体が人によって異なるのもあって明確にどうこう書きづらいというか、あんまり言語化&共有されてない感じも……
・抜くもの
抜けるものは決まっており、睡蓮の花4枚、五元のプリズム4枚、手練3枚、否定の契約3枚、自由枠2枚(大抵は手練とファイレクシアの非生の4枚目)の計16枚から選んで抜いていきます。
お気づきでしょうか。抜くことが可能なものが多く、15枚サイドチェンジも可能です!
……まぁ当然というか流石に冗談ですが、アドグレイスの柔軟さの背景はここかもしれませんね。
閑話休題。抜ける理由について。
マナファクトについて。サイド後相手がこちらのスピードを落とそうとする際、真っ先に狙いをつけてくるのはここです。なので大抵の場合抜けますが、土地を切り詰めた構築である以上、ある程度マナファクトのサポートが必要なのも確かなので、全抜きはしません。サイド後シンボルのきつい全除去や追加フィニッシャーを投入する場合は尚更。
抜く枚数や配分は、先手後手やマッチアップによってこれまた様々。虚空の杯が警戒される場合は睡蓮の花を優先して減らす、BG系のようにパーマネント除去が豊富なデッキならば場に残しがちな五元のプリズムを優先して減らす、といった具合に……
手練ですが、最速のコンボ完成にはそもそもキャントリップ自体が必要でない&偏執狂フィニッシュに使えない&ライブラリを掘れる枚数が少ないことから、血清の幻視よりも優先して抜けます。枚数はコンボ速度がどこまで求められるかに応じて変え、ほとんど抜かないケースもあります。
否定の契約やファイレクシアの非生について。否定の契約はカウンターを搭載した青系デッキ以外には腐りがちなので抜けます。またそういったデッキには神聖の力線が刺さることが多いので大抵は入れ替える形に。ファイレクシアの非生はメインに3枚程度残す形で抜きます。神聖の力線やマナファクト向けの除去が当たってしまうためです。
その他適宜抜けそうなものは抜いていきましょう。そこは構築次第。黒系のハンデスを使ってくる相手にはむかつきを1枚減らして手札に入るタイミングを遅らせ、代わりに追加のフィニッシャーを入れるプランも。
・入れるもの
相性差の項にて述べた、苦手な要素のうち①~③のどれが入ってくるかを考えていくのがまずは1つ。
①のハンデスであれば神聖の力線。②の打消しであれば否定の契約は残し、③のロックカードやヘイトカードであればそれらを対処できるカードを入れます。
そして、相手に応じて追加の勝ち手段やヘイトカードを入れていきます。
クリーチャー主体のデッキであれば全体除去、ミッドレンジやコントロール相手には多角的に攻めていける墓所のタイタンなどの追加の勝ち手段。アグロやコンボ相手にはハンデスで妨害などですね。
・サイド後のキープ
サイドボード以上に難しいのでまだはっきりとは言語化できず。
ただ「減らしたものは引きにくくなる」、当たり前ですがこれをしっかり意識して回すことが大事かなぁとは。
抜けるパーツの中にマナファクトがあることから、キープ基準にマナファクトはあまり換算しないケースが多いです。
マナファクトや力線は重要なカードですが、それらを躍起になって探すマリガンをすると、安定性があるとはいえそもそも倒れやすいコンボデッキであることから事故死しがち。ゆるくキープして枚数を持っておくのも大事。
上記の理由から、マナフラ気味の手札の方が逆にしっかりマナが出て戦いやすいケースも。
また追加の勝ち手段を入れている場合、初手にあれば&問題なくキャストが出来そうならば、私の場合キープしてしまったりしています。
着地してそのまま勝てればいいですし、そうでなくてもコンボが控えていますからね。
●終わりに ~アドグレイス気になってるけど……という人向け
私は冗談めかして、アドグレイスを「チャネルボール(※)」と呼ぶことがあります。
※マジック黎明期のコンボデッキ。参考:http://mtgwiki.com/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB)
睡蓮の花(=《Black Lotus》)などのサポートを元に、むかつきと天使の嗜みで大量の土地(=マナ)をライフと引き換えに手に入れ(=《チャネル/Channel》)、それらを稲妻の嵐につぎ込んで一撃で相手を倒す(=《火の玉/Fireball》X=20)様子が「さながらチャネルボールのようではないか?」と思い至ったのがきっかけです。
否定の契約も、天使の嗜みで踏み倒した場合の手札の消費や、実際支払うマナの量は《意志の力/Force of Will》のようですし、大霊堂の戦利品は悪名高い《Demonic Consultation》の調整版。
そういった古のカードやコンボのパワーの一片を、調整版ではありますがモダンでまとめて味わうことができるのは、アドグレイスというデッキの魅力の一つだと考えています。
変幻自在のサイドボードプランや、ルール書き換えカードの数々から、相手の虚をついて勝ちを拾うのも、毎度毎度回し方が変わる楽しさがあり、MTGWikiにて称された「ローグデッキ」を体現するようなデッキだと考えています。
もしもこの記事を読んでなにか感じるところがあれば、ぜひ手に取ってみてください。他のデッキとは違ったマジックの風景が見えるのではないかと思います。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。アドグレイスの魅力を少しでも伝えられたならば幸いです。
次の記事は未定。速度域は抽象的過ぎ&そんなに偉くないので9割断念中。
有言を実行しないことに定評のある私。そんな定評捨てちまえ。
それではまた次の記事か、あるいはどこかの大会で。
●参考サイト、オススメサイト等
・各デッキリスト検索サイト
各地の職人たちのリストから知識をもらうの大事。
オススメは太陽のお店。理由は検索かけるとなんとなくお分かりいただけるかも。
・Magic Math - How Consistent Are Spoils of the Vault, Collected Company, and Griselbrand in Modern? https://www.channelfireball.com/articles/magic-math-how-consistent-are-spoils-of-the-vault-collected-company-and-griselbrand-in-modern/
戦利品で自滅する確率(いわゆるデモコン死)などを計算した、カーステン博士の確率記事。状況に応じて細かい部分は変わってきますが、ざっくりとした把握に。
・Winning Ad Nauseam http://www.starcitygames.com/article/33676_Winning-Ad-Nauseam.html
近年のアドグレイスがサイドボードプランとして採用する、墓所のタイタンを始めとしたクリーチャー戦術について解説されたStar City Gamesの記事です。
またMtG英公式サイトには、執筆者のAndrew Brownが実際にGPでアドグレイスを使用した際のインタビューも掲載されています。(参考:https://magic.wizards.com/en/events/coverage/gpind16/ad-nauseam-with-andrew-brown-a-control-player-goes-combo-2016-08-27)
【MTG】ゆかりのアンフェア・アンライフ その1「アドグレイス」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm32142431
これ書いてたらもっと分かりやすい動画が出てきたのでご紹介。
投稿者の方はアドグレイスを用いてPPTQにも参加されているらしく、確かな経験と知識に基づいた作品です。動画中のクイズ&解説も必見。
――あくまで、イチ週末カジュアルプレイヤーの戯れ言です。
おはこんばんにちわ。
前回のデルバー記事の後、「受ける」フェアデッキだけでなく「攻める」アンフェアも回そうとアドグレイスを組みました。次はこいつで記事を書きたいなぁと思いながら中々対戦経験が踏めず、ずるずる経過して今に至ります。
じゃあ今回は何の話だ?というと、BFZ~AKHスタンにおける赤単『ラムナプレッド』に関した&スタン人口増加を目指した記事になります。
●はじめに ~ハゾレトとチャンドラの無い赤単ってどういうことだ
さて本題へ。タイトルの通り、ハゾレトとKLDチャンドラを抜いた赤単ってなんだよ、と。
「いやいやお前、ハゾレトとKLDチャンドラって今の赤単のキーパーツじゃん」「勝てんのかそれで?」というご指摘はごもっとも。
というか先に申し上げますとハゾレトとチャンドラがあった方が絶対に強いです。絶対に。
ですが、ハゾレトとチャンドラを抜いた赤単でも案外戦えます。正直実験台になった私本人が赤単のパワーに驚いているのですが。
具体的には「19人参加のゲームデー、スイス5回戦SE3回戦でスイス5位」、「赤単をメタったデッキ相手にも勝てた」といった感じ。
そして、ハゾレトとチャンドラを抜いた赤単をこうして紹介する最大の理由は、「スタンをやる人口が増えれば」というものです。
……まぁ週末カジュアルプレイヤー故に、小規模ゲームデーとはいえ「Top8」という響きに舞い上がり、承認欲求からこんな記事書いてる節はありますが(え)。
「1デッキに10万」、「ギデオンあらずんばデッキにあらず」、「不愉快BANや手のひらクルフィックスBAN」、「メンコ:ザ・ギャザリング」……
もはやそうした芳しくない話題にばかり富んだ時代では無くなったのでは?と最近は考えるようになりました。
現実の大会でもMOでも様々なデッキが勝ちあがっています。白単モニュメントや緑白猫など、安め&強いデッキも出てきました。
破滅の刻を経て、スタンは今、良い環境になってきていると感じています。
また、ハゾレトとチャンドラの全く無い赤単、それはつまり「高額カードを含まない、安めの赤単」になります。
下世話な話にはなりますが、金銭コストは確実に参入する上でのボトルネックになりやすいです。
「スタンからMtGを始めたい」人以外にも、スタンに手を伸ばしたい、あるいは既にやっていて「アグロをやってみたい」、「赤単が気になる」、「でもハゾレトとチャンドラに手は伸びづらい……」と感じている人。
そういった様々な人の力になれればと思い、主観100%で、この記事を書きました。
……正直、勝てるかどうかは二の次なデッキの紹介記事です。
こういうものもあるのだなと、頭の隅に置いていただけるだけでも幸いです。
最後までお付き合いいただければと思います。
●リストと解説
では解説へ。個人的な最終版がこちらとなります。
デッキ名は「Godless Red」。そのまんまです。
https://twitter.com/RUG_mtg/status/894449065504538624
ゲームデーで私が用いたリストは以下のものになります。
https://twitter.com/RUG_mtg/status/894160693997338624
リプライ欄からたどれるかと思いますが、戦績はこちらのURL。
https://twitter.com/RUG_mtg/status/894161589904986114
見ていただければわかる通り、PTTop8入りした藏田さんタイプの赤黒アグロに勝ち星を拾ったり、黒緑にストレート勝ち出来ています。メインで先手が取れたのは大きかったと思いますが……
初戦の黒単エルドラージに関しては「赤単に負けたくないと思って」とメインから才気ある霊基体が飛んできたりカリタスがガン積みされていました。
負けた2戦は「空中対応員や陽光鞭の勇者の入った白単」、「除去ガン積みのコントロール気味赤黒ミッドレンジ」でした。
白単は相性を覆しづらい印象ですが、赤黒ミッドレンジ相手にはSEにてメインを拾えており、もしかすると……といった感じです。
詳しい対戦内容は割愛。気になる方はぜひコメントいただければ。
リストに関しては、PTTop8入りしたSamuel Blackの赤単がひな型となっています。
参考:プロツアー『破滅の刻』 トップ8プレイヤーデッキリスト(スタンダード)http://coverage.mtg-jp.com/pthou17/decklist/019330/
ハゾレトとチャンドラを抜いているので、ひな型として引用するのは気が引けるのですが……
●ゲームプラン
ハゾレトとチャンドラの無い穴をどうやって埋めるのか。
彼女たちの役割について考えてみると、
ハゾレト:破壊不能と速攻で強引に殴り、甘えたブロックを許さない。腐った手札と持て余したマナを火力に変える。
チャンドラ:着地すればケンラの永遠能力起動が大体確定。固定砲台、天敵に近いカリタスへの解答。
といった所。
総括すると、「赤単が息切れしてくるころにどう戦うか」ということに関して、もっとも手堅く、強力なカードと言うことになります。
ではそれらを使わない今回の場合ではどうするか。
言い換えれば、「息切れする頃にどう戦うか」になります。
今回の場合その回答は「すり抜けて殴る」ことでした。
地揺すりのケンラやアン一門の壊し屋に加えて、カーリ・ゼヴ、カルト―シュ、そしてメインから投入されたアクームの火の鳥がこれにあたります。
各種回避能力ですり抜けて殴ることで相手のライフを安定して削り、土地や火力呪文で勝つことが可能な状況を早期に作ることを目指します。
ハゾレトはトランプルを持たず、チャンドラも堅実ではありますが上ブレもしにくいカード。
対してアクームの火の鳥は相手の飛行クリーチャーで止まりますが、上陸によりマナフラッドへの耐性と継戦能力を同時に獲得できます。
同型戦やアンチ赤単デッキ筆頭の黒系デッキ戦では、メインにおける飛行クロックは通しやすいのもGood。
昂揚のイシュカナだけが恐らく悩みのタネですが……恐らくその頃には火力等での致死圏内まで持って行けるかな、と。
そしてカリタスへの解答にもなり、除去としても本体火力としても使いやすい集団的抵抗も3枚採用。
回していた体感では、結構な速度で致死圏内まで持って行けるマッチが多かったです。
●マリガンとサイドボード
マリガンに関してはメインもサイド後も「土地2枚くらい+綺麗に動ける手札」ならキープして大丈夫だと思います。
「土地1+クリーチャーやカルト―シュなど1マナ複数」といった手札も恐らくOKかと。1マナが19枚入っているので、1ターンくらい土地が詰まっても問題ない場合も多いです。
1マナクリーチャーが減ったサイド後で、ショックも本体に投げづらいマッチでは2マナから動く形でもOK。
その辺りは「どう殴っていくか」のプランに従いましょう。
また、回す際はカリタスに注意。特に集団的抵抗は1枚でカリタスを対処できる貴重な手段です。
「どう殴っていくか」のプランに関して、サイドボードの話。
サイド後は基本的にテンポを維持していくことを重視します。
相手の除去が増加することがまず考えられますし、キラーカードを投入してくることも予想されます。
「相手はどう動くか」、「その上で自分はどう動けば最も相手のライフを削れるか」を考えてカードを使い「殴って」いきます。
まずは入れるものに関して。基本的にはほぼ100%、4枚目の陽焼けした砂漠+栄光をもたらすもの2枚は投入していました。
追加でハンウィアー守備隊などを土地と一緒に入れても良いかと。
後手では削剥や乗っ取りなど、相手のキーカードに刺せるものや、巻き返しを図れるものもさらに入れます。
こちらはマッチによっては先手でも入れていいと思います。先手では余程相手との噛み合わせが悪くない限りはこちらが先に殴る展開になりますが、テンポ維持の補佐として。
カリタスの他に警戒するべきは、巻きつき蛇、ギセラなどの回復能力を持ったクリーチャーです。霊気圏の収集艇もそうですね。
メインでは焼夷流を当ててでも止めに行く連中です。火力はこいつらの存在も考えつつ使います。
削剥はこれらに刺さりますし、こちらの地上が止まってしまった際、本体火力を温存しながら道をこじ開けることが出来ます。
栄光をもたらすものはテンポをとりつつ4点押し込む役割です。通れば大体勝ち。
乗っ取りに関しては同型のハゾレト等大型クリーチャーを奪って強引に殴ります。アン一門の壊し屋などと組み合わせれば一気に勝ちが近づきますね。
サイドでの採用枚数を増加しても良いかもしれません。カーリ・ゼヴの巧技にしてもいいと思います。というかそちらの方が強いですね。
抜くものに関しては「ショック以外の1マナ」を始めとする「腐りそうなもの」です。
具体的には1マナクリーチャー12枚から3~6枚、カルト―シュが筆頭です。
地揺すりのケンラも、相手先手&EMNリリアナが予想される場合は1枚抜いても良いと思います。
1マナクリーチャーは全抜きすることはほとんどありませんが、さきほどのテンポ維持の面から殆どの場合数は減らします。
減らす基準は時々によって変わります。「BG系やコントロールなど相手が致し方なくタップインから始まる場合は速攻持ち8枚を残す」といった具合です。
まんべんなく1枚ずつ減らしたりすることもあります。これに関しては特筆せずとも相手の動き出しなどを見れば抜くものは分かりやすいかなぁと。
カルト―シュについてはまちまちです。残すこともありますが、テンポの面から削剥の枠に替えたりもします。
カルト―シュの回避能力と速攻付与やパンプは侮れませんが、刹那的な面も否めませんしね。
ケンラの他には相手の空中戦力が豊富な青白など白系相手では、火の鳥を抜いたりします。
猛火の斉射はモニュメントなどトークンやタフネス1で止まった地上を開けるために採用してみました。ショックと併せれば無私の霊魂もすりぬけやすいかな……という淡い期待。
……お察しの通り多分白系相手はとてもつらいです。ハイ。
●終わりに
赤単がいつまで続くかは神のみぞしる、といった感じです。このデッキ神いないですけど。
イクサラン以降優秀な火力呪文を獲得できれば、今後も望みは大いにあるデッキだと考えています。
ハゾレトチャンドラ抜きという字面そのまま飛車角落ちに近いデッキですが、それでも勝ったり負けたり出来てしまう辺り、アモンケットで得た赤いカードは計り知れません。
タルキール龍紀伝、マジック・オリジンとPTを赤単が連続優勝したあの再来はあるのか。ひそかに期待していたりします。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。
私は「プロと同じデッキが使える」といっただけでもウキウキするタイプの人間で、ウィザーズが言う通り、変化に富むメタゲームを楽しめるのも醍醐味だと感じております。
それ故に、そうしたことが実現しやすいスタンは大好きです。
この記事がどこまでお役に立てたか定かではありませんが、私同様スタンを楽しむ人が増えたり、皆さんのスタンの楽しみが広がれば幸いです。
次回はTwitterに書いたことのまとめ企画を予定。今回もそれに近かったのですがネ……
速度域に関する持論を投げてみようと思います。アドグレイスはいつになるやら。というか次の記事もいつになるやら。
それではまた、次の記事かどこかで。
それまで皆さんが良き赤マナに恵まれますように。
おはこんばんにちわ。
前回のデルバー記事の後、「受ける」フェアデッキだけでなく「攻める」アンフェアも回そうとアドグレイスを組みました。次はこいつで記事を書きたいなぁと思いながら中々対戦経験が踏めず、ずるずる経過して今に至ります。
じゃあ今回は何の話だ?というと、BFZ~AKHスタンにおける赤単『ラムナプレッド』に関した&スタン人口増加を目指した記事になります。
●はじめに ~ハゾレトとチャンドラの無い赤単ってどういうことだ
さて本題へ。タイトルの通り、ハゾレトとKLDチャンドラを抜いた赤単ってなんだよ、と。
「いやいやお前、ハゾレトとKLDチャンドラって今の赤単のキーパーツじゃん」「勝てんのかそれで?」というご指摘はごもっとも。
というか先に申し上げますとハゾレトとチャンドラがあった方が絶対に強いです。絶対に。
ですが、ハゾレトとチャンドラを抜いた赤単でも案外戦えます。正直実験台になった私本人が赤単のパワーに驚いているのですが。
具体的には「19人参加のゲームデー、スイス5回戦SE3回戦でスイス5位」、「赤単をメタったデッキ相手にも勝てた」といった感じ。
そして、ハゾレトとチャンドラを抜いた赤単をこうして紹介する最大の理由は、「スタンをやる人口が増えれば」というものです。
……まぁ週末カジュアルプレイヤー故に、小規模ゲームデーとはいえ「Top8」という響きに舞い上がり、承認欲求からこんな記事書いてる節はありますが(え)。
「1デッキに10万」、「ギデオンあらずんばデッキにあらず」、「不愉快BANや手のひらクルフィックスBAN」、「メンコ:ザ・ギャザリング」……
もはやそうした芳しくない話題にばかり富んだ時代では無くなったのでは?と最近は考えるようになりました。
現実の大会でもMOでも様々なデッキが勝ちあがっています。白単モニュメントや緑白猫など、安め&強いデッキも出てきました。
破滅の刻を経て、スタンは今、良い環境になってきていると感じています。
また、ハゾレトとチャンドラの全く無い赤単、それはつまり「高額カードを含まない、安めの赤単」になります。
下世話な話にはなりますが、金銭コストは確実に参入する上でのボトルネックになりやすいです。
「スタンからMtGを始めたい」人以外にも、スタンに手を伸ばしたい、あるいは既にやっていて「アグロをやってみたい」、「赤単が気になる」、「でもハゾレトとチャンドラに手は伸びづらい……」と感じている人。
そういった様々な人の力になれればと思い、主観100%で、この記事を書きました。
……正直、勝てるかどうかは二の次なデッキの紹介記事です。
こういうものもあるのだなと、頭の隅に置いていただけるだけでも幸いです。
最後までお付き合いいただければと思います。
●リストと解説
では解説へ。個人的な最終版がこちらとなります。
デッキ名は「Godless Red」。そのまんまです。
https://twitter.com/RUG_mtg/status/894449065504538624
ゲームデーで私が用いたリストは以下のものになります。
https://twitter.com/RUG_mtg/status/894160693997338624
リプライ欄からたどれるかと思いますが、戦績はこちらのURL。
https://twitter.com/RUG_mtg/status/894161589904986114
見ていただければわかる通り、PTTop8入りした藏田さんタイプの赤黒アグロに勝ち星を拾ったり、黒緑にストレート勝ち出来ています。メインで先手が取れたのは大きかったと思いますが……
初戦の黒単エルドラージに関しては「赤単に負けたくないと思って」とメインから才気ある霊基体が飛んできたりカリタスがガン積みされていました。
負けた2戦は「空中対応員や陽光鞭の勇者の入った白単」、「除去ガン積みのコントロール気味赤黒ミッドレンジ」でした。
白単は相性を覆しづらい印象ですが、赤黒ミッドレンジ相手にはSEにてメインを拾えており、もしかすると……といった感じです。
詳しい対戦内容は割愛。気になる方はぜひコメントいただければ。
リストに関しては、PTTop8入りしたSamuel Blackの赤単がひな型となっています。
参考:プロツアー『破滅の刻』 トップ8プレイヤーデッキリスト(スタンダード)http://coverage.mtg-jp.com/pthou17/decklist/019330/
ハゾレトとチャンドラを抜いているので、ひな型として引用するのは気が引けるのですが……
●ゲームプラン
ハゾレトとチャンドラの無い穴をどうやって埋めるのか。
彼女たちの役割について考えてみると、
ハゾレト:破壊不能と速攻で強引に殴り、甘えたブロックを許さない。腐った手札と持て余したマナを火力に変える。
チャンドラ:着地すればケンラの永遠能力起動が大体確定。固定砲台、天敵に近いカリタスへの解答。
といった所。
総括すると、「赤単が息切れしてくるころにどう戦うか」ということに関して、もっとも手堅く、強力なカードと言うことになります。
ではそれらを使わない今回の場合ではどうするか。
言い換えれば、「息切れする頃にどう戦うか」になります。
今回の場合その回答は「すり抜けて殴る」ことでした。
地揺すりのケンラやアン一門の壊し屋に加えて、カーリ・ゼヴ、カルト―シュ、そしてメインから投入されたアクームの火の鳥がこれにあたります。
各種回避能力ですり抜けて殴ることで相手のライフを安定して削り、土地や火力呪文で勝つことが可能な状況を早期に作ることを目指します。
ハゾレトはトランプルを持たず、チャンドラも堅実ではありますが上ブレもしにくいカード。
対してアクームの火の鳥は相手の飛行クリーチャーで止まりますが、上陸によりマナフラッドへの耐性と継戦能力を同時に獲得できます。
同型戦やアンチ赤単デッキ筆頭の黒系デッキ戦では、メインにおける飛行クロックは通しやすいのもGood。
昂揚のイシュカナだけが恐らく悩みのタネですが……恐らくその頃には火力等での致死圏内まで持って行けるかな、と。
そしてカリタスへの解答にもなり、除去としても本体火力としても使いやすい集団的抵抗も3枚採用。
回していた体感では、結構な速度で致死圏内まで持って行けるマッチが多かったです。
●マリガンとサイドボード
マリガンに関してはメインもサイド後も「土地2枚くらい+綺麗に動ける手札」ならキープして大丈夫だと思います。
「土地1+クリーチャーやカルト―シュなど1マナ複数」といった手札も恐らくOKかと。1マナが19枚入っているので、1ターンくらい土地が詰まっても問題ない場合も多いです。
1マナクリーチャーが減ったサイド後で、ショックも本体に投げづらいマッチでは2マナから動く形でもOK。
その辺りは「どう殴っていくか」のプランに従いましょう。
また、回す際はカリタスに注意。特に集団的抵抗は1枚でカリタスを対処できる貴重な手段です。
「どう殴っていくか」のプランに関して、サイドボードの話。
サイド後は基本的にテンポを維持していくことを重視します。
相手の除去が増加することがまず考えられますし、キラーカードを投入してくることも予想されます。
「相手はどう動くか」、「その上で自分はどう動けば最も相手のライフを削れるか」を考えてカードを使い「殴って」いきます。
まずは入れるものに関して。基本的にはほぼ100%、4枚目の陽焼けした砂漠+栄光をもたらすもの2枚は投入していました。
追加でハンウィアー守備隊などを土地と一緒に入れても良いかと。
後手では削剥や乗っ取りなど、相手のキーカードに刺せるものや、巻き返しを図れるものもさらに入れます。
こちらはマッチによっては先手でも入れていいと思います。先手では余程相手との噛み合わせが悪くない限りはこちらが先に殴る展開になりますが、テンポ維持の補佐として。
カリタスの他に警戒するべきは、巻きつき蛇、ギセラなどの回復能力を持ったクリーチャーです。霊気圏の収集艇もそうですね。
メインでは焼夷流を当ててでも止めに行く連中です。火力はこいつらの存在も考えつつ使います。
削剥はこれらに刺さりますし、こちらの地上が止まってしまった際、本体火力を温存しながら道をこじ開けることが出来ます。
栄光をもたらすものはテンポをとりつつ4点押し込む役割です。通れば大体勝ち。
乗っ取りに関しては同型のハゾレト等大型クリーチャーを奪って強引に殴ります。アン一門の壊し屋などと組み合わせれば一気に勝ちが近づきますね。
サイドでの採用枚数を増加しても良いかもしれません。カーリ・ゼヴの巧技にしてもいいと思います。というかそちらの方が強いですね。
抜くものに関しては「ショック以外の1マナ」を始めとする「腐りそうなもの」です。
具体的には1マナクリーチャー12枚から3~6枚、カルト―シュが筆頭です。
地揺すりのケンラも、相手先手&EMNリリアナが予想される場合は1枚抜いても良いと思います。
1マナクリーチャーは全抜きすることはほとんどありませんが、さきほどのテンポ維持の面から殆どの場合数は減らします。
減らす基準は時々によって変わります。「BG系やコントロールなど相手が致し方なくタップインから始まる場合は速攻持ち8枚を残す」といった具合です。
まんべんなく1枚ずつ減らしたりすることもあります。これに関しては特筆せずとも相手の動き出しなどを見れば抜くものは分かりやすいかなぁと。
カルト―シュについてはまちまちです。残すこともありますが、テンポの面から削剥の枠に替えたりもします。
カルト―シュの回避能力と速攻付与やパンプは侮れませんが、刹那的な面も否めませんしね。
ケンラの他には相手の空中戦力が豊富な青白など白系相手では、火の鳥を抜いたりします。
猛火の斉射はモニュメントなどトークンやタフネス1で止まった地上を開けるために採用してみました。ショックと併せれば無私の霊魂もすりぬけやすいかな……という淡い期待。
……お察しの通り多分白系相手はとてもつらいです。ハイ。
●終わりに
赤単がいつまで続くかは神のみぞしる、といった感じです。このデッキ神いないですけど。
イクサラン以降優秀な火力呪文を獲得できれば、今後も望みは大いにあるデッキだと考えています。
ハゾレトチャンドラ抜きという字面そのまま飛車角落ちに近いデッキですが、それでも勝ったり負けたり出来てしまう辺り、アモンケットで得た赤いカードは計り知れません。
タルキール龍紀伝、マジック・オリジンとPTを赤単が連続優勝したあの再来はあるのか。ひそかに期待していたりします。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。
私は「プロと同じデッキが使える」といっただけでもウキウキするタイプの人間で、ウィザーズが言う通り、変化に富むメタゲームを楽しめるのも醍醐味だと感じております。
それ故に、そうしたことが実現しやすいスタンは大好きです。
この記事がどこまでお役に立てたか定かではありませんが、私同様スタンを楽しむ人が増えたり、皆さんのスタンの楽しみが広がれば幸いです。
次回はTwitterに書いたことのまとめ企画を予定。今回もそれに近かったのですがネ……
速度域に関する持論を投げてみようと思います。アドグレイスはいつになるやら。というか次の記事もいつになるやら。
それではまた、次の記事かどこかで。
それまで皆さんが良き赤マナに恵まれますように。
モダンのデルバーについて考える。
2017年4月12日 Magic: The Gathering自己紹介記事からおよそひと月、何を書こうかと考えつつデッキを回して過ごしていたら、だいぶ間が開いてしまいました。
今回は1年弱ほどモダン&レガシーでだらだらとデルバーを回してきた経験則を元に、モダンのデルバーについて考えたものを、レガシーと比較しながらつらつらと書いてみたいと思います。
とはいえ、知識や経験はまだまだ浅いので、生暖かい目でお読みいただければと思います。「ここは違うぞ!」などなど思う所あれば、コメントで指摘いただけると幸いです。
●現在のデルバーデッキ
そもそもデルバーデッキ「Delver-Go」とはなんぞや?といった方はこちらを。
『Delver-Go - MTG Wiki』 http://mtgwiki.com/wiki/Delver-Go
変身すれば1マナ3/2飛行。何考えて刷ったんだという強烈な性能を持つ《秘密を掘り下げる者》を中心に据えたデッキです。
アーキタイプ的には「ビートダウン」と「コントロール」の中間の「ビート・コントロール」、俗に「クロックパーミッション」と呼ばれるものになりますね。
私は彼がスタン現役の時代を知らないのですが、なかしゅーさん(殿堂プレイヤー、中村修平さん)の『なかしゅー世界一周』を拝見するに、スタンの頃から頭一つ抜けていたようです。
参考:『なかしゅー世界一周2012・第2回:プロはなぜ強いのか?~オーランドにて』 http://mtg-jp.com/reading/variety/002806/
さて、そんな彼の現在の主戦場はいわゆる「下環境」。特にモダンとレガシーの2つになります。
ヴィンテージやPauperといったフォーマットでもそれなりに数はありますが、ここでは割愛。
モダンとレガシーのどちらにおいても、デルバーデッキは
①デルバー等のクロックを置く
②打ち消しや除去で蓋をしながら殴る
というゲームの流れを目指していますが、カードプール&それに伴うメタゲームの違いから、採用する戦術には大きな違いがあります。
●レガシーのデルバー、モダンのデルバー
・レガシーの場合
レガシーのデルバーデッキにおいて特徴的な戦術に「マナ否定戦術」が挙げられます。
《不毛の大地》や《もみ消し》(最近はどうかわかりませんが《陥没孔/Sinkhole》なども?)を採用し、相手の土地を縛り上げて低いマナ域に縛り付け、あわよくば相手に何も呪文を打たせさせないまま殴り勝ってしまおうという戦術。
仮にこれが成功せずとも、大量に搭載された《意志の力/Force of Will》をはじめとする歴代の強力な打ち消し呪文によって強引に押さえつけることも可能です。
もちろんそう易々と毎回成功して勝てるわけではありませんが……2017年現在において、もはや古代兵器に近いようなCanadian Thresholdが、SCGの大会などで時おり好成績を残していることは、相手に呪文を使わせないこの「マナ否定戦術」が強固であることを示しているといえるでしょう。
また「マナ否定戦術」自体は構築上の負担が少ないため、この他にも“丸さ”を求める構築も見られるようになってきました。
具体的には黒のハンデスや除去&探査クリーチャーの採用、あるいはもっと大胆にBUGミッドレンジとハイブリッドしようといった傾向がそれです。
そしてそうした構築を取りやすいグリクシスデルバーや4Cデルバーが、2017年現在のデルバーデッキにおける主流となってい(ると認識しており)ます。
・モダンの場合
モダンにはマナ否定戦術に用いられる《不毛の大地》等も、《意志の力/Force of Will》等の強烈な打ち消し呪文も存在しません。
そもそも環境の打ち消し呪文やドロー呪文がレガシーと比べてカードパワーが足りず、それらを中心とする“青い”デッキには向かい風気味です。
数少ない強力な打ち消し呪文《謎めいた命令》もコンセプト的には採用が厳しく、その一方で押しつける側のパワーはそれなりに高い水準でまとまっていることの多い環境。
これらを打破するために、デルバーデッキはどういった戦法を取ったのか。
結論から言えば、若干構築を重くしコントロールデッキに寄せ、パワーの底上げを図る構築が主流となっています。
その屋台骨となるのは《瞬唱の魔道士》の採用。
モダンとレガシーのデルバーデッキを分ける最大の特徴は、このポルトガルだかアジアだかブラジルだかラテン圏だかどこから来たのかわからない魔道士の圧倒的な採用率です。
モダンの青系コントロール全般、そしてレガシーの奇跡コントロールを支える、いわば下環境コントロールの大黒柱。
振り返ってみれば、スタン時代にも《秘密を掘り下げる者》と同時採用されている場合が多かったみたいですね。
彼を採用する最大のメリットは、大量に搭載されたスペルを使いまわすことが出来る、すなわち実質倍の数のカードで戦っていると考えられる点です。
30枚インスタントソーサリー呪文が採用されていれば、60枚分のリソースで戦っているようなものだということ。
いやまぁもちろん実際はそんなことは一切ないのですが、感覚的にはおよそそんな感じにざっくり考えてもいいのでは、と。
もちろんデメリットもあります。それは「2マナクリーチャーに見えて実質3マナ以上のクリーチャーである」という点。
これは運用上、9割方フラッシュバックコストも併せて必要とするためであり、安定して仕事ができるのは土地が4~5枚並んだ頃になります。
土地を切り詰める発想のデルバーデッキとは矛盾するようなクリーチャーですね。
もちろん実際のゲームでは、対戦が長引くほど土地が伸びる確率も上がりますから、土地を切り詰める発想と完全に矛盾しているかというとそうでもなかったりしますが。
そのためレガシーと比較して、インスタントやソーサリーの枚数を数枚減らし、代わりにそこへ土地を入れ、追加のクリーチャーも重くする傾向が見られるのが、モダンのデルバーデッキのもう一つの特徴。
《ヴェンディリオン三人衆》や「トリコ(白青赤)デルバー」における《聖トラフトの霊》などがそれにあたり、タルキールブロック以降の各種探査クリーチャーや《僧院の導師》もこれらに入ります。
《瞬唱の魔道士》の採用、追加のクロック要因を重めのクリーチャーへと交換、土地の微増量をすることによって、コントロールデッキとして立ち回ることも可能になったのが、モダンのデルバーデッキです。
(余談ですが、「トリコデルバー」ではいわゆる「ナヒリシュート」のギミックを取り入れたものも……)
●現在のモダンのデルバー
2017年4月現在、モダンで主流となっているのは「グリクシス(青黒赤)デルバー」です。
参考:『グランプリ・広州2016 トップ8プレイヤーデッキリスト(モダン)』 http://coverage.mtg-jp.com/gpgua16/decklist/017404/
GP広州2016の優勝デッキがAlbertus Lawさんのグリクシスデルバー。《ギタクシア派の調査》禁止前ですので、現在も同様のパワーがあるとは言い切れませんが。
余談ですが、この決勝カバレージも中々良いです。
主流、というか強いとされる理由はざっくりと以下の2点。
①《突然の衰微》や《致命的な一押し》、《コジレックの審問》の存在から、それらによって対処されない探査クリーチャーが採用できる
②相手の探査クリーチャーに対抗できる《終止》、《瞬唱の魔道士》との相性が抜群の《コラガンの命令》が採用可能
これらにより「安全にクロックを出すこと」、「相手の脅威に対処し蓋をしやすい」というデルバーデッキの要件を満たせているというわけです。
《コラガンの命令》で《瞬唱の魔道士》を使いまわす動きも本当に強く、後半のリソース勝負にもしっかりと追い付ける構築になっています。
ちなみにその後半の粘り強さに注目し、殿堂プレイヤーPatrick Chapinさんがデルバーを抜いた形の「グリクシスコントロール」を示したりしています。
参考:『CONTROLLING MODERN WITH PATRICK CHAPIN』 http://magic.wizards.com/en/events/coverage/gpcha15/controlling-modern-patrick-chapin-2015-06-14
参考:『モダンの達人 vol.6 -グリクシスコントロール-』 http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/1471
また今後の禁止・制限改訂次第では変わってくるかもしれませんが、《死の影》を取り入れテンポを重視した「グリクシスシャドウ」も現れました。
参考:『岩SHOWの「デイリー・デッキ」:死の影グリクシス(モダン)』 http://mtg-jp.com/reading/iwashowdeck/0018491/
参考:『MODERN MOCS(記事中の“yamakiller”のデッキ)』 http://magic.wizards.com/en/articles/archive/mtgo-standings/modern-mocs-2017-03-27
回したことが無いので何とも言えませんが、どちらかといえばこちらの方がクロックパーミッションらしいデッキかもしれません。
翻ってグリクシスデルバーを見返すと、「《秘密を掘り下げる者》の存在から、コントロールデッキの前半戦の立ち回り方にバリエーションを持たせられる」、「《瞬唱の魔道士》と探査クリーチャー、各種スペルから、クロックパーミッションの苦手な後半戦も戦える」、という、両方の良い所取りのような戦い方が可能となっているといえるでしょう。
その反面、どちらにも振り切れずもっさりしてしまっている、いわば器用貧乏な側面があるのは確かなのですが……相手によって、またゲームによって立ち回り方を柔軟に変えられるのは、このデッキの醍醐味であり、強みであると感じています。
●最後に
カウンタースリヴァーやフェアリーのようなクロックパーミッションと比べ、デルバーデッキはその構築内容から、コントロールとの線引きが曖昧なデッキだと感じます(そもそもクロックパーミッションとコントロールの線引きについてまず考察するべきなのかはわかりませんが)。
横にクリーチャーが並ぶことも、強烈な全体除去や巨大なフィニッシャーを唱えることも少なく、淡々とアドバンテージを稼ぎながらこつこつ蓋をしつつ殴る。
レガシーにおいてはともかく、モダンのデルバーデッキはその傾向が特に強いと感じます。
ですので、もしも現在、モダンでデルバーデッキを使っていて、「これはクロックパーミッションだ」という解説がまず念頭にあるとして。
回しても中々勝てない、今一つピンと来ていない方が居たら。
「クロックパーミッションとコントロールをその場で使い分けられる、だいぶふわっとしたデッキ」なのだと考えてみると、恐らく違って見えてくるのではないでしょうか。
ネットの辺境の独り言にお付き合いいただき、ありがとうございました。
願わくば、これを読んだ方の《秘密を掘り下げる者》が、ほんの少しだけ変身しやすくなりますように。
あと、欲を言うなら僕の手元の《秘密を掘り下げる者》も、もう少しだけ変身させてください。
●付録
記事の年代は様々ですが、デルバーデッキをいくつか紹介しておきたいと思います。
参考までにレガシーも……っていうかレガシーの方が多いな?
※晴れる屋さん、Star City Gamesさんのデータベース掲載のデッキリストの場合は記事タイトルを割愛しています。
・モダンのデルバーデッキ
RUGデルバー:『Daily Deck ティムール・デルバー(モダン)』 http://mtg-jp.com/reading/translated/dd/0015158/
白青赤デルバー: http://www.hareruyamtg.com/jp/k/kD05240W/
グリクシスデルバー: http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=111982
・レガシーのデルバーデッキ
RUGデルバー:『のぶ夫の部屋 -第1回 RUGデルバー前編-』 http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/125
BUGデルバー:『Deck Tech: 土屋 洋紀の「BUG Delver」』 http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/2278
URデルバー:『岩SHOWの「デイリー・デッキ」:URデルバー(レガシー)』 http://mtg-jp.com/reading/iwashowdeck/0017700/
グリクシスデルバー:『レガシーデッキ案内 -グリクシスデルバー-』 http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/3673
4Cデルバー:『Browse the Deck! Vol.2 「4Cデルバー」』 http://mtg.bigmagic.net/article/%E8%A8%98%E4%BA%8B/%E3%83%AC%E3%82%AC%E3%82%B7%E3%83%BC/%E6%97%A5%E4%B8%8B%E9%83%A8%E6%81%AD%E5%B9%B3/002
英語ですが、ChannelFireBallのリード・デュークによる、レガシーでのデルバーデッキの解説記事も。
『Legacy Guide Part VI: Delver By Reid Duke // 8 Mar, 2017』 https://www.channelfireball.com/articles/legacy-guide-part-vi-delver/
今回は1年弱ほどモダン&レガシーでだらだらとデルバーを回してきた経験則を元に、モダンのデルバーについて考えたものを、レガシーと比較しながらつらつらと書いてみたいと思います。
とはいえ、知識や経験はまだまだ浅いので、生暖かい目でお読みいただければと思います。「ここは違うぞ!」などなど思う所あれば、コメントで指摘いただけると幸いです。
●現在のデルバーデッキ
そもそもデルバーデッキ「Delver-Go」とはなんぞや?といった方はこちらを。
『Delver-Go - MTG Wiki』 http://mtgwiki.com/wiki/Delver-Go
変身すれば1マナ3/2飛行。
アーキタイプ的には「ビートダウン」と「コントロール」の中間の「ビート・コントロール」、俗に「クロックパーミッション」と呼ばれるものになりますね。
私は彼がスタン現役の時代を知らないのですが、なかしゅーさん(殿堂プレイヤー、中村修平さん)の『なかしゅー世界一周』を拝見するに、スタンの頃から頭一つ抜けていたようです。
参考:『なかしゅー世界一周2012・第2回:プロはなぜ強いのか?~オーランドにて』 http://mtg-jp.com/reading/variety/002806/
さて、そんな彼の現在の主戦場はいわゆる「下環境」。特にモダンとレガシーの2つになります。
ヴィンテージやPauperといったフォーマットでもそれなりに数はありますが、ここでは割愛。
モダンとレガシーのどちらにおいても、デルバーデッキは
①デルバー等のクロックを置く
②打ち消しや除去で蓋をしながら殴る
というゲームの流れを目指していますが、カードプール&それに伴うメタゲームの違いから、採用する戦術には大きな違いがあります。
●レガシーのデルバー、モダンのデルバー
・レガシーの場合
レガシーのデルバーデッキにおいて特徴的な戦術に「マナ否定戦術」が挙げられます。
《不毛の大地》や《もみ消し》(最近はどうかわかりませんが《陥没孔/Sinkhole》なども?)を採用し、相手の土地を縛り上げて低いマナ域に縛り付け、あわよくば相手に何も呪文を打たせさせないまま殴り勝ってしまおうという戦術。
仮にこれが成功せずとも、大量に搭載された《意志の力/Force of Will》をはじめとする歴代の強力な打ち消し呪文によって強引に押さえつけることも可能です。
もちろんそう易々と毎回成功して勝てるわけではありませんが……2017年現在において、もはや古代兵器に近いようなCanadian Thresholdが、SCGの大会などで時おり好成績を残していることは、相手に呪文を使わせないこの「マナ否定戦術」が強固であることを示しているといえるでしょう。
また「マナ否定戦術」自体は構築上の負担が少ないため、この他にも“丸さ”を求める構築も見られるようになってきました。
具体的には黒のハンデスや除去&探査クリーチャーの採用、あるいはもっと大胆にBUGミッドレンジとハイブリッドしようといった傾向がそれです。
そしてそうした構築を取りやすいグリクシスデルバーや4Cデルバーが、2017年現在のデルバーデッキにおける主流となってい(ると認識しており)ます。
・モダンの場合
モダンにはマナ否定戦術に用いられる《不毛の大地》等も、《意志の力/Force of Will》等の強烈な打ち消し呪文も存在しません。
そもそも環境の打ち消し呪文やドロー呪文がレガシーと比べてカードパワーが足りず、それらを中心とする“青い”デッキには向かい風気味です。
数少ない強力な打ち消し呪文《謎めいた命令》もコンセプト的には採用が厳しく、その一方で押しつける側のパワーはそれなりに高い水準でまとまっていることの多い環境。
これらを打破するために、デルバーデッキはどういった戦法を取ったのか。
結論から言えば、若干構築を重くしコントロールデッキに寄せ、パワーの底上げを図る構築が主流となっています。
その屋台骨となるのは《瞬唱の魔道士》の採用。
モダンとレガシーのデルバーデッキを分ける最大の特徴は、この
モダンの青系コントロール全般、そしてレガシーの奇跡コントロールを支える、いわば下環境コントロールの大黒柱。
振り返ってみれば、スタン時代にも《秘密を掘り下げる者》と同時採用されている場合が多かったみたいですね。
彼を採用する最大のメリットは、大量に搭載されたスペルを使いまわすことが出来る、すなわち実質倍の数のカードで戦っていると考えられる点です。
30枚インスタントソーサリー呪文が採用されていれば、60枚分のリソースで戦っているようなものだということ。
いやまぁもちろん実際はそんなことは一切ないのですが、感覚的にはおよそそんな感じにざっくり考えてもいいのでは、と。
もちろんデメリットもあります。それは「2マナクリーチャーに見えて実質3マナ以上のクリーチャーである」という点。
これは運用上、9割方フラッシュバックコストも併せて必要とするためであり、安定して仕事ができるのは土地が4~5枚並んだ頃になります。
土地を切り詰める発想のデルバーデッキとは矛盾するようなクリーチャーですね。
もちろん実際のゲームでは、対戦が長引くほど土地が伸びる確率も上がりますから、土地を切り詰める発想と完全に矛盾しているかというとそうでもなかったりしますが。
そのためレガシーと比較して、インスタントやソーサリーの枚数を数枚減らし、代わりにそこへ土地を入れ、追加のクリーチャーも重くする傾向が見られるのが、モダンのデルバーデッキのもう一つの特徴。
《ヴェンディリオン三人衆》や「トリコ(白青赤)デルバー」における《聖トラフトの霊》などがそれにあたり、タルキールブロック以降の各種探査クリーチャーや《僧院の導師》もこれらに入ります。
《瞬唱の魔道士》の採用、追加のクロック要因を重めのクリーチャーへと交換、土地の微増量をすることによって、コントロールデッキとして立ち回ることも可能になったのが、モダンのデルバーデッキです。
(余談ですが、「トリコデルバー」ではいわゆる「ナヒリシュート」のギミックを取り入れたものも……)
●現在のモダンのデルバー
2017年4月現在、モダンで主流となっているのは「グリクシス(青黒赤)デルバー」です。
参考:『グランプリ・広州2016 トップ8プレイヤーデッキリスト(モダン)』 http://coverage.mtg-jp.com/gpgua16/decklist/017404/
GP広州2016の優勝デッキがAlbertus Lawさんのグリクシスデルバー。《ギタクシア派の調査》禁止前ですので、現在も同様のパワーがあるとは言い切れませんが。
余談ですが、この決勝カバレージも中々良いです。
主流、というか強いとされる理由はざっくりと以下の2点。
①《突然の衰微》や《致命的な一押し》、《コジレックの審問》の存在から、それらによって対処されない探査クリーチャーが採用できる
②相手の探査クリーチャーに対抗できる《終止》、《瞬唱の魔道士》との相性が抜群の《コラガンの命令》が採用可能
これらにより「安全にクロックを出すこと」、「相手の脅威に対処し蓋をしやすい」というデルバーデッキの要件を満たせているというわけです。
《コラガンの命令》で《瞬唱の魔道士》を使いまわす動きも本当に強く、後半のリソース勝負にもしっかりと追い付ける構築になっています。
ちなみにその後半の粘り強さに注目し、殿堂プレイヤーPatrick Chapinさんがデルバーを抜いた形の「グリクシスコントロール」を示したりしています。
参考:『CONTROLLING MODERN WITH PATRICK CHAPIN』 http://magic.wizards.com/en/events/coverage/gpcha15/controlling-modern-patrick-chapin-2015-06-14
参考:『モダンの達人 vol.6 -グリクシスコントロール-』 http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/1471
また今後の禁止・制限改訂次第では変わってくるかもしれませんが、《死の影》を取り入れテンポを重視した「グリクシスシャドウ」も現れました。
参考:『岩SHOWの「デイリー・デッキ」:死の影グリクシス(モダン)』 http://mtg-jp.com/reading/iwashowdeck/0018491/
参考:『MODERN MOCS(記事中の“yamakiller”のデッキ)』 http://magic.wizards.com/en/articles/archive/mtgo-standings/modern-mocs-2017-03-27
回したことが無いので何とも言えませんが、どちらかといえばこちらの方がクロックパーミッションらしいデッキかもしれません。
翻ってグリクシスデルバーを見返すと、「《秘密を掘り下げる者》の存在から、コントロールデッキの前半戦の立ち回り方にバリエーションを持たせられる」、「《瞬唱の魔道士》と探査クリーチャー、各種スペルから、クロックパーミッションの苦手な後半戦も戦える」、という、両方の良い所取りのような戦い方が可能となっているといえるでしょう。
その反面、どちらにも振り切れずもっさりしてしまっている、いわば器用貧乏な側面があるのは確かなのですが……相手によって、またゲームによって立ち回り方を柔軟に変えられるのは、このデッキの醍醐味であり、強みであると感じています。
●最後に
カウンタースリヴァーやフェアリーのようなクロックパーミッションと比べ、デルバーデッキはその構築内容から、コントロールとの線引きが曖昧なデッキだと感じます(そもそもクロックパーミッションとコントロールの線引きについてまず考察するべきなのかはわかりませんが)。
横にクリーチャーが並ぶことも、強烈な全体除去や巨大なフィニッシャーを唱えることも少なく、淡々とアドバンテージを稼ぎながらこつこつ蓋をしつつ殴る。
レガシーにおいてはともかく、モダンのデルバーデッキはその傾向が特に強いと感じます。
ですので、もしも現在、モダンでデルバーデッキを使っていて、「これはクロックパーミッションだ」という解説がまず念頭にあるとして。
回しても中々勝てない、今一つピンと来ていない方が居たら。
「クロックパーミッションとコントロールをその場で使い分けられる、だいぶふわっとしたデッキ」なのだと考えてみると、恐らく違って見えてくるのではないでしょうか。
ネットの辺境の独り言にお付き合いいただき、ありがとうございました。
願わくば、これを読んだ方の《秘密を掘り下げる者》が、ほんの少しだけ変身しやすくなりますように。
あと、欲を言うなら僕の手元の《秘密を掘り下げる者》も、もう少しだけ変身させてください。
●付録
記事の年代は様々ですが、デルバーデッキをいくつか紹介しておきたいと思います。
参考までにレガシーも……っていうかレガシーの方が多いな?
※晴れる屋さん、Star City Gamesさんのデータベース掲載のデッキリストの場合は記事タイトルを割愛しています。
・モダンのデルバーデッキ
RUGデルバー:『Daily Deck ティムール・デルバー(モダン)』 http://mtg-jp.com/reading/translated/dd/0015158/
白青赤デルバー: http://www.hareruyamtg.com/jp/k/kD05240W/
グリクシスデルバー: http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=111982
・レガシーのデルバーデッキ
RUGデルバー:『のぶ夫の部屋 -第1回 RUGデルバー前編-』 http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/125
BUGデルバー:『Deck Tech: 土屋 洋紀の「BUG Delver」』 http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/2278
URデルバー:『岩SHOWの「デイリー・デッキ」:URデルバー(レガシー)』 http://mtg-jp.com/reading/iwashowdeck/0017700/
グリクシスデルバー:『レガシーデッキ案内 -グリクシスデルバー-』 http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/3673
4Cデルバー:『Browse the Deck! Vol.2 「4Cデルバー」』 http://mtg.bigmagic.net/article/%E8%A8%98%E4%BA%8B/%E3%83%AC%E3%82%AC%E3%82%B7%E3%83%BC/%E6%97%A5%E4%B8%8B%E9%83%A8%E6%81%AD%E5%B9%B3/002
英語ですが、ChannelFireBallのリード・デュークによる、レガシーでのデルバーデッキの解説記事も。
『Legacy Guide Part VI: Delver By Reid Duke // 8 Mar, 2017』 https://www.channelfireball.com/articles/legacy-guide-part-vi-delver/